幼馴染の終わり方 ― 当人たちより周りが先に気づく恋 ―

伊藤 生ちゃん

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第13章 いってらっしゃい

第13章 いってらっしゃい

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 白波坂を下りきると、  
 彩香の通う蒼ヶ原商業高校の校門が見えてきた。

 朝の光の中で、制服姿の生徒たちが次々と校舎へ入っていく。  
 その中で、彩香は守の袖をそっとつまんだまま歩いていた。

「……ここまででいいよ。守の学校、逆方向だし」

「別にええやろ。どうせ途中まで一緒やし」

「そ、そうだけど……  
 なんか……恥ずかしいじゃん……」

 彩香は頬を赤くしながら、  
 ちらちらと周りを気にしていた。

 守はそんな彩香を見て、  
 ふっと優しく笑った。

「彩香」

「な、なに……?」

 校門の前で立ち止まった守は、  
 ほんの少しだけ身をかがめて、  
 彩香の目をまっすぐ見た。

「いってらっしゃい」

「っ……!」

 彩香の顔が一瞬で真っ赤になる。

「な、なに急に……!  
 そ、そういうの……  
 恋人みたいじゃん……!」

「嫌なん?」

「き、嫌じゃないけど……  
 でも……でも……  
 恥ずかしいの!!」

 彩香は両手で顔を覆い、  
 その場でくるっと背中を向けた。

 でも、校門へ向かう足取りは軽い。  
 そして——

 校門をくぐる直前、  
 彩香は振り返り、  
 小さく手を振った。

「……いってきます」

 その声は、  
 昨日までの幼馴染の声じゃなかった。

 守は胸の奥がじんわり熱くなるのを感じながら、  
 小さく手を上げて返した。

「気ぃつけてな」

 彩香はまた真っ赤になって走り去っていった。

 白波坂の朝は、  
 二人の距離が確かに変わったことを静かに告げていた。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

Kanata
2026.01.27 Kanata

筆者様の文章表現が綺麗であり、スラスラと読みやすかったです。
これからの2人の関係の変化が楽しみですね。
頑張ってください(^^)

解除

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