39 / 68
第32話 真のラスボス
しおりを挟む
◯月曜日
作品 惑星ゲーム
目標 5分(世界記録2分
達成。
◯火曜日
作品 岩親父
目標 120分(世界記録70分)
達成。
◯水曜日
作品 登るだけ!
目標 30分(世界記録20分)
達成。
◯木曜日
作品 壺親父
目標 10分(世界記録1分
――達成。
『ミーコおめでとう!』
真希、褒める。
『ミーコがんばったね!
ミーコえらいね! ミーコかわいいね! ミーコ貢がせて♡』
:最後www
:^q^
:悔しいけど気持ちは分かる。すごかった
『ん~、撫でたい!』
:舐めたい?
:なめたいwww
:今なめたいって言った?
:もしもしポリスメン?
:通報した
『エアよしよし!
エアよしよし!
ん~、ミーコえらいえらい、ちゅ~!』
真希のアバターがミーコの周辺で荒ぶる。
:きっつ
:^q^
:ミーコの表情草
:マーキングやめろw
ミーコはこたつになった。
『……ミーコ!?』
:当然の反応なんだよなあ
:出たw
:何これwww
その後、3分ほど茶番が続く。
真希が涎を拭いたことでミーコが顔を出し、ようやく本題に入った。
『ところでミーコ、気にならない?』
ミーコは喋らない。
ただ、耳がピコピコしている。
『金曜日』
真希は言う。
『まだひとつ、残ってるよね?』
彼女が企画したRTAチャレンジは、五日連続となっている。
しかし作品名などが明かされているのは四日目まで。最終日である金曜日は「?」となっていた。
『発表します!』
真希はテンポ良く言う。
『最後の種目……
真のラスボスは……!』
ダラララララララララ……。
『じゃん!』
画面に表示されていた企画書が切り替わる。
次に現れたのは、パワポで作ったような一枚の表紙だった。
『真希にぽよテト3で勝つまで出られない部屋!』
:うわ
:監禁じゃん
:えぇぇ……
:そこまでやる???
:どんだけ入こたしたいのwwww
一部の視聴者達はドン引きしていた。
その理由は、真希が「ぽよテト」を選択したことにある。
『コメントでぼろくそ言われてますが……、
ウチも鬼じゃないので。期限は16日とします。ルールは3先ね』
:無理に決まってんだろ
:いやでもミーコなら
:なんで16日?
3先とは、先に3勝した方が勝ち、というルールのことである。
ぽよテトは、実力が拮抗していない限り、運に左右される要素が少ない。
3先ルールならば、超高確率で強い方が勝つ。
ミーコが真希に勝利するためには、単純に、実力で勝る必要がある。
しかし、真希はとてつもなく強い。
定期的に開催される「Vtuberぽよテト大会」においては、強すぎて殿堂入り。プロが参加する大会でも通用するレベルの猛者である。
そんな相手に16日で勝つ?
無理に決まってんだろ。というのが真希を知る視聴者の総意だった。
『ミーコはテト派だけど、ぽよを使うなら、ウチが教えてあげてもいいよ♡』
真希は涎が垂れてそうな声で言った。
数秒後、ミーコはとても小さな声で返事をする。
『……ぇ、やだ』
:断られてて草
:ミーコよく言った!
:きゃー! ミーコが喋りましたわぁ!!
:真希涙拭けよ。ついでに涎も
『……どう、して』
真希はこの世の終わりみたいな声で言った。
ミーコは再び数秒の間を開けた後、蚊の鳴くような声で言う。
『…………かわいそう』
:かわいそうwwwww
:草
:どゆことwww
視聴者達はミーコの意図をくみ取れず、とりあえず笑った。
『どうして、何がかわいそうなの?』
真希は問いかけた。
またしても数秒の間が空き、ミーコは言った。
『……ぽよ』
『ぽよ!?』
ミーコの呼吸音。
『……あんな、かわいい子、消せない』
『えぇ!?』
ミーコは「ぽよ」のプレイを避けている。
その理由は、なんか、かわいそうだから。
『えー!?
やだやだ。やーだ!
ぽよ楽しいよ! 一緒にやろうよ!
ミーコがぽよやってくれるまで今日は配信終わらない!
やーだ! いやあああああ! やだやだやーだああああ!』
:なにこれ
:草
:^q^
:ほんときしょくてすこwww
真希は駄々をこねた。
ミーコはひたすら困惑した。
真希の癇癪は、十分近く続いた。
『うぅ、ひっぐ、ぐすん。
今日は諦めるね。ミーコもしっかり休んでね』
ミーコはうなずいた。
『終わり~』
そして配信は急に終わった。
この後、色々な意味で見どころの多かったミーコのRTAチャレンジは、たくさんのチャンネルで切り抜かれ、累計50万回ほど再生されることになる。
停滞していた生徒数、フォロワー数もまた、じわじわと伸び始めた。
当然、ファンの層が広がる。
その結果、一部の人々が気が付いた。
16日後って、確か――
作品 惑星ゲーム
目標 5分(世界記録2分
達成。
◯火曜日
作品 岩親父
目標 120分(世界記録70分)
達成。
◯水曜日
作品 登るだけ!
目標 30分(世界記録20分)
達成。
◯木曜日
作品 壺親父
目標 10分(世界記録1分
――達成。
『ミーコおめでとう!』
真希、褒める。
『ミーコがんばったね!
ミーコえらいね! ミーコかわいいね! ミーコ貢がせて♡』
:最後www
:^q^
:悔しいけど気持ちは分かる。すごかった
『ん~、撫でたい!』
:舐めたい?
:なめたいwww
:今なめたいって言った?
:もしもしポリスメン?
:通報した
『エアよしよし!
エアよしよし!
ん~、ミーコえらいえらい、ちゅ~!』
真希のアバターがミーコの周辺で荒ぶる。
:きっつ
:^q^
:ミーコの表情草
:マーキングやめろw
ミーコはこたつになった。
『……ミーコ!?』
:当然の反応なんだよなあ
:出たw
:何これwww
その後、3分ほど茶番が続く。
真希が涎を拭いたことでミーコが顔を出し、ようやく本題に入った。
『ところでミーコ、気にならない?』
ミーコは喋らない。
ただ、耳がピコピコしている。
『金曜日』
真希は言う。
『まだひとつ、残ってるよね?』
彼女が企画したRTAチャレンジは、五日連続となっている。
しかし作品名などが明かされているのは四日目まで。最終日である金曜日は「?」となっていた。
『発表します!』
真希はテンポ良く言う。
『最後の種目……
真のラスボスは……!』
ダラララララララララ……。
『じゃん!』
画面に表示されていた企画書が切り替わる。
次に現れたのは、パワポで作ったような一枚の表紙だった。
『真希にぽよテト3で勝つまで出られない部屋!』
:うわ
:監禁じゃん
:えぇぇ……
:そこまでやる???
:どんだけ入こたしたいのwwww
一部の視聴者達はドン引きしていた。
その理由は、真希が「ぽよテト」を選択したことにある。
『コメントでぼろくそ言われてますが……、
ウチも鬼じゃないので。期限は16日とします。ルールは3先ね』
:無理に決まってんだろ
:いやでもミーコなら
:なんで16日?
3先とは、先に3勝した方が勝ち、というルールのことである。
ぽよテトは、実力が拮抗していない限り、運に左右される要素が少ない。
3先ルールならば、超高確率で強い方が勝つ。
ミーコが真希に勝利するためには、単純に、実力で勝る必要がある。
しかし、真希はとてつもなく強い。
定期的に開催される「Vtuberぽよテト大会」においては、強すぎて殿堂入り。プロが参加する大会でも通用するレベルの猛者である。
そんな相手に16日で勝つ?
無理に決まってんだろ。というのが真希を知る視聴者の総意だった。
『ミーコはテト派だけど、ぽよを使うなら、ウチが教えてあげてもいいよ♡』
真希は涎が垂れてそうな声で言った。
数秒後、ミーコはとても小さな声で返事をする。
『……ぇ、やだ』
:断られてて草
:ミーコよく言った!
:きゃー! ミーコが喋りましたわぁ!!
:真希涙拭けよ。ついでに涎も
『……どう、して』
真希はこの世の終わりみたいな声で言った。
ミーコは再び数秒の間を開けた後、蚊の鳴くような声で言う。
『…………かわいそう』
:かわいそうwwwww
:草
:どゆことwww
視聴者達はミーコの意図をくみ取れず、とりあえず笑った。
『どうして、何がかわいそうなの?』
真希は問いかけた。
またしても数秒の間が空き、ミーコは言った。
『……ぽよ』
『ぽよ!?』
ミーコの呼吸音。
『……あんな、かわいい子、消せない』
『えぇ!?』
ミーコは「ぽよ」のプレイを避けている。
その理由は、なんか、かわいそうだから。
『えー!?
やだやだ。やーだ!
ぽよ楽しいよ! 一緒にやろうよ!
ミーコがぽよやってくれるまで今日は配信終わらない!
やーだ! いやあああああ! やだやだやーだああああ!』
:なにこれ
:草
:^q^
:ほんときしょくてすこwww
真希は駄々をこねた。
ミーコはひたすら困惑した。
真希の癇癪は、十分近く続いた。
『うぅ、ひっぐ、ぐすん。
今日は諦めるね。ミーコもしっかり休んでね』
ミーコはうなずいた。
『終わり~』
そして配信は急に終わった。
この後、色々な意味で見どころの多かったミーコのRTAチャレンジは、たくさんのチャンネルで切り抜かれ、累計50万回ほど再生されることになる。
停滞していた生徒数、フォロワー数もまた、じわじわと伸び始めた。
当然、ファンの層が広がる。
その結果、一部の人々が気が付いた。
16日後って、確か――
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる