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魔女がやってきた 2
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「あの、私なんかで大丈夫ですか?」
至極不安そうに聞く美鈴にメイク担当は、
「私なんかで大丈夫です!貴女メイクって綺麗に見せる為にあるのに、貴女のメイクはブスになる為にメイクになってるわよ。」
衣装を持ってきたスタイリストも、
「スタイルも良いし身長もあるのに野暮ったい感じの服なんて着て勿体ない!自分を今日は知った方がいいわ。」
あれよあれよという間に着替えとメイクと髪をセットされて鏡もちゃんと見る間もなく控室から引きずり出された。
履いた事が無いような高いヒール。
「姿勢も歩き方もいいわね。」
満足気な花は、戸惑う美鈴をカメラの前まで引きずっていった。
《ミレイ?本当に綺麗だね。さあ、ショータイムいくよ!!》
アランは、ノリノリでシャッターを切る。
最初は、緊張していた美鈴を笑わしたり、質問して答えさせたりして彼女の表情を引き出し写真を撮る。横で花が満足気に頷いていた。
「サトちゃん、あの子モデルにならないかしら?」
本気で言う花に
「ならないでしょう。美鈴ちゃんは駄目だよ。」
既に社員のギャラリーが集まってきている。
囁かれる声は、驚嘆と賛美が入り混じったかんじだったが何人かの男性社員がボーっと彼女に見惚れる奴もいた。
最後のイブニングドレスは、圧巻の着こなしで美鈴は姿を見せた。
黒い光沢のあるシルクのドレスは、サイドに大きくスリットが入っているデザインだがシンプル・・だからこそ着こなしが難しい。
「ロバートと一緒に。」
花がそう言うとロバートは、黒みがかったシルバーのパーティー用のスーツを来て美鈴の横に立った。
「美鈴ちゃん綺麗だね~今フリー?この後時間あるなら。」
笑顔で美鈴の耳元でロバートは囁いたその瞬間・・。
「あ。あっ・・。」
美鈴の体が震えだし痙攣をおこした。
何が何だかわからないロバートは美鈴を倒れないように支えているが状況は悪化するばかりだ。
「どけ!」
ロバートから奪うように美鈴を抱き上げたのは・・・
「鷹崎!救急車呼ぶか?」
相川は、スマホを手に持って叫ぶ。
鷹崎が彼女の様子を確認してと思っていると
「ダメよ!姉さんサイレン駄目だから。」
加奈子も駆け付けてきた。
「大丈夫だ。大丈夫だよ美鈴。」
そう美鈴に囁きながら鷹崎は、美鈴を控室へ運び込んだ。
美鈴大丈夫だ!
遠くに聞こえる声は昔聞いた事がある。
真っ暗で怖い・・・・。
苦しくて、寒いよ。
微かにシトラスの香がする・・・以前にも同じ様な事があったような。
大きな手で背中をさすりながら優しい声がする。
苦しかった呼吸が少しずつなんとか呼吸できるようになってくる・・・
「迎えに行くから、五年後に必ずです。」
昔助け出してくれた人の声。
低くて落ち着いた声。
知っているこの声。
呼吸は、楽になり少し目を開けると顔が目が霞んでいて見えないけど・・・・
男の人?なのに嫌じゃない。
誰だろう?
そんなことを頭の中で考えながら美鈴はまた深い眠りに引きずり込まれた。
美鈴が倒れてザワザワと周囲がパニック状態の中。
息子が真っ青な顔をして彼女を控室に運ぶのを花は、信じられない情景をみたと呆然とした顔で見ていた。
相川は、医師に電話して直接来るように指示している。
可愛い女の子が「姉さん」と泣きながら救急車は駄目だと言っている。
「花さん、今日はここまででお願いします。」
電話を終えた相川に声をかけられ花は自分が呆然自失としていた事に気がついた。
「ええ。どうして?」
花は、即時撮影中止をスタッフに指示した。
「彼女はPTSDです。耳元で彼が何かを囁いた事が原因だと思います。妹の加奈子ちゃんもついてますから大丈夫だと・・。」
相川は、普段使わない敬語で答えた。
「隼人は、それを知っていたの?」
女性には、丁寧だがそっけない息子が顔色を変えて大事そうに彼女を抱きかかえる姿など見た事がなかった。
どこか冷淡で母親の自分にでさえ距離を置いた態度が通常の息子が?
「知っていたと思いますよ。詳しい事は言えませんけど。」
相川は、そう一言いって控室へ向かっていった。
「そろそれお医者が来る。鷹崎。落ち着いたなら加奈子ちゃんに変わった方がいい。」
相川は控室に入ると鷹崎に声をかけた。
「ええ。わかっています。」
膝の上で抱きかかえる様に美鈴を抱いていた鷹崎は、そっとソファーに彼女を横たわらせ自分のスーツのジャケットをかけた。
加奈子は、姉に駆け寄り寄り添うように床に跪き心配そうに姉の顔を覗き込んでいる。
既に穏やかに呼吸が出来る様になり顔色も少しまだ悪いが問題は無さそうだった。
加奈子は、手を姉の額に触れて熱が無いかを確認した。
発作後に熱が出る事もあるのを知っている加奈子は、熱が無い事を確認すると安心した顔をした。
医者を案内してきた千秋が控室に入って来たのと同時に鷹崎と相川はソッっと控室をでた。
至極不安そうに聞く美鈴にメイク担当は、
「私なんかで大丈夫です!貴女メイクって綺麗に見せる為にあるのに、貴女のメイクはブスになる為にメイクになってるわよ。」
衣装を持ってきたスタイリストも、
「スタイルも良いし身長もあるのに野暮ったい感じの服なんて着て勿体ない!自分を今日は知った方がいいわ。」
あれよあれよという間に着替えとメイクと髪をセットされて鏡もちゃんと見る間もなく控室から引きずり出された。
履いた事が無いような高いヒール。
「姿勢も歩き方もいいわね。」
満足気な花は、戸惑う美鈴をカメラの前まで引きずっていった。
《ミレイ?本当に綺麗だね。さあ、ショータイムいくよ!!》
アランは、ノリノリでシャッターを切る。
最初は、緊張していた美鈴を笑わしたり、質問して答えさせたりして彼女の表情を引き出し写真を撮る。横で花が満足気に頷いていた。
「サトちゃん、あの子モデルにならないかしら?」
本気で言う花に
「ならないでしょう。美鈴ちゃんは駄目だよ。」
既に社員のギャラリーが集まってきている。
囁かれる声は、驚嘆と賛美が入り混じったかんじだったが何人かの男性社員がボーっと彼女に見惚れる奴もいた。
最後のイブニングドレスは、圧巻の着こなしで美鈴は姿を見せた。
黒い光沢のあるシルクのドレスは、サイドに大きくスリットが入っているデザインだがシンプル・・だからこそ着こなしが難しい。
「ロバートと一緒に。」
花がそう言うとロバートは、黒みがかったシルバーのパーティー用のスーツを来て美鈴の横に立った。
「美鈴ちゃん綺麗だね~今フリー?この後時間あるなら。」
笑顔で美鈴の耳元でロバートは囁いたその瞬間・・。
「あ。あっ・・。」
美鈴の体が震えだし痙攣をおこした。
何が何だかわからないロバートは美鈴を倒れないように支えているが状況は悪化するばかりだ。
「どけ!」
ロバートから奪うように美鈴を抱き上げたのは・・・
「鷹崎!救急車呼ぶか?」
相川は、スマホを手に持って叫ぶ。
鷹崎が彼女の様子を確認してと思っていると
「ダメよ!姉さんサイレン駄目だから。」
加奈子も駆け付けてきた。
「大丈夫だ。大丈夫だよ美鈴。」
そう美鈴に囁きながら鷹崎は、美鈴を控室へ運び込んだ。
美鈴大丈夫だ!
遠くに聞こえる声は昔聞いた事がある。
真っ暗で怖い・・・・。
苦しくて、寒いよ。
微かにシトラスの香がする・・・以前にも同じ様な事があったような。
大きな手で背中をさすりながら優しい声がする。
苦しかった呼吸が少しずつなんとか呼吸できるようになってくる・・・
「迎えに行くから、五年後に必ずです。」
昔助け出してくれた人の声。
低くて落ち着いた声。
知っているこの声。
呼吸は、楽になり少し目を開けると顔が目が霞んでいて見えないけど・・・・
男の人?なのに嫌じゃない。
誰だろう?
そんなことを頭の中で考えながら美鈴はまた深い眠りに引きずり込まれた。
美鈴が倒れてザワザワと周囲がパニック状態の中。
息子が真っ青な顔をして彼女を控室に運ぶのを花は、信じられない情景をみたと呆然とした顔で見ていた。
相川は、医師に電話して直接来るように指示している。
可愛い女の子が「姉さん」と泣きながら救急車は駄目だと言っている。
「花さん、今日はここまででお願いします。」
電話を終えた相川に声をかけられ花は自分が呆然自失としていた事に気がついた。
「ええ。どうして?」
花は、即時撮影中止をスタッフに指示した。
「彼女はPTSDです。耳元で彼が何かを囁いた事が原因だと思います。妹の加奈子ちゃんもついてますから大丈夫だと・・。」
相川は、普段使わない敬語で答えた。
「隼人は、それを知っていたの?」
女性には、丁寧だがそっけない息子が顔色を変えて大事そうに彼女を抱きかかえる姿など見た事がなかった。
どこか冷淡で母親の自分にでさえ距離を置いた態度が通常の息子が?
「知っていたと思いますよ。詳しい事は言えませんけど。」
相川は、そう一言いって控室へ向かっていった。
「そろそれお医者が来る。鷹崎。落ち着いたなら加奈子ちゃんに変わった方がいい。」
相川は控室に入ると鷹崎に声をかけた。
「ええ。わかっています。」
膝の上で抱きかかえる様に美鈴を抱いていた鷹崎は、そっとソファーに彼女を横たわらせ自分のスーツのジャケットをかけた。
加奈子は、姉に駆け寄り寄り添うように床に跪き心配そうに姉の顔を覗き込んでいる。
既に穏やかに呼吸が出来る様になり顔色も少しまだ悪いが問題は無さそうだった。
加奈子は、手を姉の額に触れて熱が無いかを確認した。
発作後に熱が出る事もあるのを知っている加奈子は、熱が無い事を確認すると安心した顔をした。
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