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4-08.エロトラップダンジョンデート 前編
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ダンジョンの出入口付近。
迷宮の端に存在していた荒野には、ほんの数日とは思えない程の変化があった。
多くの屋台、簡易的な建造物。
そして途切れることの無い人の往来。
まさに、お祭り騒ぎである。
「言ったでしょう。迷宮の生活はダンジョンで成り立っているのよ」
俺の表情を見て、カリンが言った。
なるほど、まさにその言葉が体現されているわけだ。
「エロトラップダンジョンは極めて高難易度。しかし度重なる人柱──探索によって死の危険性が薄いと分かったの」
今こいつ人柱と言ったか?
さておき、カリンの見立ては正しい。
「失われるのは尊厳だけ。安い物よ」
カリンは一瞬だけ遠い目をして言った。失ったのだろうか。
「ところで、ひとつ聞かせてくれ」
「何かしら?」
「俺のいつまで簀巻きなのだ?」
「嫌なの?」
「無論、愉しむことはできる」
「プロなのね」
「だが、このままではカリンに触れることができない」
「触れたいの?」
「デートなのだろう?」
俺はカリンの目を真っ直ぐに見て言った。
彼女は微かに照れたような表情を見せ、胸元から何か取り出す。
札だ。
既に到達済みの回想へ転移できる。
「転移、3階層」
彼女は起動句を述べた。
俺達は光に包まれ、薄暗いダンジョンの中へと転移した。
* 3階層 *
エロトラップダンジョンの三階層。
カリンは上機嫌で俺を解放し、手を握った。
「行きましょう」
無用な言葉は無粋だ。
俺は彼女の手を握り返すことで肯定の意を示し、歩を進める。
さて、この階層には何があっただろうか。
「あ、」
それを考えた直後、隣から「やっちゃった……」という声。
目を向ける。カリンは両手足を拘束されていた。
キュィィィィィィィィン!
「くっ、いきなりなのね!」
クリ攻め大回転丸である。
「破滅の車輪……ッ! 最も多くの冒険者を葬った罠!」
クリ攻め大回転丸である。
あくまで小陰茎というデリケートな場所を攻めるための罠であり、見掛け倒しだ。人体を傷付ける程の威力は無い。冷静に拘束から逃れるか、防御系統のスキルを使えば簡単に攻略できる。
「手助けは必要か?」
「ふっ、愚門ね」
カリンは不敵に笑う。
「私を放置した場合、デートはここで終了よ」
可愛らしいおねだりだ。
俺は軽く息を吐き、カリンの拘束を解いた。
「おっと」
罠から逃れたカリンは、クリ攻め大回転丸の軌道から逃れるためか、俺の身体を強く押した。
「痛った」
壁に後頭部をぶつけた。
(ぽにょん)
痛みが和らいだ。
「……快挙よ」
カリンは声を震わせる。
「私は今、初めて破滅の車輪を攻略した冥界人になったわ!」
クリ攻め大回転丸である。
「そうか」
「ええ! この調子でガンガン到達階層を増やしましょう!」
カリンは俺の手を引き、上機嫌で移動を再開する。
「あっ」
二回目。
* 7階層 *
エロトラップダンジョンの最深部は108階層である。
異世界の住人達ならば、子供でもソロで30階層まではイケる難易度だ。
冥界人との大きな違いは、罠探知スキルの有無だろうか。
30階層までの罠には、スキルに対する抵抗が無い。つまり、どれほど練度の弱い探知スキルだろうが、全ての罠を事前に発見することができる。
「ひぃぁああ!?」
どうやらカリンにはスキルが無いらしい。
先程から「ほぼ全て」の罠を「わざとか?」と思える頻度で発動させ、可愛らしい悲鳴をあげている。
「今度はなに!? 今度はなにぃ!?」
カリンは足を取られ、天井から逆さに吊るされた。
そして彼女の正面に位置する床から、ヌメヌメした棒状な物体が現れた。
(……ふむ、片串刺しトラップだな)
実に残酷な字面だが、ここはエロトラップダンジョンである。
串刺しとは、要するに上の口と下の口を同時に攻める言葉である。
より深い階層へ行けば、両串刺しトラップも登場するのだが、浅い階層で現れるのは肩串刺しトラップだけだ。
「カリン、落ち着け。足の方の拘束は脆い。魔法を使えば、簡単に脱出できる」
助言すると、彼女は天井に向かって魔法を放った。
「!?」
しまった、助言が足りなかった。
このトラップから逃れる時には、横方向の動きを付ける必要がある。静止した状態で拘束を解けば、トラップに向かって真っすぐに落ちるからだ。
俺はスキルを発動させた。
シンプルに、身体能力を向上させるものである。
地面を蹴り、落下するカリンを救出する。
それから安全な場所に着地して、彼女に言う。
「大丈夫か?」
「……キスしましょう」
大丈夫じゃないみたいだ。
迷宮の端に存在していた荒野には、ほんの数日とは思えない程の変化があった。
多くの屋台、簡易的な建造物。
そして途切れることの無い人の往来。
まさに、お祭り騒ぎである。
「言ったでしょう。迷宮の生活はダンジョンで成り立っているのよ」
俺の表情を見て、カリンが言った。
なるほど、まさにその言葉が体現されているわけだ。
「エロトラップダンジョンは極めて高難易度。しかし度重なる人柱──探索によって死の危険性が薄いと分かったの」
今こいつ人柱と言ったか?
さておき、カリンの見立ては正しい。
「失われるのは尊厳だけ。安い物よ」
カリンは一瞬だけ遠い目をして言った。失ったのだろうか。
「ところで、ひとつ聞かせてくれ」
「何かしら?」
「俺のいつまで簀巻きなのだ?」
「嫌なの?」
「無論、愉しむことはできる」
「プロなのね」
「だが、このままではカリンに触れることができない」
「触れたいの?」
「デートなのだろう?」
俺はカリンの目を真っ直ぐに見て言った。
彼女は微かに照れたような表情を見せ、胸元から何か取り出す。
札だ。
既に到達済みの回想へ転移できる。
「転移、3階層」
彼女は起動句を述べた。
俺達は光に包まれ、薄暗いダンジョンの中へと転移した。
* 3階層 *
エロトラップダンジョンの三階層。
カリンは上機嫌で俺を解放し、手を握った。
「行きましょう」
無用な言葉は無粋だ。
俺は彼女の手を握り返すことで肯定の意を示し、歩を進める。
さて、この階層には何があっただろうか。
「あ、」
それを考えた直後、隣から「やっちゃった……」という声。
目を向ける。カリンは両手足を拘束されていた。
キュィィィィィィィィン!
「くっ、いきなりなのね!」
クリ攻め大回転丸である。
「破滅の車輪……ッ! 最も多くの冒険者を葬った罠!」
クリ攻め大回転丸である。
あくまで小陰茎というデリケートな場所を攻めるための罠であり、見掛け倒しだ。人体を傷付ける程の威力は無い。冷静に拘束から逃れるか、防御系統のスキルを使えば簡単に攻略できる。
「手助けは必要か?」
「ふっ、愚門ね」
カリンは不敵に笑う。
「私を放置した場合、デートはここで終了よ」
可愛らしいおねだりだ。
俺は軽く息を吐き、カリンの拘束を解いた。
「おっと」
罠から逃れたカリンは、クリ攻め大回転丸の軌道から逃れるためか、俺の身体を強く押した。
「痛った」
壁に後頭部をぶつけた。
(ぽにょん)
痛みが和らいだ。
「……快挙よ」
カリンは声を震わせる。
「私は今、初めて破滅の車輪を攻略した冥界人になったわ!」
クリ攻め大回転丸である。
「そうか」
「ええ! この調子でガンガン到達階層を増やしましょう!」
カリンは俺の手を引き、上機嫌で移動を再開する。
「あっ」
二回目。
* 7階層 *
エロトラップダンジョンの最深部は108階層である。
異世界の住人達ならば、子供でもソロで30階層まではイケる難易度だ。
冥界人との大きな違いは、罠探知スキルの有無だろうか。
30階層までの罠には、スキルに対する抵抗が無い。つまり、どれほど練度の弱い探知スキルだろうが、全ての罠を事前に発見することができる。
「ひぃぁああ!?」
どうやらカリンにはスキルが無いらしい。
先程から「ほぼ全て」の罠を「わざとか?」と思える頻度で発動させ、可愛らしい悲鳴をあげている。
「今度はなに!? 今度はなにぃ!?」
カリンは足を取られ、天井から逆さに吊るされた。
そして彼女の正面に位置する床から、ヌメヌメした棒状な物体が現れた。
(……ふむ、片串刺しトラップだな)
実に残酷な字面だが、ここはエロトラップダンジョンである。
串刺しとは、要するに上の口と下の口を同時に攻める言葉である。
より深い階層へ行けば、両串刺しトラップも登場するのだが、浅い階層で現れるのは肩串刺しトラップだけだ。
「カリン、落ち着け。足の方の拘束は脆い。魔法を使えば、簡単に脱出できる」
助言すると、彼女は天井に向かって魔法を放った。
「!?」
しまった、助言が足りなかった。
このトラップから逃れる時には、横方向の動きを付ける必要がある。静止した状態で拘束を解けば、トラップに向かって真っすぐに落ちるからだ。
俺はスキルを発動させた。
シンプルに、身体能力を向上させるものである。
地面を蹴り、落下するカリンを救出する。
それから安全な場所に着地して、彼女に言う。
「大丈夫か?」
「……キスしましょう」
大丈夫じゃないみたいだ。
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