Jimmelle & Rayman I

あにらむあみにむ

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4.Always

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 多分、張り切り過ぎて体を酷使してしまっていたのだと思う。自分が不摂生になりがちな人間であることは自覚しているつもりだが、作品制作に意識が向くとそれすらも忘れてしまう。つまり、多分、免疫力が落ちていたのだろう。
 展示会まであと半年というところで、罹ったそこそこ重めの風邪。ここしばらくは複数の取引先やイベントへ出向いて多くの人と接する機会があったので、どこかでもらってきたようだ。思い返せば目に映る景色のそこかしこに、咳をしている人たちがいた。流行っているのだろう。
 そしてしっかりとマスクをしていた自分は努力も空しく感染し、マスクもせず一緒に行動していたジムは、何故か至って健康なのだ。
 『なんでだ……』
 「なんだよ?」
 母国語で小さく呟いて自己完結させた筈の嘆きは、彼にも届いていたらしい。
 「君と僕の、違いは何だ……」
 「俺は普段から健康に気を遣って生活している。お前はそうじゃない」
 身も蓋もない回答に目を閉じる。自分から投げかけた問答だが、これ以上の弁明はできない――そもそもその余地がないことははじめから明らかだった。
 「そもそも体力に見合った働きじゃなかったんだよ、ここ最近のお前は。風邪じゃなくたって倒れてたぞ。
 だが、まあ、おかげで進捗は計画の先を行ってる。焦らず今は休んで、それから本番までに体力を付けろ」
 そうして話している間に、ベッドサイドには必要な物が揃えられている。薬、水、冷却シート他……体の上には追加の毛布が掛けられている。アトリエに余分な寝具は置いてないから、多分ジムが彼の個室から持ってきてくれたのだろう。風邪はさっさと体温を上げて菌を殺すのが良い――ただし頭は冷やすこと、と何かで見た。
 「単純な制作作業の設計図を残してくれたおかげでスタッフもそれに取り掛かれるし、ホールはいつも通り回ってる。必要なことはちゃんと声をかけるから、心配すんな」
 熱でぼんやりした頭のままジムを眺めていると、気を遣われたのか、言いながら頭を軽く撫でられた。気遣いが沁み入る。
 「こういうとき、僕はいつも君がいてくれてよかったと思うんだ……僕はいつだって君がいてくれてよかったと思ってる……」
 「わかってるよ」
 明かりを最小限に暗くされて、目が楽になってくる。耳に意識を向けると、ホールにいるスタッフの皆の声がかすかな音として聞こえた。
 部屋のガラス戸からは、ホールの光が漏れ差していた。自分が動けなくなっても、作業を手伝って進めてくれている人達がいることの、有難味と安心感。
 部屋から出ていくジムに感謝を告げ、去る背中を見届ける。彼の匂いを含んだ毛布を顔に寄せ、体はつらいが、気持ちは安心して眠りにつくことができた。
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