戦巫女姫は戦場で咲き誇る

アタラン

文字の大きさ
6 / 7

王妃の苦悩と協力

しおりを挟む
朱美は、自室に帰り動きやすい服をきて一人で寝台の上で考え込んでいた。

王が自分を愛人にすると広言したような状況は我慢がならない。

「傲慢な王だな・・。」

それに王妃の顔がチラついた・・傷ついたような表情から王妃は、王を愛しているのだろう。

異国から嫁ぎ王宮で過ごす事を強要されたのだろうな・・と自分の今と重ねた朱美は、この豪華な巫女殿は意外と脱出しにくい作りだと観察をしていた。


ここに来る前に自分の父である将軍から・・


「理不尽だと思う事があれば逃げ出していい。」


と言われていたのだった。


武器は隠し持ってでた小刀一つ・・では無い。

ここに来る前に蒼虎が持たせてくれた分解された双刀はすでに組み立てて隠してある。

細い月が空に浮かんでいるから明日は闇夜に近いが問題は服のすべてが白だという事だった、闇の中で白は目立つ。

「んっ・・・。」

人の動く気配に敏感な朱美はベッドの下から小刀を取り出すとチュニックになっている服の帯に差し込み気配をよむ。

「1.2.3 三人か・・。」

同じように気配に気がついた侍女とは名ばかりの涼音は簪になっている武器を逆手に持っている。

「お嬢様・・まさか刺客ですかね。」

「だろうね・・。」

この国の者が巫女を殺そうとするはずかない・・本来神殿と王族は、同等な力を持っていたのはその信仰心からだった。

今の時代は、信仰心が薄れてきたとは言えかなりの国民は神を信じて神殿に従う。

もし巫女を殺害したと言う事になれば国民は、王族を許さないかもしれないし各地でくすぶっているという不満が爆発する可能性もある。

あの傲慢そうな王でもそれは解っているはずだ!

「くる・・」

素早い動きで影が動き朱美がすでに就寝しているはずの寝台に刀を突きさした。

その背後を撮った朱美は当身を食らわせて敵の意識を奪うとすぐに無言で襲ってくる者と対峙する。

側で剣を交えているのは涼音だろう・・彼女もそこそこ普通の女性よりは強い。

朱美は自分の目の前の敵に集中する・・

「何者だ?」

「なぜ・・巫女が剣など持っているんだ?」

「私は将軍府の出だぞ・・予想出来なかったか?」

将軍府は高位の貴族といえばそうだからそこの娘は淑やかなお嬢様だとでも思っていなのかもしれない。

「姫様が泣いていらした・・お前が死ねば姫様の憂いはなくなる。」

「西の者か・・なら一つ取引しないか?」

殺すべき相手が取引を持ち出してくるとは思わなかったのか動きをとめるこいつはプロではない・・そう朱美は思った。

プロならば朱美の言葉など聞かずに任務を遂行するのみだからだ。

「私はここから出たい。入ってきたのなら出れるはずだ!」

「本気なのか?」

「ああ。お前も解るかもしれないが・・私は強いぞ。」

剣を扱う者は相手の力量をよむ・・だから簡単に倒せるとは思っていないはず。

「本当に貴族の娘か?」

「間違いなくそうだが・・まあ普通じゃないかもな。」

「では姫様に会ってもらう。」

「いいだろう。」

倒れている部下の服と自分の服を変えて朱美は黒い装束を纏い組み立てた双刀を持ち姫様・・王妃の部屋へ向かった。

身代わりに倒れていた刺客が女だったから自分の服を着せておいた。

王妃の間の裏口から入ると物憂げに椅子に座る王妃がいた。

「蘭・・どこにいたの?」

「姫様・・すいません。失敗しました。」

「失敗ってまさか?」

王妃が刺客を送り出したのではなく蘭とよばれるこの者が勝手に動いたことのようだった。

「この国で巫女は王妃より上位の者なのよ?何を考えているのですか!」

「いや・・王妃。巫女は私だが・・お願いがあってきた。」

そう朱美が言うと王妃は目を見開いて驚いた顔をしている。

「貴女が・・まるで。」

「ああ、普段の私はこのような感じだ。晩餐の折の恰好など好き好んでしないぞ。」

「話し方も・・。」

「男ばかりの将軍府で育ったからな女らしくは出来ん苦痛だ。そこで頼みがある貴女の夫の愛人になどなりたくはないしこの敷地を出たい。方法は無いか?」

「しかし巫女はこの国には必要な存在だと聞いています。」

「ああ、確かにな。神も何か間違えたのかもしれんよ?」

「本気ですか?」

「ああ。こんなところごめんこうむる。」

朱美は本気だった・・その本気を読み取った王妃は唯一の方法だと早朝の買い出しの荷車に乗る事を進めてくれた。

「朝早くに荷車で買い出しに出るはずなのです。その荷台には、品物を覆う布があります
王家がどんなものを買っているかを解らなくする為です。以前は、依頼したものを業者が運びこんでいたのですが、刺客が紛れた事からこちらから出向く事になりました。」

安直な方法だとも思うがもう時間も無いと言う事から朱美と涼音は、荷車のある裏手に蘭と一緒に行く事になった。

「先ほどは失礼しました。もし巫女がその双刀を使っていれば私は殺されていたかもしれませんね。」

「かもしれんな・・では達者でな。」

荷車の役人が来る前に荷車の布にくるまり息を潜めてその荷車がでるまでジッとしていたが、日が昇る少しまえに荷車が動き出し無事に朱美は宮殿を出る事に成功した。

早朝朱美を起こしに来た神殿の侍女達は大騒ぎになり神官長も慌てて朱美の寝所に向かった。

「やられましたね・・。」

まるでこうなる事を予想していたかのように神官長は荒れた部屋を見ながら
どう王に報告するか頭を悩ますのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

私を婚約破棄した国王が処刑されたら、新しい国王の妃になれですって? 喜んで…と言うとでも?

あんど もあ
ファンタジー
幼い頃から王子の婚約者だったアイリスは、他の女性を好きになった王子によって冤罪をかけられて、田舎で平民として生きる事に。 面倒な貴族社会から解放されて、田舎暮らしを満喫しているアイリス。 一方、貴族たちの信頼を失った王子は、国王に即位すると隣国に戦争を仕掛けて敗北。処刑される。 隣国は、アイリスを新しい国王の妃にと言い出すが、それには思惑があって…。

処理中です...