戦巫女姫は戦場で咲き誇る

アタラン

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破天荒な巫女

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「お嬢様。」

不安そうに涼音は側に仕えていた。

「仕方ないでしょ・・迷惑な命令でも従うしかないのだから。」

巫女に選出された時点で神の加護を持っているとされる巫女には就任の儀式というのはない。


「朱美様。神官長が参りました。」

馬車からそのまま輿にのせられ奥のこの部屋にそのまま連れてこられた。

先頭を神官長が歩いてはいたが、後ろ姿をチラッと見たくらいで会うのは初めてだ。

「わかった。」

いつもの様に立ち上がると衣が足に纏わりつき歩きにくい事この上なくまず、このヒラヒラをなんとかしたい本気でそう思い考えながら巫女殿と呼ばれる巫女の為の敷地にある謁見の為の部屋で神官長に会う事になった。

「本当になれないわ・・この豪華というか。」

将軍府とは趣がちがった、将軍府は黒檀の家具や狩りで得た獣の敷物など野性的な物が多く女性らしい物は少なかった。

だからなのか、女性らしく設えた白い壁や花々は綺麗だとは思うがこの巫女殿は朱美にとっては居心地が悪い。

何人もの侍女もいるが、どうも感情のない人形のようで不気味でもあった。

こんな所で一生を送るのかと思うとゾッとするが、それが国の国民の安寧の為だと言われたら従うしかないだからこそ自分が心地よく生活できるように改善するしかないと思っていた。

「神官長殿。」

「朱美様ごきげんは如何ですか?」

朱美は驚いた・・遠目で何度か見た事はあったが近くで見たのは初めてで年齢不詳の彼は、白い髪ではあるが容貌はどう見ても30代の男性だった。

しかもかなりの美丈夫で役者のような整った容姿をしていた。

「いいも悪いも今日ここに連れてこられただけだ。」

「たしかに・・私は神使いの鳥を叩き落とされないか心配をしておりましたよ。」

「私が弓の練習中でなくてよかった。間違いなく落としていた。」

「それはあの子も運がよかったのですね。あの子の名前はカルといいます貴女にも従うはずです試してみますか?」

「私に従うのか?」

「ええ、庭で試せますよ。」

楽しそうだと思って庭に出て神官長が「カル」と呼ぶと大きな白い鳥がどこにいたのか大きな翼を広げ目の前にとまった。

白いと思ったがよく見るとその羽は光沢がありこの巫女の衣装のような輝きもある。

「カルって言うのか。カル!お前は私にも従うのか?」

そう尋ねるように話すとカルは大きな翼を広げビーっと声をあげた。

朱美は、座り込みおいでとカルを呼ぶとカルは身を寄せ嘴を朱美の手の平につけ甘えるように顔を寄せてきた。

「私にはそんな事をしないですのに・・カル。」

少し悲しそうな顔をする神官長に朱美はここに来てやっと人間らしい人に会った気がした。

「神官長、ここにいる侍女は何故感情を表にださない?生気がない。」

「そうですね、そうしつけられたからですかね。」

「それに、この衣装だが居心地が悪い。出来れば将軍府にいた時のような動きやすい物がよいのだが・・・。」

朱美は、将軍府では男物の服を女性用の生地で仕立てたものを好んで着ていた。

「どのような物かは存じませんが自室にいる時は問題ないと思いますので用意させます。」

大抵の事は認められたが唯一駄目だったのは武器の訓練だった。

しかも頭が痛いのはこのヒラヒラを着て王に謁見する必要があると言う事だ。

「王は貴女を歓迎しております、王には既に王妃がいらっしゃいます皇太子にも・・ですから問題は無いと思います。」

「何の問題だというのだ?」

「巫女というのは国の宝であり至宝とされます。ですから以前は王の伴侶となる場合が多かったのですが・・現在の王は西から王妃を娶りましたし皇太子は王族の姫から妃を選びました。ですから将軍の娘でもあった朱美様をまさかご自身の寵姫にしょうとはしないと思います。」

「それは、愛人みたいなものか?」

「まあそのような感じです。以前は王族の姫でしたから元から恋仲だったと言う事もあったので王妃や寵姫という事もありましたが・・。」

王族は貴族とは違い妻とは別に公に3人の妻を持つことが許されている。

貴族や庶民は一夫一婦制だが王族だけは違う。

話を聞く分には、自分には問題がなさそうだが、貴族の中でも異質の自分が王族のそれも王に謁見するなど考えもしない事だった。

朱美は、晩餐の席に出る為に沐浴させられここに来た時以上の豪華な衣装に着替えさせられる事になった。

しかも胸元が空きそこには豪華な首飾りや頭は複雑に結い上げられた。

幾つかの簪を刺して出来上がった姿で輿にのせられ王宮に着いたら何人もの侍女を引き連れ歩く。

謁見の間には王と王妃がいて王妃は、西の人間だと聞いていたが黒髪ではなく薄い茶色の髪の女性だった。

王は、黒髪を短く切り年齢は自分の父親より上だったはずだが神の加護を受ける者だからなのか随分若く見えた。神官長ほどではないが整った顔をしていて将軍の父ほどではないが精悍な顔立ちだった。

「巫女よ・・よく来た。」

「王。ご機嫌麗しゅう。」

昔習った淑女の礼をとって挨拶をしてみた。

王は晩餐の席まで巫女である朱美をエスコートして王妃は、後ろから侍女と一緒についてきていた。

この国では、巫女が重要視されるために侍従や他の者達は違和感を感じていないが西から来た王妃にとっては苦痛だった。

国の王妃として嫁ぎ子まで産んでその子が皇太子にもなっているのに、その自分より重要視されるのがたとえ巫女であっても気に入らない。

しかしそんな事を言い出せるような感じでもなく王妃はこの日だけだと思い我慢する事にした。

晩餐も終盤にはいり、和やかな空気だったが王が次にはっした言葉が王妃と朱美を脅かした。

「この国にとって王族でない巫女は初めての事。それに美しい巫女をこのままという訳にはいかぬ・・したがって我が妃として迎える事にする。」

三日後に王は、巫女殿に通うという沙汰を出し、王宮ではないが巫女殿に妃としての地位
をもつ巫女として住まわせると言ったのだ。

これは、王妃をしのぐ地位ともなりもし二人
の間に王子が産まれたら現在の皇太子は廃さ
れ朱美の息子が皇太子となる事になる。

この沙汰は、貴族までに広言され公布された
あるものは将軍府に祝いをあるものはやっか
み様々な反応があった。

王のこの判断がこの国の命運の分かれ道にな
ろうとは王も思ってはいなかった。

一夜で権力争いの渦に巻き込まれた朱美は何
が何やら解らぬままに巫女殿で侍女の涼音と
共にどうするべきかと相談する事にした。









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