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第三章 りょーくんのうた
SS:みさきとおきてるりょーくん
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りょーくんが起きる。
ほのぼのした気分でぼーっとしていたみさきは、その気配を感じ取ると身を強張らせた。
今のみさきは、りょーくんの腕の中にスッポリおさまってしまっている。
つまり、このままりょーくんが目を覚ますと、とても恥ずかしい。
みさきは脱出を試みた!
まずはりょーくんの腕をそーっと……
「みさき?」
みさきは寝たフリ作戦を発動した!
「おはよう……って、寝てるのか」
反射的におはようと返事をしそうになって、しかしギリギリの所で我慢すると、りょーくんは優しい声で言った。作戦成功である。みさきは努めて自然に目を閉じて、真っ暗な世界から背中に感じるりょーくんの動きを見守る。
むにむに。
「やっぱみさきのほっぺは柔らかいな」
むにむに、むにむに。
もう、りょーくんつつきすぎ。
みさきは軽く唇を噛んで、頬が緩んでくるのを抑えた。
「おかえり、みさき」
次はお腹。寝ている時よりも少し強く抱きしめられた。
ふるふると、みさきの唇が震える。しかし、りょーくんの位置からみさきの唇は見えない。
「……なんでだろうな。みさきが居るだけで、なんでも出来る気がするよ」
久しぶりにいっぱい聞くりょーくんの声は、記憶に残っている声よりもずっと優しくて、みさきはなんだか背中が痒くなった。
そろそろ我慢の限界である。
しかし脱出の望みは当の昔に潰えている。
「……っと、いけね。書類とか確認しねぇと」
思い出したように言って、ごそごそと体を動かすりょーくん。
「みさき、ちょっとごめんな」
りょーくんはみさきの背中と膝の下に手を入れると、ゆっくりと体を持ち上げた。寝たフリを続けるみさきは、ほっとしたような悲しいような、なんだか複雑な気分だった。
「……みさき?」
がまん。
「ん、笑ってる?」
きのせい。
「起きてるのか?」
ねてる。
「みさき?」
ピンチである。このまま目を覚ましたら、さっきよりも恥ずかしい。
みさきは瞬時に思考し、打開策を見出した。
「……けーき、おいしー」
「なんだ、夢見てんのか。旨そうな夢だな」
大成功である。
ちょっとした浮遊感の後、みさきの体は少し冷たくて柔らかい物の上にそっと置かれた。なにって、目を開けるまでも無く布団である。布団で……りょーくんの匂いがする。
みさきがスーンと鼻で息を吸うのを見た後、龍誠は微笑んで、みさきを起こさないよう静かに歩いて結衣が置いた荷物を手に取った。荷物といっても電子ピアノの入った箱だけなのだが。
龍誠は箱を開け、そこから電子ピアノを取り出し、箱を逆さまにして残った書類を――ドサッ!
数枚の紙切れを想像していた龍誠は、しかし圧倒的な重量感を持って現れた書類の束に思わず口を開いた。少なく見積もっても五センチはある。
「……これを全部読め、だと?」
戦慄しながら、震える手で紙束を持った。一縷の望みをかけてペラペラとめくって見るけれど、果たしてどの紙にもギッシリと文字が刻まれていた。両面で。
「上等だ、やってやるよ」
一方で、みさきは幸せな気分で布団の上に居た。
……んー、りょーくんのにおい。
この匂い好き。
みさきは満足するまでクンクンした後、こっそり目を開けてりょーくんを探した。
玄関の前、げんなりした様子で本を読んでいるりょーくんの姿を見付ける。
……なに?
りょーくんが読んでいる本が気になって少し体を起こすみさき。
じーっと細めた目に映ったのは、しかし本では無く紙の束だった。
「ん? おお、起きたのかみさき。おはよう」
ちょっと見ただけで気付かれてしまったみさきは、パチパチと瞬きをして驚きを表現する。
「……おはよ」
なんとか小さな声で挨拶すると、りょーくんは読んでいた紙の束を箱の中に入れて、みさきの傍まで歩いた。それに合わせて立ち上がる。
「あらためて、おかえり、みさき」
「……ん」
みさきの隣に座ったりょーくん。
みさきはコクリと頷いて、箱の方を見た。
「……なに?」
「ああ、見てたのか。あれは……小学校の話だな」
「……ん」
小学校という言葉には聞き覚えがある。
とさきゆいちゃん!
はい!
きょうから、いちねんせいです!
はい!
と独り芝居をしていたゆいちゃんの姿。みさきは鮮明に覚えていた。
「いちねんせい」
「おう、みさきも来週から一年生だ」
「にゅうがくしき?」
「そうそう、良く知ってるなみさき」
ドキドキ。
「……かっこいい?」
「おう、超かっこいいぞ」
りょーくんはキラランと歯を見せると、ぽんとみさきの頭に手を置いた。
みさきはキャッキャと心の中で喜びつつも、表情では平静を装って言う。
「いっぱい、べんきょう」
「そうか、頑張れよ」
でも、とりょーくんは言って、
「勉強は勿論、いっぱい友達が出来るといいな」
「ふじさん?」
「ははは、百人はちょっと難しいだろ」
ともだちひゃくにんつくります!
みさきは何かを思い出したような気がしたが、次の瞬間には全てを忘れたことにしていた。
「一人で十分だ。たくさん出来るなら、それでいいけどな」
「……ん?」
「ちょっと難しかったか。ま、とりあえず楽しめ」
「……ん」
りょーくんの言っていることが分からなくて、みさきはちょっぴり悔しかった。
いっぱい勉強しよう。
「そういやみさき、さっきどんな夢見てたんだ?」
「……ん?」
「寝言でケーキとか言ってたぞ」
「…………」
ぷいっ。
みさきは恥ずかしくなって顔を逸らした。
「み、みさき? もしかして怒ったのか? うぉぉぉすまねぇ! 許してくれみさきぃ!」
ガンとりょーくんは床に頭を叩き付ける。
音が痛そう。
みさきは慌てて声を出した。
「ちがう」
「違うって、なんだ? 土下座の方法か?」
「……ねごと」
「寝言?」
「……………………はず、かし」
ぽかんと、りょーくんは口を開けていた。
みさきは二秒だけ耐えたあと、またぷいっと顔を逸らした。でも今回はそれだけじゃ足りなくて、みさきはりょーくんに背を向けると、布団にもぐって顔を隠した。
「ケーキっ」
ケーキを食べさせてくれたら、許してあげる。
そういう意味でみさきは言った。
それは明らかに足りない言葉で、しかし龍誠は瞬時に意味を理解すると立ち上がる。
「分かった! 実はケーキが上手いって評判の店を見つけたところなんだよ」
「……ん」
みさきはニヤリと口を一の字にして、のそのそと布団から後ろ向きに這い出た。そのあと、ペタンと布団に尻もちを付いたまま、りょーくんを見上げた。
「行くか」
「んっ」
ぴょんと立ち上がって、じーっとりょーくんの手を見るみさき。
「どうかしたか?」
ふりふり。
「そうか……っと、少し急がねぇと暗くなっちまう。走るぞみさき!」
少し慌ただしく、龍誠は部屋のドアをあけた。
みさきはトコトコかけて、外に出る。
空は雲一つ無い快晴で、太陽は高い所でニコニコして、満開に近づきつつある桜を見ていた。空気は暖かくて、風も適度に吹いていて気持ちが良い。
久しぶりに、りょーくんと一緒に走る。
みさきはワクワクしていた。
うずうず。
その場で足踏みをして、ちょうどドアを閉めたりょーくんに「まだ?」と目で伝える。
りょーくんは気持ちよさそうな顔で空を見上げた後、みさきの隣まで歩いて、ピタっと止まった。
「待て、準備運動だ」
「……ん」
しょんぼり。
みさきは、勢いを大事にしてほしかった。
ほのぼのした気分でぼーっとしていたみさきは、その気配を感じ取ると身を強張らせた。
今のみさきは、りょーくんの腕の中にスッポリおさまってしまっている。
つまり、このままりょーくんが目を覚ますと、とても恥ずかしい。
みさきは脱出を試みた!
まずはりょーくんの腕をそーっと……
「みさき?」
みさきは寝たフリ作戦を発動した!
「おはよう……って、寝てるのか」
反射的におはようと返事をしそうになって、しかしギリギリの所で我慢すると、りょーくんは優しい声で言った。作戦成功である。みさきは努めて自然に目を閉じて、真っ暗な世界から背中に感じるりょーくんの動きを見守る。
むにむに。
「やっぱみさきのほっぺは柔らかいな」
むにむに、むにむに。
もう、りょーくんつつきすぎ。
みさきは軽く唇を噛んで、頬が緩んでくるのを抑えた。
「おかえり、みさき」
次はお腹。寝ている時よりも少し強く抱きしめられた。
ふるふると、みさきの唇が震える。しかし、りょーくんの位置からみさきの唇は見えない。
「……なんでだろうな。みさきが居るだけで、なんでも出来る気がするよ」
久しぶりにいっぱい聞くりょーくんの声は、記憶に残っている声よりもずっと優しくて、みさきはなんだか背中が痒くなった。
そろそろ我慢の限界である。
しかし脱出の望みは当の昔に潰えている。
「……っと、いけね。書類とか確認しねぇと」
思い出したように言って、ごそごそと体を動かすりょーくん。
「みさき、ちょっとごめんな」
りょーくんはみさきの背中と膝の下に手を入れると、ゆっくりと体を持ち上げた。寝たフリを続けるみさきは、ほっとしたような悲しいような、なんだか複雑な気分だった。
「……みさき?」
がまん。
「ん、笑ってる?」
きのせい。
「起きてるのか?」
ねてる。
「みさき?」
ピンチである。このまま目を覚ましたら、さっきよりも恥ずかしい。
みさきは瞬時に思考し、打開策を見出した。
「……けーき、おいしー」
「なんだ、夢見てんのか。旨そうな夢だな」
大成功である。
ちょっとした浮遊感の後、みさきの体は少し冷たくて柔らかい物の上にそっと置かれた。なにって、目を開けるまでも無く布団である。布団で……りょーくんの匂いがする。
みさきがスーンと鼻で息を吸うのを見た後、龍誠は微笑んで、みさきを起こさないよう静かに歩いて結衣が置いた荷物を手に取った。荷物といっても電子ピアノの入った箱だけなのだが。
龍誠は箱を開け、そこから電子ピアノを取り出し、箱を逆さまにして残った書類を――ドサッ!
数枚の紙切れを想像していた龍誠は、しかし圧倒的な重量感を持って現れた書類の束に思わず口を開いた。少なく見積もっても五センチはある。
「……これを全部読め、だと?」
戦慄しながら、震える手で紙束を持った。一縷の望みをかけてペラペラとめくって見るけれど、果たしてどの紙にもギッシリと文字が刻まれていた。両面で。
「上等だ、やってやるよ」
一方で、みさきは幸せな気分で布団の上に居た。
……んー、りょーくんのにおい。
この匂い好き。
みさきは満足するまでクンクンした後、こっそり目を開けてりょーくんを探した。
玄関の前、げんなりした様子で本を読んでいるりょーくんの姿を見付ける。
……なに?
りょーくんが読んでいる本が気になって少し体を起こすみさき。
じーっと細めた目に映ったのは、しかし本では無く紙の束だった。
「ん? おお、起きたのかみさき。おはよう」
ちょっと見ただけで気付かれてしまったみさきは、パチパチと瞬きをして驚きを表現する。
「……おはよ」
なんとか小さな声で挨拶すると、りょーくんは読んでいた紙の束を箱の中に入れて、みさきの傍まで歩いた。それに合わせて立ち上がる。
「あらためて、おかえり、みさき」
「……ん」
みさきの隣に座ったりょーくん。
みさきはコクリと頷いて、箱の方を見た。
「……なに?」
「ああ、見てたのか。あれは……小学校の話だな」
「……ん」
小学校という言葉には聞き覚えがある。
とさきゆいちゃん!
はい!
きょうから、いちねんせいです!
はい!
と独り芝居をしていたゆいちゃんの姿。みさきは鮮明に覚えていた。
「いちねんせい」
「おう、みさきも来週から一年生だ」
「にゅうがくしき?」
「そうそう、良く知ってるなみさき」
ドキドキ。
「……かっこいい?」
「おう、超かっこいいぞ」
りょーくんはキラランと歯を見せると、ぽんとみさきの頭に手を置いた。
みさきはキャッキャと心の中で喜びつつも、表情では平静を装って言う。
「いっぱい、べんきょう」
「そうか、頑張れよ」
でも、とりょーくんは言って、
「勉強は勿論、いっぱい友達が出来るといいな」
「ふじさん?」
「ははは、百人はちょっと難しいだろ」
ともだちひゃくにんつくります!
みさきは何かを思い出したような気がしたが、次の瞬間には全てを忘れたことにしていた。
「一人で十分だ。たくさん出来るなら、それでいいけどな」
「……ん?」
「ちょっと難しかったか。ま、とりあえず楽しめ」
「……ん」
りょーくんの言っていることが分からなくて、みさきはちょっぴり悔しかった。
いっぱい勉強しよう。
「そういやみさき、さっきどんな夢見てたんだ?」
「……ん?」
「寝言でケーキとか言ってたぞ」
「…………」
ぷいっ。
みさきは恥ずかしくなって顔を逸らした。
「み、みさき? もしかして怒ったのか? うぉぉぉすまねぇ! 許してくれみさきぃ!」
ガンとりょーくんは床に頭を叩き付ける。
音が痛そう。
みさきは慌てて声を出した。
「ちがう」
「違うって、なんだ? 土下座の方法か?」
「……ねごと」
「寝言?」
「……………………はず、かし」
ぽかんと、りょーくんは口を開けていた。
みさきは二秒だけ耐えたあと、またぷいっと顔を逸らした。でも今回はそれだけじゃ足りなくて、みさきはりょーくんに背を向けると、布団にもぐって顔を隠した。
「ケーキっ」
ケーキを食べさせてくれたら、許してあげる。
そういう意味でみさきは言った。
それは明らかに足りない言葉で、しかし龍誠は瞬時に意味を理解すると立ち上がる。
「分かった! 実はケーキが上手いって評判の店を見つけたところなんだよ」
「……ん」
みさきはニヤリと口を一の字にして、のそのそと布団から後ろ向きに這い出た。そのあと、ペタンと布団に尻もちを付いたまま、りょーくんを見上げた。
「行くか」
「んっ」
ぴょんと立ち上がって、じーっとりょーくんの手を見るみさき。
「どうかしたか?」
ふりふり。
「そうか……っと、少し急がねぇと暗くなっちまう。走るぞみさき!」
少し慌ただしく、龍誠は部屋のドアをあけた。
みさきはトコトコかけて、外に出る。
空は雲一つ無い快晴で、太陽は高い所でニコニコして、満開に近づきつつある桜を見ていた。空気は暖かくて、風も適度に吹いていて気持ちが良い。
久しぶりに、りょーくんと一緒に走る。
みさきはワクワクしていた。
うずうず。
その場で足踏みをして、ちょうどドアを閉めたりょーくんに「まだ?」と目で伝える。
りょーくんは気持ちよさそうな顔で空を見上げた後、みさきの隣まで歩いて、ピタっと止まった。
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「……ん」
しょんぼり。
みさきは、勢いを大事にしてほしかった。
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