19 / 221
最初の一歩
人生ゲームを作った日(1)
しおりを挟む
エロ漫画家さんに風呂のことを頼んだ後、俺は部屋に戻って勉強を始めた。
期限は一週間。金にも余裕があるし、死ぬ気でやってやるよ。
気合は十分……だった。
勉強を始めてから1時間。
俺は、僅か30ページ程の薄い教材を読破した。
結論から言おう。
まるで分からん。
この本で得た情報をどう使えば人生ゲームを作れるのか、まったく想像できない。
まずは俺が勉強したことを紹介しよう。
『
~ドキ☆三種の神器~
プログラムに必要なのは、たった3つ!
ひとつ! 箱!
ひとつ! 鍵!
ひとつ! 眼鏡!
たったこれだけで、世界征服だって出来ちゃう☆
』
1ページ目にして本を破り捨てようと思ったが、最近の教本はこんなノリが主流なのかもしれないと踏み止まった。タイトルからして『猿にも分かる』だからな。あえて砕けた表現をしているのかもしれない。
……それにしたって砕けすぎだろ。バカにしてんのかよ。
ふと、著者が気になった。
著:和崎優斗
「やっぱバカにしてんだろ!? そうなんだろ!?」
あ、ちょ、やばっ、ビリって聞こえた……よし、これならまだ読める。
「……冷静になろう」
ふざけた本ではあったが、内容はまともだった。プログラムについて理解が深まったような気がするというか、本を読む前と今では明らかに印象が違う。
もっとこう、プログラムって意味不明な物だと思っていたが、そんなことは無い。理解するだけなら、きっとみさきにだって出来る内容だった。
例えば最初に挙げた三種の神器。
箱、鍵、眼鏡。
プログラムってのは計算機で、計算結果を箱に突っ込んでどうこうする物らしい。
int hako = 1 + 1 ;
こうすれば「hako」という名前の箱に「1 + 1」の計算結果「2」が収納される。
hako = hako + 5 ;
とすれば「2 + 5」としたことになり、箱の中に「7」が収納される。
眼鏡ってのは、箱の中に入っている物を確認する道具で、
printf(" %d " , hako );
こんな風に使う。
最後に鍵だが、
if( hako < 10 )
hako = hako + 1;
これは箱に入ってる数字が10を下回っていたら1を足すという処理をしている。
以上が、プログラムの全てだそうだ。
他にも小難しい事が沢山あるが、結局は箱を沢山使う方法だったり、計算速度を早くする方法だったりで、三種の神器さえ使いこなせれば、どんなものだって作れると本に書いてあった。
どうだ、理解は出来るだろ?
そこで問題だ。
たったコレだけの知識を使って、いったいどうやって人生ゲームを作ればいい?
「……ダメだ、さっぱり分からねぇ」
人生ゲームといえばアレだろ?
ルーレット回して、ボードの上をクルクル周って、死ぬまでにいくら稼げるかっていうゲームだろ?
「頭使うのは苦手なんだよな……」
文句を言っても解決しないことは分かっているけれど、思わず呟いてしまう。頭を使わなければ人生ゲームを作ることは出来ないと直感的に理解できるが、猿にも分かるらしい本は、とことん頭を空っぽにして書いたような内容だった。他の入門者達は本当にこんな本で理解できるのか? そう思ってしまう。
例えば初めてプログラムを実行する時の原文はこうだった。
流れとしては、箱を作って、そこに数字を入れ、内容を確認するという具合。
『
ほんとぅに箱に入ったか気になるよね?
そんなキミに、
眼☆鏡をプレゼントだ( *´艸`)
printf(" %d \n " , a);
と書いて、プログラムを実行してみよう!
1.vim 1.cpp でエディタを開く
2.前回と同じ手順で、mainの中に書き加える。
#include <stdio.h>
int main()
{
int a = 1 + 1 ;
printf("%d \n",a);
return 0;
}
3.g++ 1.cpp でコンパイルする
4../a.out でプログラムを実行
てへ☆初めてのプログラム実行が完了しちゃったね♪
』
ブイアイエムとかエディタとかシーピーピーとかジープラスプラスとか、そういう専門用語の説明は、どこにも書いてない。分かるという前提なのか、自分で考えろという意味なのか……どちらにせよ、ふざけてる。
「ああクソっ、文句ばっか言ってても始まんねぇ」
1日目。
俺は何度も本を読み直して勉強した。読む度に理解は深まっていくが、肝心のゲームについては少しも進展しなかった。
期限は一週間。金にも余裕があるし、死ぬ気でやってやるよ。
気合は十分……だった。
勉強を始めてから1時間。
俺は、僅か30ページ程の薄い教材を読破した。
結論から言おう。
まるで分からん。
この本で得た情報をどう使えば人生ゲームを作れるのか、まったく想像できない。
まずは俺が勉強したことを紹介しよう。
『
~ドキ☆三種の神器~
プログラムに必要なのは、たった3つ!
ひとつ! 箱!
ひとつ! 鍵!
ひとつ! 眼鏡!
たったこれだけで、世界征服だって出来ちゃう☆
』
1ページ目にして本を破り捨てようと思ったが、最近の教本はこんなノリが主流なのかもしれないと踏み止まった。タイトルからして『猿にも分かる』だからな。あえて砕けた表現をしているのかもしれない。
……それにしたって砕けすぎだろ。バカにしてんのかよ。
ふと、著者が気になった。
著:和崎優斗
「やっぱバカにしてんだろ!? そうなんだろ!?」
あ、ちょ、やばっ、ビリって聞こえた……よし、これならまだ読める。
「……冷静になろう」
ふざけた本ではあったが、内容はまともだった。プログラムについて理解が深まったような気がするというか、本を読む前と今では明らかに印象が違う。
もっとこう、プログラムって意味不明な物だと思っていたが、そんなことは無い。理解するだけなら、きっとみさきにだって出来る内容だった。
例えば最初に挙げた三種の神器。
箱、鍵、眼鏡。
プログラムってのは計算機で、計算結果を箱に突っ込んでどうこうする物らしい。
int hako = 1 + 1 ;
こうすれば「hako」という名前の箱に「1 + 1」の計算結果「2」が収納される。
hako = hako + 5 ;
とすれば「2 + 5」としたことになり、箱の中に「7」が収納される。
眼鏡ってのは、箱の中に入っている物を確認する道具で、
printf(" %d " , hako );
こんな風に使う。
最後に鍵だが、
if( hako < 10 )
hako = hako + 1;
これは箱に入ってる数字が10を下回っていたら1を足すという処理をしている。
以上が、プログラムの全てだそうだ。
他にも小難しい事が沢山あるが、結局は箱を沢山使う方法だったり、計算速度を早くする方法だったりで、三種の神器さえ使いこなせれば、どんなものだって作れると本に書いてあった。
どうだ、理解は出来るだろ?
そこで問題だ。
たったコレだけの知識を使って、いったいどうやって人生ゲームを作ればいい?
「……ダメだ、さっぱり分からねぇ」
人生ゲームといえばアレだろ?
ルーレット回して、ボードの上をクルクル周って、死ぬまでにいくら稼げるかっていうゲームだろ?
「頭使うのは苦手なんだよな……」
文句を言っても解決しないことは分かっているけれど、思わず呟いてしまう。頭を使わなければ人生ゲームを作ることは出来ないと直感的に理解できるが、猿にも分かるらしい本は、とことん頭を空っぽにして書いたような内容だった。他の入門者達は本当にこんな本で理解できるのか? そう思ってしまう。
例えば初めてプログラムを実行する時の原文はこうだった。
流れとしては、箱を作って、そこに数字を入れ、内容を確認するという具合。
『
ほんとぅに箱に入ったか気になるよね?
そんなキミに、
眼☆鏡をプレゼントだ( *´艸`)
printf(" %d \n " , a);
と書いて、プログラムを実行してみよう!
1.vim 1.cpp でエディタを開く
2.前回と同じ手順で、mainの中に書き加える。
#include <stdio.h>
int main()
{
int a = 1 + 1 ;
printf("%d \n",a);
return 0;
}
3.g++ 1.cpp でコンパイルする
4../a.out でプログラムを実行
てへ☆初めてのプログラム実行が完了しちゃったね♪
』
ブイアイエムとかエディタとかシーピーピーとかジープラスプラスとか、そういう専門用語の説明は、どこにも書いてない。分かるという前提なのか、自分で考えろという意味なのか……どちらにせよ、ふざけてる。
「ああクソっ、文句ばっか言ってても始まんねぇ」
1日目。
俺は何度も本を読み直して勉強した。読む度に理解は深まっていくが、肝心のゲームについては少しも進展しなかった。
1
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる