初めては好きな人と

riiko

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26 僕たちの未来は

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 帰り際、闇金社長は臣君を引き留めて聞いてきた。

「違約金返そうか? できれば返したくないけど……」

 少し語尾が小さくなって、最後ぼそっと言っていた。臣君は社長をにらみつけて、僕の腰をぎゅっと抱きしめて言った。

「手切れ金にしてください。二度とうちの奈月をスカウトしないでくれ」

 臣君がとてつもなくかっこよかった。「うちの奈月」きゅんときた。
 
 誰も僕なんかをスカウトしないと思うよ? 
 そもそもスカウトはされてないし……。なんなら叔父が頼み込んだという知りたくもなかった事実を知っただけだった。
 でも一生懸命に僕を守ってくれる臣君好き。嬉しい! 恥ずかしい! 朝帰り……、って叔父がよく聞いていた歌謡曲を思い出してしまった。
 それにしても、もう借金返済が終わっている? 
 叔父の電話を臣君が切ってしまったので、今がどういう状況なのか僕にはわからなかった。
 これ以上ここにいても仕方ないし、用が終わったところで僕は臣君の家に連れていかれた。

「奈月と再会してから、怒涛だった」

 家に着くと、臣君はソファに僕を座らせた。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して僕に渡してから隣に座ると、一気に飲み干していた。
 相当疲れさせたと思う。僕も水を空けて一口飲んだ。

「うん。そうだね。僕は臣君と初体験して、結婚までしちゃった。その間わずか四日……すごいね」

 本当にすごい体験をしている。

「はは、ほんとだ。すごい勢い」
「しかも、臣君は僕に五百万も使って……僕、これから必死に働いて少しずつ返す」

 臣君の瞳を見て、僕は誠意を込めて伝える。どれくらいかかるかわからないけど、臣君が成功して稼いだお金を僕が簡単に使っていいはずがない。

「それなら方法あるじゃん。性技を身に付けて淫乱になって稼ぐつもりだったんでしょ? それでいいよ。俺への返金は」
「え……」
「俺をお客さんだと思って、奈月が俺を極楽へ連れてって」
「え、ええええ、え?」
「稼ぎなよ、俺から」
「あ、あの、臣君。僕は、その、まだ臣君とたった数日の経験しかないから、性技なんて、身について、んんんん」

 唇を奪われた。驚いたけど、彼とのキスが好き。僕はそのまま臣君の首に手をまわして、自分から舌を入れて、彼の口内を堪能した。

「ん、心配だな。こんなキス覚えて」
「臣君が教えたんだよ」

 僕は自然と臣君の太ももに乗って、彼を見下ろした。

「いいの? 僕から臣君を襲っちゃうよ」
「望むところだよ」

 今度は僕からキスをした。臣君は僕の服の下から手を入れて、乳首をつまんだ。

「ん、は…ん」
「あれ? 奈月が襲うんじゃないの? そんな可愛い声出して、俺に襲われちゃうよ」
「だ、って、臣君の手が……」
「こんなすぐに感じてキスも続けられない子が、どうやっていろんな男とヤルつもりだったんだろうね」
「もう、それは言わないで。本当にごめんなさい」
 
 臣君が僕を太ももにちゃんと座らせると、僕に向き合う。

「きっかけは違約金だったけど、俺、奈月と結婚するつもりで婚姻届を持ってた。奈月がバイトに行っている最中に、親に連絡して奈月と結婚するって伝えて婚姻届にサインしてもらった」
「え?」
「奈月の叔父さんに会って、そのまま承認してもらって、もう二度と奈月を手放さないって決めてた」
「そ、そうなの」
つがいにしたいけど、その前に結婚かなって。すぐに奈月と一緒に暮らしたかったから、許可もらって一緒に暮らして、一緒に家を出てお互いの大学通って、それで帰りは待ち合わせしてって、いろいろ考えた」
「……それは、びっくり」
 
 僕がバイトしている間に、そんなに動いていたんだ。てっきり大学に行っていたと思っていた。

「俺はずっと奈月に真剣だった。奈月が欲しくて頑張ってきた。今日それが報われたんだって思えたら、あの金は俺の勲章だよ。むしろ返すなんて言わないで」
「臣君……」
「愛してる。奈月、突然の婚姻になったけど、俺の中ではずっと奈月を手に入れるって決めてた」

 臣君からの何度目かの「愛している」をもらった。僕はこんなに幸せでいいのかな。僕の瞳からは自然と涙がこぼれた。
 臣君は僕の涙を指で拭うとじっと見つめてきた。

「俺たちの未来を話そう。奈月にはいろいろ伝えることがある」
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