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裏舞台(2)※サミュエル視点

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あの先生も、上級貴族の端くれだ。コレットの魔力の高さには気が付いていたはずだ。気が付いていたからこそ、おそらくは共謀して隠したし、ヴェロニカと離婚して乗り換えるつもりだったのだろう。うまくやれば魔力の高い子が産まれる可能性が高いからだ。
もし魔力の高い子が産まれたら、それだけでその前途は明るいものとなる。

偶然にも俺たちがコレットを見つけることが出来たのは幸運だったのかもしれない。そうでなければ、卒業と同時にあの男の女にされ、表舞台からは姿を消していたことだろう。

「なぁ、サミュエル。ここでする必要、ないんじゃないのか?」

コレットを抱き始めてから数週間後、エドモンがそう言いだした。

「確かに、この女はどこでやっても同じかもね」
「なら、自分の部屋で抱きたい。待ってる時間も面倒だしさ」

やり部屋には魔力の低い女が、安全に妊娠出来るように、魔法が張り巡らされている。だからこそ、ここでやるように指導されているのだが、コレットは、レイプされたその瞬間に発した叫び声で、その魔法を破壊した。

アランが慌てて魔法具や薬を運んできたが、特に薬は副作用もある。飲まなくていいのなら、飲まないほうが赤子のためにも良い。

コレットの魔力が高いことはすぐに皆も理解したらしい。それもそうだ。いちども女を抱いたことがなかったアランは分からないだろうが、他の女を抱いたことがあれば、その魔力の高さは際立って感じるものだからだ。

母で慣れていた俺ですら、行為の最中に惹きこまれそうになる。これは王族であっても欲しがる女だ。やはり、これは何かあると思って、俺はコレットの経歴を調べ直した。

「姉が2人亡くなっているのか……」

いずれも上級貴族に嫁いでいる。姉2人は婚姻後、数年以内に死亡。1人は病死で1人は自殺。これは別に不思議なことではない。
下級貴族の女が上級貴族へ嫁ぐ際の、悪しき風習だ。魔力の高い女は国の宝だというのに、身分の低い女を家にいれることを嫌う家は少なくない。なじられ、いびられる。それに耐えきれないものは自害を選ぶこともある。

結婚したばかりの姉が次々に亡くなった事が、幼い彼女に与えた影響は少なからずあるだろう。

コレットの魔力値が低くて、さぞかし親は安堵したことだろう。だが、実際には、コレットもまた魔力の高い女だ。だからこそ恋愛に希望を見出したのかもしれない。
きっと僕が彼女の立場だったら、ここまでする勇気はなかっただろうな、と思う。既婚者の夫を寝取るような、あまり褒められたやり方ではないが、望むものを得るために、恋愛に命を懸ける彼女に、尊敬の念すら覚える。

「面白い女だな」

嘘だらけの彼女の調査書を破り捨て、ポツリ、と呟いた。

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