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第8章 ゼロ距離の告白
第8章 ゼロ距離の告白
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白波坂の帰り道。
夕陽が沈みかけ、坂の影が長く伸びていた。
「ねぇ守、今日の“こしあん派”の話、まだ笑えるんだけど」
「笑いすぎやろ。別に普通やって」
「普通じゃないよ!」
彩香が笑いながら守の肩を軽く叩いた、その瞬間だった。
「うわっ——」
守の足が小石に引っかかった。
バランスを崩し、前のめりに倒れ込む。
「きゃっ……!」
彩香の腕を咄嗟につかんだ守は、そのまま二人ごと近くの壁に倒れ込んだ。
彩香は壁に背中をつけ、守は両手をついて彩香を庇うように倒れ込む。
——壁ドンの姿勢。
距離は、息が触れそうなほど近い。
「……ご、ごめん。大丈夫か」
守の声は震えていた。
彩香は目を丸くして、守を見つめていた。
「だ、大丈夫……だけど……近い……」
彩香の頬が一気に赤くなる。
守も気づいて、慌てて体を起こそうとする。
だが、彩香が小さく袖をつまんだ。
「……待って」
守の動きが止まる。
「昨日のこととか……今日のこととか……色々あって……
なんか、心が追いついてないの」
守は息を飲んだ。
彩香の瞳は揺れていた。
逃げていない。
ただ、真剣に向き合おうとしている目だった。
「彩香」
守はゆっくりと息を吸い、
勢いでも、冗談でもなく、
ただ“本音”だけを言った。
「俺……ずっと前から、お前のこと好きや」
彩香の目が大きく開く。
「幼馴染とか、そういうの関係なく……
お前が笑うと嬉しいし、泣いたら胸が痛い。
誰より大事やと思ってる」
彩香は言葉を失っていた。
守の顔が近い。
声が震えている。
でも、その言葉は真っ直ぐだった。
「……なんで、こんな勢いで言うの」
「勢いじゃない。
こけたのは勢いやけど……
言いたかったのはずっと前からや」
彩香は俯き、胸に手を当てた。
「……守のせいで、心臓うるさいんだけど」
その言葉に、守の胸が熱くなる。
夕陽が完全に沈む前、
二人の距離は、幼馴染の頃には戻れないほど近づいていた。
夕陽が沈みかけ、坂の影が長く伸びていた。
「ねぇ守、今日の“こしあん派”の話、まだ笑えるんだけど」
「笑いすぎやろ。別に普通やって」
「普通じゃないよ!」
彩香が笑いながら守の肩を軽く叩いた、その瞬間だった。
「うわっ——」
守の足が小石に引っかかった。
バランスを崩し、前のめりに倒れ込む。
「きゃっ……!」
彩香の腕を咄嗟につかんだ守は、そのまま二人ごと近くの壁に倒れ込んだ。
彩香は壁に背中をつけ、守は両手をついて彩香を庇うように倒れ込む。
——壁ドンの姿勢。
距離は、息が触れそうなほど近い。
「……ご、ごめん。大丈夫か」
守の声は震えていた。
彩香は目を丸くして、守を見つめていた。
「だ、大丈夫……だけど……近い……」
彩香の頬が一気に赤くなる。
守も気づいて、慌てて体を起こそうとする。
だが、彩香が小さく袖をつまんだ。
「……待って」
守の動きが止まる。
「昨日のこととか……今日のこととか……色々あって……
なんか、心が追いついてないの」
守は息を飲んだ。
彩香の瞳は揺れていた。
逃げていない。
ただ、真剣に向き合おうとしている目だった。
「彩香」
守はゆっくりと息を吸い、
勢いでも、冗談でもなく、
ただ“本音”だけを言った。
「俺……ずっと前から、お前のこと好きや」
彩香の目が大きく開く。
「幼馴染とか、そういうの関係なく……
お前が笑うと嬉しいし、泣いたら胸が痛い。
誰より大事やと思ってる」
彩香は言葉を失っていた。
守の顔が近い。
声が震えている。
でも、その言葉は真っ直ぐだった。
「……なんで、こんな勢いで言うの」
「勢いじゃない。
こけたのは勢いやけど……
言いたかったのはずっと前からや」
彩香は俯き、胸に手を当てた。
「……守のせいで、心臓うるさいんだけど」
その言葉に、守の胸が熱くなる。
夕陽が完全に沈む前、
二人の距離は、幼馴染の頃には戻れないほど近づいていた。
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