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余談
座談会(続・世界観編)
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この話はストーリーの進行とはまったく関係ありません。
ただ単にメタな視点で設定や裏話を座談会のようにダラダラ続けるという内容です。
ほぼ登場人物たちの会話で成り立っています。
それでもよろしければどうぞ。
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「ケネス、『続』が付いていますが、『続続』などにならないでしょうね?」
「そこまではないと思うよ」
「では引き続き世界観編です。フェリン王国はものすごく大きな国だということですが、閣下、詳しい数字をお願いします」
「話の中では歩いた日数でカウントしているけど、もちろんある程度の誤差はある。それでこの国は、ユーヴィ市から王都ヴィリョンまでが四〇〇〇キロ、ヴィリョンからヴァリガ市までが三二〇〇キロ、要するに東西が七二〇〇キロ、そして南北が四〇〇〇キロ。ナルヴァ町まで入れればさらに二〇〇キロ少々東西に長くなる」
「アフリカ大陸の面積は三〇三七万平方キロです。たしかにアフリカ大陸よりは小さいですが、二割も小さくはないですね」
「二割は距離感だけの問題だからね。アフリカ大陸の北から南までなら一万キロを超えるから、それから比べれば二割以上小さいことになる。でもフェリン王国は四角いからね」
「ちなみにクルディ王国はどれくらいでしょうか?」
「東西が四〇〇〇キロで南北が三〇〇〇キロのほぼ四角形。フェリン王国の四割強だね」
「それでもカナダやアメリカよりも大きいですね。ここまで国を大きくする必要はあったのでしょうか?」
「旅っていうのは、今では気軽に海外にでもどこにでも行けるけど、昔はそうではなかったからね。日本では平安時代から江戸時代に入るくらいまでは、西国三十三所とか四国八十八箇所とか、せいぜい巡礼の旅や修行のようなもので、危険も多かったから。家を出たらもう帰れないくらいの覚悟で向かうものだったらしい」
「お伊勢参りはかなり流行したそうですが」
「あれは江戸時代からだね。宿場町や街道も整備されて、その影響もあって移動が楽になったのが大きいね。御師が頑張ったっていうのはあるけど」
「では閣下が領内の街道を整備されているのも同じようなものですね」
「うちの場合は旅を楽にするというよりも経済活動のためだね。でこぼこの道を苦労して馬車を走らせるより、石畳を敷いた走りやすい道の方が楽でしょ。また来たいと思わせるのも大切だからね」
「次は暦についてお願いします」
「この国を含めて多くの国では七日で一週間、四週間で一か月、一二か月で一年となっている。曜日は火水風土光闇無の順。これは魔法の属性と同じになっている」
「平日と週末という分け方はないのですか?」
「基本的に休むという考えがないから、週の終わりという意味での週末はあるけど、休日という意味での週末はないね。だから来週末の二日と言えば、単に翌週の闇と無の日を表すだけ」
「一年が短いと、年を取る早さも違いますね」
「実はそこがポイントでもあって、一年が三三六日だから、日本よりも少し短い。だから三〇歳でも日本を基準にすると二七か二八くらいになる。そこに魔素があるからもう少し若くなって長生きするってことだね」
「では貨幣価値についてお願いします」
「フェリン王国では、正式な貨幣は銅貨と銀貨と金貨の三種類。その下に、それぞれの地方だけで使える、互換性のない貨幣のようなものもある。綺麗な石とか金属片とか」
「一〇〇枚単位ですね」
「銅貨一〇〇枚で銀貨一枚、銀貨一〇〇枚で銀貨一枚。とりあえず金は貴重。平民はまず見ない」
「値段があまり出ませんが、そのあたりはどうなっているのですか?」
「あまり厳密にしてもね。例えば一〇ドルで買える物ってアメリカと日本とインドとロシアでは違うでしょ? だから地域によって価値が違うということにした方が自然かなと」
「地方と王都では一〇倍以上違うという話でしたが、本当ですか?」
「これは本当。ただし物によって違うから、一概に一〇倍とは言い切れない。例えばかつてのナルヴァ村なら小麦や野菜は安いけどそれ以外は高い。だからパンとスープだけならかなり安い。結局は需要と供給のバランスの問題かな」
「王都の周辺はよくそれでよくやっていられますね」
「それも同じ。そもそも同じ国の中だと考えるからおかしくなる。同じ大陸の別の国と考えれば値段が違ってもおかしくないんだよ。物価が高くて収入が多い国と、物価が低くて収入が低い国。行き来するのは冒険者や商人くらいのものだから、値段が違うこともほとんど問題にならない」
「では地方で買って王都で売ればウハウハですか?」
「そう言いたいところだけど、広い国だからね。それなりの規模の町の間を移動するのに二〇〇キロくらいは普通。だから運ぶ間に食品なら傷むし器物なら壊れる。それを避けるためにはマジックバッグが必要だけど、高価だからね。それに盗賊も出るし野獣も魔獣もいるし。一攫千金を狙う勇気があるかどうか。そうでなければある程度近い場所を回るのが一番」
「かなりシビアですね」
「この話はのほほんとした内容だけど、実は裏ではシビアなところが多いんだよ。書かれてないだけで。エリーの話でもあったけど、一度生活が苦しくなり始めると一気に詰むからね。何も保証がないから。だからできる限り条件のいい相手を見付けようと積極的な女性が多い」
「みなさん驚くほど積極的ですね」
「ジェナだって、他人のことは言えないでしょ。そして生まれ育った町で働いて結婚して、そこから一度も出ないというのが、実は一番安全で確実な人生だったりする。だから外に出るのは変わり者ばかり。商人とか冒険者とか」
「ちなみに『平民に金貨』(盗んだに違いなから連れて行って吐かせろ、という意味)という言葉が最初の頃に出ましたが、本当に使われているのですか?」
「言葉としてはあるよ。でも諺や格言って、知っていても口にすることがほとんどないのと同じで、知識としては知っていても聞くことはほとんどないと思うよ」
ただ単にメタな視点で設定や裏話を座談会のようにダラダラ続けるという内容です。
ほぼ登場人物たちの会話で成り立っています。
それでもよろしければどうぞ。
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「ケネス、『続』が付いていますが、『続続』などにならないでしょうね?」
「そこまではないと思うよ」
「では引き続き世界観編です。フェリン王国はものすごく大きな国だということですが、閣下、詳しい数字をお願いします」
「話の中では歩いた日数でカウントしているけど、もちろんある程度の誤差はある。それでこの国は、ユーヴィ市から王都ヴィリョンまでが四〇〇〇キロ、ヴィリョンからヴァリガ市までが三二〇〇キロ、要するに東西が七二〇〇キロ、そして南北が四〇〇〇キロ。ナルヴァ町まで入れればさらに二〇〇キロ少々東西に長くなる」
「アフリカ大陸の面積は三〇三七万平方キロです。たしかにアフリカ大陸よりは小さいですが、二割も小さくはないですね」
「二割は距離感だけの問題だからね。アフリカ大陸の北から南までなら一万キロを超えるから、それから比べれば二割以上小さいことになる。でもフェリン王国は四角いからね」
「ちなみにクルディ王国はどれくらいでしょうか?」
「東西が四〇〇〇キロで南北が三〇〇〇キロのほぼ四角形。フェリン王国の四割強だね」
「それでもカナダやアメリカよりも大きいですね。ここまで国を大きくする必要はあったのでしょうか?」
「旅っていうのは、今では気軽に海外にでもどこにでも行けるけど、昔はそうではなかったからね。日本では平安時代から江戸時代に入るくらいまでは、西国三十三所とか四国八十八箇所とか、せいぜい巡礼の旅や修行のようなもので、危険も多かったから。家を出たらもう帰れないくらいの覚悟で向かうものだったらしい」
「お伊勢参りはかなり流行したそうですが」
「あれは江戸時代からだね。宿場町や街道も整備されて、その影響もあって移動が楽になったのが大きいね。御師が頑張ったっていうのはあるけど」
「では閣下が領内の街道を整備されているのも同じようなものですね」
「うちの場合は旅を楽にするというよりも経済活動のためだね。でこぼこの道を苦労して馬車を走らせるより、石畳を敷いた走りやすい道の方が楽でしょ。また来たいと思わせるのも大切だからね」
「次は暦についてお願いします」
「この国を含めて多くの国では七日で一週間、四週間で一か月、一二か月で一年となっている。曜日は火水風土光闇無の順。これは魔法の属性と同じになっている」
「平日と週末という分け方はないのですか?」
「基本的に休むという考えがないから、週の終わりという意味での週末はあるけど、休日という意味での週末はないね。だから来週末の二日と言えば、単に翌週の闇と無の日を表すだけ」
「一年が短いと、年を取る早さも違いますね」
「実はそこがポイントでもあって、一年が三三六日だから、日本よりも少し短い。だから三〇歳でも日本を基準にすると二七か二八くらいになる。そこに魔素があるからもう少し若くなって長生きするってことだね」
「では貨幣価値についてお願いします」
「フェリン王国では、正式な貨幣は銅貨と銀貨と金貨の三種類。その下に、それぞれの地方だけで使える、互換性のない貨幣のようなものもある。綺麗な石とか金属片とか」
「一〇〇枚単位ですね」
「銅貨一〇〇枚で銀貨一枚、銀貨一〇〇枚で銀貨一枚。とりあえず金は貴重。平民はまず見ない」
「値段があまり出ませんが、そのあたりはどうなっているのですか?」
「あまり厳密にしてもね。例えば一〇ドルで買える物ってアメリカと日本とインドとロシアでは違うでしょ? だから地域によって価値が違うということにした方が自然かなと」
「地方と王都では一〇倍以上違うという話でしたが、本当ですか?」
「これは本当。ただし物によって違うから、一概に一〇倍とは言い切れない。例えばかつてのナルヴァ村なら小麦や野菜は安いけどそれ以外は高い。だからパンとスープだけならかなり安い。結局は需要と供給のバランスの問題かな」
「王都の周辺はよくそれでよくやっていられますね」
「それも同じ。そもそも同じ国の中だと考えるからおかしくなる。同じ大陸の別の国と考えれば値段が違ってもおかしくないんだよ。物価が高くて収入が多い国と、物価が低くて収入が低い国。行き来するのは冒険者や商人くらいのものだから、値段が違うこともほとんど問題にならない」
「では地方で買って王都で売ればウハウハですか?」
「そう言いたいところだけど、広い国だからね。それなりの規模の町の間を移動するのに二〇〇キロくらいは普通。だから運ぶ間に食品なら傷むし器物なら壊れる。それを避けるためにはマジックバッグが必要だけど、高価だからね。それに盗賊も出るし野獣も魔獣もいるし。一攫千金を狙う勇気があるかどうか。そうでなければある程度近い場所を回るのが一番」
「かなりシビアですね」
「この話はのほほんとした内容だけど、実は裏ではシビアなところが多いんだよ。書かれてないだけで。エリーの話でもあったけど、一度生活が苦しくなり始めると一気に詰むからね。何も保証がないから。だからできる限り条件のいい相手を見付けようと積極的な女性が多い」
「みなさん驚くほど積極的ですね」
「ジェナだって、他人のことは言えないでしょ。そして生まれ育った町で働いて結婚して、そこから一度も出ないというのが、実は一番安全で確実な人生だったりする。だから外に出るのは変わり者ばかり。商人とか冒険者とか」
「ちなみに『平民に金貨』(盗んだに違いなから連れて行って吐かせろ、という意味)という言葉が最初の頃に出ましたが、本当に使われているのですか?」
「言葉としてはあるよ。でも諺や格言って、知っていても口にすることがほとんどないのと同じで、知識としては知っていても聞くことはほとんどないと思うよ」
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