Jimmelle & Rayman I

あにらむあみにむ

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16.越境

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 だから、唇を離した時に顔を見てすぐ「間違えた」と思った。だって、こんなにはっきりと目を見開いて、必死に現状を把握しようとして、怯えている顔は、完全に酔いから醒めているじゃないか。
 どうする。間違えた。元にはもどれない。後には退けない。
 ――だったらやるしかないよな。
 「ジ――」
 開きかけた口をまた塞ぐ。今度は体まで覆いかぶさって、押さえつけて。
 多分、抵抗されている。こんなのが全力ではないだろうから、まだ状況を解ってないのかもしれない。それとも、本当にこんなに力が弱いのか。
 どちらにしても、そう、解らせる、解らせた方がいい。こいつのためにも。
 組み敷いた体の衣服を脱がそうとすると、抵抗が強まった。こいつ好みのルーズな部屋着は簡単に剥がれる。パンツと、腹を露出させたところで――はじめて打撃が来た。
 明確な抗議を受け取ってようやっと口を離す。
 「――っは、ジム……ジム、なんでっ……お願いだ、止め――」
 言いかけている唇に指を当て、「シィー」と静かに、繰り返し聞かせて止める。怯えた顔で、混乱したこいつが、肩を上下させて吐息を震わせているのが、心地よかった。
 今しがた叩かれたあばらを触ってみると、その動作を見たレイはばつが悪そうに「ごめん」と小さく謝る。それが、愉快でたまらない。
 本当は痛みもなにもない。ただ、こんなものかと。こんな殊勝な態度でいるから本人も加減をしたのかもしれないが、それにしたってあまりに無力な抵抗だった。
 「じ……ジム、その、ぼ、僕に、何を期待しているのかわからないけど、僕はきっと、君の期待どおりじゃない。僕は“そういうの”じゃないんだ」
 「あー、なんて言うんだっけ、あれ。性的少数者、みたいな?」
 以前に何かの話題に関連してこいつから聞いたことがある話を、思い出して口にする。
 俺の言葉に肯定も否定もせず、ただ固唾を飲むようにこちらの態度を見ていた。少し驚いたような、困惑したような色は、俺が思っていたよりいつも通りに喋ったからかもしれない。
 「でもお前、“そういうの”じゃないだろ」
 そう言って一気に、はだけさせていた部屋着を完全に脱がして下着姿にしていく。抵抗少なく――本当はしていたのかもしれないが、無いも同然だった――ゆとりの多い衣服はすぐに剥ぐことが出来て楽だった。
 「ジ――イメル・フランシス!! おまえ、ろくでなし、クソ野郎、✕✕✕者!」
 すべて俺が教えた悪口の語彙が、こんな形で浴びせられるとは思ってなかった。しかもフルネームを添えて。意外にも流暢な発音に感心しながら、今度はパンツ――まさかブラは最初から着けていないとは予想外だった――を脱がそうと手をかける。するとお転婆にも片足が体を押し返そうとしてくる。さすがに腕より力があるので、本気の抵抗らしい。
 しかたがないので、そのまま開いた足の間に腰を割り込ませる。今度は咄嗟に足を閉じようとしていたが遅く、俺の腰を扇情的に締め付けるだけだった。本人は必死なのだろう様子が可笑しくて、楽しい。
 『――てめ、何、笑ってんだよ!?』
 「何言ってんのかわからねぇよ」
 「僕を笑うな! このクソや――……っ!?」
 罵倒の途中で言葉が詰まる。それまで俺を押し退けようと暴れていた手は口元を押さえていた。まさか今になって吐くのかと一瞬過ったが、どうやら声を押さえようとしているだけらしい。胸の突起を触ったというだけで、いちいち反応がおもしろい。
 声に出て笑ったのがまた気に食わなかったのか顔面に手が伸びてきたので、それを避けて胸の突起に食らいつく。
 「んうっ!」
 大きな声とともに体が跳ねたのに、気を良くする。舌先で転がして、はじいて、押しつぶして。その度に声を上げて跳ねようとする体を押さえ込むようにして、すっかり硬くなった敏感な突起を舌で弄んだ。
 「ジムっ……ジム、止め……っ」
 乞うている途中で甘噛みすると短い悲鳴が上がり、言葉は止まって、それからくぐもった悩ましい唸り声が続いた。本人はよっぽど声が出るのが嫌なのか、押し止める手も減らして自身の口を押さえていた。こんなんで、本当に抵抗しているつもりなのか。
 「……なあ、お前、状況解ってんのか? なんで止めないんだ?」
 「あっ……う、るさい! んぅっ……止めてんだろ……喋ん、な!」
 突起を口に含んだまま話しかけると、一応の返答は返ってくる。どうやらさっきから俺の頭や肩を撫でているだけのこの手は、押し退けようとしているつもりらしい。
 「――ん、ぅっ!」
 最後に吸い上げるようにして胸から口を離し、組み敷いたまま、今度はパンツの中に手を入れる。
 声を押さえるために口に当てていた手を片手であっけなく退かして、再び深く口付ける。こいつの手は、下着の中に入れられた俺の手を止めようと必死に伸ばされていたが、届くこと叶わず指先を掠めるだけに留まっていた。
 既に驚くほど濡れていたそこを、指先で確かめるように撫でる。そのまま自然と滑るように指が入り込み、その途端――体が大きく跳ねた衝撃で、唇に歯を当てられた。
 強い痛みに眉を顰め、更に押さえ込むように深く口付ける。そのまま舌で唇や口内を探ってみて、どうやらこいつに傷は無いらしいことを確認する。その間も指で熱く絡みついてくる肉を好き勝手に弄び、水音を響かせる。絡めた舌にしょっぱさを感じて、自分の唇が思っているより深く切れていることを察した。呻いてばかりのこいつは、自分がそれをやったと気付いているだろうか。
 指の腹で、こいつの腹の内側、ざらついた箇所を、深く、ゆっくりと、執拗に、何度も押し込むように擦る。粘っこい水音を響かせて、腰を逃そうとくねらせて、それでも逃げられず、呼吸は荒く、口も離せず、絶えず混ざり合う血と唾液を幾度となくこいつは嚥下する。くぐもって発せられる声が徐々に大きく、悲鳴めいて変わり――腰が大きく跳ね、肉壁が一際強く指を締め付けた。
 腰の跳ねと膣の収縮が収まるのを待ってから、ようやく唇を離す。途端、大きく呼吸を繰り返し、足りない酸素を必死に取り込もうと胸を上下させていた。自然と口角が上がり、喉が鳴る。
 「おい、まさかイったのかよ?」
 「ち、がう……!」
 絶え絶えながらはっきりとした返答を聞き届けてから、指を引き抜く。その刺激にすらまた声を上げ、腰を跳ねさせている。
 「これも、もういいだろ」
 脚を掴み、濡れそぼったパンツを脱がせていく。閉じて抵抗を見せていた脚を再び開いて体をねじこみ、完全な裸体となった姿を堪能した。
 「じ、ジム、ちがうんだ、き、聞いて。なあ、冗談だよな、こんなの?」
 「こっちのセリフだよ」息荒く言われた言葉に、嗤う。「なにが“そういうのじゃない”だ」
 再び、濡れているそこに指を滑り込ませ、良いようにかき回す。下着が無くなった分動かしやすくなって楽だった。最早水を吸ったスポンジのように、触れれば簡単に汁が溢れ出す。空いた方の手で掴んでいる腰は絶えず艶めかしく動き、しかし決して逃げられず、好き勝手に体内を蹂躙されている。そんな状態で、こんな状況でも、まだ声は漏らしたくないようで、レイの手は再び自身の口を覆っていた。
 ふと思いついて、挿入していた手の親指を最も敏感な箇所へと寄せ、指の腹で擦り上げる。
 「んうぅ!!?」
 大きく腰が跳ね、指が締め付けられ、口を押さえていた指の隙間から、大きな声が漏れた。そこでようやっと口元から手を離し、再び俺の身体を押し退けようと伸ばしてくる――しかしそれがすぐに叶わないとわかると、慌てて今度は攻め立てられている弱点を守ろうとする。ただ、既に深く侵入を許した指を引き抜くことも、押しつぶされたまま刺激を与えられ続ける最も敏感な箇所を隠すことも出来ず、迫る絶頂の波にも抗えず、きつく閉じようとしている唇からうめき声のような嬌声を上げ続けていた。
 こんな様子で性欲が無いだか感じないだとか、よく言えていたものだ。
 しばらく、何度起きていたか分からない膣の痙攣めいた収縮、一際強いそれを再び指に感じたのを確認して、ようやくそこから手を離す。
 一つ、深く呼吸をしてから自分の服を脱いでいくと、酷く汗をかいて、そして知らぬ間に息が上がっていたことに気付いた。脈動を伴う頭痛を感じて、煩わしい。深く息を吐き、汗で額に張り付いていた髪を掻き上げる。下着ごとボトムスまで雑に脱ぎ去ると、自分でもこれほどだったかと疑問に思うほど、硬く熱を帯びて怒張していた。ふと何年振りに使うんだったかと考えるも、どうせ思い出せず、そして意味もないことだとすぐに思い返し、目の前に投げ出されている肢体に目線を移す。
 束の間の休息では逃げることもできず、ただ荒い呼吸を整えることにしか集中できなかったらしい。呆然として見えていた表情が、一気に強張って再びこちらに意識を向けたのは、肌に明らかな熱が触れたのを感じたからだろう。力なく閉じようとする足の間に腰を割り込ませて、抵抗しようと伸ばしてきた両手を掴む。
 「ジム……待って!」
 「いいぜ、待っててやるから何か言ってみな」
 「お、お願い、無理、無理なんだ、僕には。こんなこと、間違ってる」
 喋っている間にも屹立した熱の塊を陰裂に擦り付け、掴んだ手のひらを舐める。こいつの言っていることは意味が解らないし、解らない言葉は意味を成さない。
 「だって、僕ら、僕たちの、関係は、こんなんじゃない。こんなこと、必要ないだろう?」
 「あー……お前にはそうだったのかもな」
 聞くんじゃなかった。我ながら身勝手な腹立たしさを解消するように、劣情の塊を膣内にねじ込む。苦しいほどに窮屈なそこは、いとも滑らかに侵入を許した。大きく短い嬌声、あるいは、悲鳴。
 「……っ」
 予想外に強い刺激に、息が詰まった。身体も、表情も強張る。これは、長く楽しめるものじゃない。
 深く息を吐いて、整える。苦し気な嬌声を上げるとともに腰が逃げようとするのを見て、更に奥へ、劣情を押し込んでいく。これ以上奥へ行きようがないものを、静かに、執拗に押し付ける。
 その度に組み敷いた体は跳ね、肉が淫らに絡みつき、きつく締め付けてくる。これまで声が出る度に口を塞ぎにいっていた手は俺に掴まれたままで、最早震える唇を閉じることも出来ず、とうとう、悲鳴に近い嬌声を上げた。
 たまらなく、気持ちが良かった。
 『ああ、や、やだ。助けて、ジム、やだ』
 拒絶と、救済、俺の名前、そしてまた拒絶。嬌声に交じって荒い呼吸とともに吐かれる異国の言葉は、完全には理解出来ない。解るのは、こいつから教わった覚えのある平易な単語であることだけ。そして何より、必死になって呼ばれる、俺の名前。
 「はは、何だよ」
 腰を引き、打ち付けて、笑う。打ち据えるごとに発せられる、律動的な声。膣内の異物によって、薄い下腹部が隆起させられているのを見る。抜けば平らになり、打ち付ければ膨れる。酷く楽しく、背筋が震えた。
 『あ、あ、や、やだ、ジム、いや、た、たすけ』
 「何だって?」
 『たすけて、ジム、ジム、おねがい』
 掴んでいた手を解放してそのまま上体を密着させると、自然と縋るように抱き着かれる。あるいは、それ以上動くなという意での抵抗のつもりなのかもしれないが――ともかく、気を良くして更に勢いを増して腰を打ち据えた。一際大きな声が出る。
 『いや、やだ! ジム、だめ、やだ、やだやだやだ……!』
 やがて言葉にならない小さな唸り声を絞り出して、小さな痙攣以外の一切の動きが止まったかと思えば、途端に膣が大きく収縮し、堰を切ったようにそれまでにない声量の喘ぎ声が上がった。
 「あー……すげぇ」
 不意の収縮による刺激をやり過ごして、思わず感慨に浸る。
 想像もしていなかった反応、声、姿、感覚、すべてに満足している。
 組み敷いている体は未だに声を上げて軽微な痙攣を続けているが、気にせず再び腰を動かす。
 『ひっ、ジム、やだ、やめ――い……っ!』
 「はぁ、それは、意味のある言葉なのか? ……、ちがうよな」
 『うぅ……! い、やだやだやだぁ……! いく、いく、いく、い――っ!』
 再び大きく跳ねて、噛み締めるように声を出す。大きく達しているのは明らかだったが、今度は腰の動きを緩めなかった。そんな余裕はもうない。
 『――っく、い、いってる、やだ、なんでぇ……っ! い……ってるのに、ジム、いや、動いちゃ、だめ、ジム……! ジム、ジム、いやだ、ジム……っ!』
 「……っ」
 一番奥に腰を打ち付けて、溜めていた劣情を吐き出す。俺に犯されながら、まんまと体液を奥に出されて、絶頂したこいつが口にしているのが俺の名前であることが、たまらなく快楽だった。
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