聖女じゃなくて、性女でした。【完結】

ちゃむにい

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貞淑

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勇者は驚異的な種馬としての性能でジゼルを孕ませ、ジゼルとの間に子を得た。勇者との間に出来た子を腕に抱きながら、ジゼルは思った。

(たった数度の性交で孕むだなんて。さすが勇者ね)

聖都を攻め滅ぼしたばかりだったので戦後処理に忙しく、妊娠が発覚するまで、勇者とは数えるほどしかしていなかった。それでも、子が腹に宿ったことに、ジゼルは驚いた。

産まれてきた子は、人間だった。勇者の子を孕むことは望んでいたわけではないが、ジゼルにとっては可愛い我が子の1人だった。

ジゼルには月の物がない。だが、ジゼルは月の物がなくとも、孕むことが出来た。
この世界では月の物は女の穢れそのものであり、月の物がなくとも孕むことが出来るというのは、聖女が穢れなき存在であることの証でもあった。

しかし、だからといってすぐに妊娠するものではなかった。ジゼルが妊娠しているかどうか質問する男たちに、神官は口を揃えて「子は神様からの授かり物ですから」と言いはぐらかしていたが、オークに毎日抱かれても妊娠しなかった月もあったことから、神官が言う通り、妊娠するかどうかは回数の多さではなく、時の運だった。

(……もう、人間の価値観に囚われる必要はないのに……。……私って不器用ね。)

勇者に抱かれている間も、ジゼルは夫であるオークのことを思い出す事が多かった。貞淑さなんて捨てたと思っていたけれど、勇者に抱かれる度に心が痛んだ。

愛しているからこそ、オークと愛し合うことは控えていた。今の体で、これ以上の瘴気は吸収できない。オークに愛される度に、記憶が飛ぶことが増え、その頻度は日が経つにつれ多くなっていた。

けれども、何年にも渡り、男に虐げられた体の疼きは抑えることが出来なかった。体を持て余すようになると、誰でもいいから抱かれたくなり、恥も外聞もなく、勇者の部屋を訪れて抱かれた。

夜を共にする頻度が減ったことから、ジゼルが他の男と通じ合っていることを、オークは知っているはずだった。けれどもオークは、そのことを指摘されても「オデ、アタマワルイ」と言って、ジゼルを問い詰めるようなことはしなかった。

(本当は愛されたい。その太い腕に抱かれたい……)

ジゼルは、城内で夫を見かける度に、その姿を目で追うようになった。

オークは人間を殺すことは望まなかった。男は食い殺しても、女子供は配下のオークに分け与え、無意味な殺害を禁じた。

(勇者も悪くないけど……やっぱり夫と寝るのが最高なのよね。あの一体感は、あのオークとしか出来ないわ。進化して、さらにアレも大きくなったみたいだし、禍々しくなっているわ)

ジゼルが望むまま、人間を殺し続けたせいか、オークは進化し、一回り大きくなっていた。
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