Jimmelle & Rayman I

あにらむあみにむ

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12.Schedule

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 ジムがコーヒーを買いに出てくれている間、バックヤードから再び会場に戻り、作品の点検をする。明日は会場の休業日を挟む。素材によってはずっとハンガーにかけていると伸びてしまう作品もあるため、そうしたものは外して平らな場所に置いて、休ませておく必要がある。作業をしていると、臨時スタッフとして手伝ってくれている、サリさんの息子――アツシ君がやってきた。
 『お疲れ様です。閉場作業終わりましたよ』
 『ありがとう。この時間まで手伝わせちゃってごめんね』
 予定では彼に任せる役割は来場者の案内のみで、閉場時間が近付いて来場者が少なくなってきたら帰ってもらう筈だったが、彼は積極的に仕事を見つけて働いてくれた。スタッフの皆とも、翻訳ツールを通しながら交流してくれている。
 『何日か過ごしてみた感想、ここの雰囲気はどう?』
 『楽しいっす。こんだけの作品に囲まれるのもすごいし、来た人達が感想言ってるの聞くのも面白いし。あと、スタッフの人たちマジで良い人ばっかなんすよね』
 『そうでしょ』
 笑顔でスタッフについて触れられ、誇らしく答える。
 『あと俺、ジンメルさんなら翻訳通さなくても何について話してるかは大体わかるって気付きました』
 『わかる! 彼、すごく聞き取りやすい話し方するんだよ』
 国を出て間もなくジムと出会った頃のことを思い出す。彼には会話の良い練習相手になってもらっていた。
 『言葉が少なくて声も大きいから、僕たちには聞き取りやすくていいけど、人には誤解されがちなんだよね』誤解されてしまうのは口の悪さにも要因があると思うが、ここは言わぬが花だろう。
 『あーたしかに、俺も最初ビビったっす。話せば良い人って解るんすけどね。仕事のこと聞いても、こっちがちゃんと解るように説明してくれるし、話せない内容はちゃんと理由を言って断ってくれるし』
 そう、意外なことに、ジムはアツシ君に対して丁寧に接してくれていた。ジム曰く、採用に反対することと、現場を手伝ってくれている人に対して説明を怠るのは別問題だそうだ。少し感情的に反対されたことが気になっていたので、その点の姿勢がちゃんとしていたことになんだか感動してしまう。
 そうして話していると、点検作業も終わりを迎える。会場がそこまで大規模ではないので、スタッフの皆と手分けをして短時間で終了した。
 『レイマンさん。明日と明後日って、ここ休みじゃないすか。明日朝早くないんだったら、これから飯に行きません?』
 『おおー』
 自分の体力のなさに休むことしか――否、本来はフィードバックなどに時間を割くべきなのだが――考えていなかったが、若者のフットワークの軽さに感心する。こういう交流を大切にしたスマートな対人スキルこそ、自分が学ぶべきことだとしみじみと思う。
 『そうだね、じゃあ――』
 「ノー。こいつはこの後予定が控えてる」
 『え、そうだっけ』
 「そうなんだよ」
 急に現れたジムの言葉に困惑し、咄嗟の切り替えも出来ず思わず母国語で聞き返してしまう。片手に買ってきたコーヒー、もう片手にタブレットを持った彼は、翻訳ツールを備えたそれを見ながらこちらの言語を把握しているようだった。
 残念がるアツシ君にジムは続ける。
 「会場が休みでも、デザイナー本人にはその間もやるべきことが山ほどある。会期の間には休みなんて殆ど無いんだ。
 だが、交流を深めることの重要性も俺は解るぜ。折角だ、他のスタッフを誘うと良い」
 つらつらと述べられる言葉の翻訳文をタブレットが表示していき、アツシ君もそれを見て納得する。僕はこの後もやらねばならないことがあるのかとげんなりして、素知らぬ顔のジムを見ていた。
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