幼馴染の終わり方 ― 当人たちより周りが先に気づく恋 ―

伊藤 生ちゃん

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第12章 門柱の前の彩香

第12章 門柱の前の彩香

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 翌朝。  
 守はいつもより少し早く目が覚めた。

 昨日の彩香の顔が、何度も頭に浮かんで、  
 寝つけなかったのは自分も同じだった。

「……はよ行くか」

 制服の襟を整え、玄関を開ける。  
 冷たい朝の空気が頬を撫でた。

 そして——

「……あ」

 門柱の前に、彩香が立っていた。

 ポニーテールを揺らしながら、  
 両手を後ろで組んで、  
 でも落ち着かない様子で足元をつついている。

 守に気づくと、  
 彩香はビクッと肩を跳ねさせた。

「お、おはよ……守」

「……おはよう。なんでおるん?」

「な、なんでって……  
 昨日の帰り……その……  
 一緒に帰ったし……  
 今日も……その……」

 彩香は言葉を詰まらせ、  
 頬を赤くしながら視線をそらした。

「……待ってた」

 その一言が、朝の空気を一気に甘くする。

 守は少しだけ目を見開いたあと、  
 ゆっくりと歩いて彩香の隣に立った。

「……昨日、強引やったしな。  
 嫌われたかと思ったわ」

「き、嫌ってないし!  
 むしろ……その……  
 ああいうの……ずるい……」

 彩香は頬を膨らませ、  
 でも耳まで真っ赤だった。

「じゃあ今日も手ぇつなぐ?」

「つ、つなぐわけないでしょ!!  
 朝からそんな……無理……!」

 彩香は全力で否定したが、  
 袖をちょん、とつまんでいた。

 守はそれに気づき、  
 少しだけ口元をゆるめた。

「……袖つかんでるやん」

「っ……これは……その……  
 転ばないように……!」

「昨日こけたの俺やけどな」

「うるさい!!」

 彩香は真っ赤になって叫んだが、  
 袖を離す気配はなかった。

 白波坂へ向かう道を、  
 二人は並んで歩き出す。

 幼馴染として歩いてきた朝が、  
 今日から少しだけ違う色をしていた。
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