初めては好きな人と

riiko

文字の大きさ
35 / 38

35 ヒカル叔父さん

しおりを挟む
 臣君が「来た来た~」と言って、玄関に向かった。僕の夫はなぜか楽しそうにしている。へへへ、僕の夫。
 叔父になんて言おうかな、なんて考えていると玄関では楽しそうな声が聞こえてきた。
 少ししてから、リビングに入ってきた人たちを見た僕は驚いた。
 叔父の隣には、大きな外国人男性が隣にいる。しかも叔父の腰を支えていたのは、とてもイケメンだった。しかし、ガタイのいい男が二人くっついているのを見るのは、なんていうか……、むさくるしい。

「奈月~! たっだいま! 会いたかった」
「うん。おじさん、お帰りなさい」

 なんだか、僕は若干叔父に引いてしまった。今日は僕の結婚報告と番報告という日なのに、なぜか叔父が宝くじにでもあたったかのような嬉しそうな顔だった。
 ここはマグロ漁船から命を懸けて帰ってきた、男の哀愁みたいなものを漂わせるシーンじゃないの?
 叔父が熱い抱擁をしてきた。うん、相変わらずの叔父だ。マグロ漁に出たからなのか、以前よりもたくましさが増していた。そして、肌通艶がいい。というか、太った? え、過酷なマグロ漁船でむしろ健康になっている?
 叔父と抱き合っていると、臣君が僕の腕を取り、叔父のたくましい胸からはがされた。
 そして叔父の隣にいた男性は叔父をはがし、後ろから羽交い絞めにしていた。

「こら! ビル、抱きつくな」

 え、羽交い絞めではなく、ハグなの? 叔父が嬉しそうに後ろにいる外国人に言った。

「だって、僕のヒカルが他の男を抱きしめるなんて、嫉妬しちゃう」

  彼は何と言った? 「僕のヒカル」聞いたことのない言葉が、僕の脳裏にリピート再生される。僕が疑問いっぱいの顔をすると、臣君が隣でささやいた。

「ヒカルさん、マグロ漁船で出会ったその人と結婚したんだって」
「え、ええええええ!」

 僕の大きな声に叔父がきょとんとした。

「なんだ? 奈月」
「え、おじさん、その人……」
「ああ、俺のハズバンドだ」
「ハズ……え?」
「お前の叔父さんにもなるぞ。俺の夫のビルだ」
「……」

 え、今日は僕の結婚報告……え、え、え、何が起こった?

「とりあえず皆さん、リビングへどうぞ」
「タツオミ、ありがとう! さ、ヒカル座ろうか」
「おお、ビル。達臣君、遠慮なくお邪魔するよ」

 臣君が放心状態の僕を支えている。

「奈月がヒート中に、報告もらってたんだ。ヒカルさんも幸せそうで良かったよね」
「う、うん?」
「ほら、たくさん話を聞こう」

 そして僕たち四人の対面。
 叔父の話によると、マグロ漁船の持ち主が叔父の夫になったアルファ男性ビルということだった。そこで二人は出会い恋に落ちた。……なぜ?
 そこは僕にはわからない事情があるのだろう。そういえば、僕は叔父に恋人がいるのを見たことがない。叔父は、男の人が好きだったのか。それも知らなかったけど、相手はアルファ男性というのに驚きだった。金髪で青い瞳のさわやかな男性は、実業家といった雰囲気。投資家で、造船技師というよくわからない肩書を持っていた。そしてどこかの御曹司らしい。
 ベータで中年のさえない叔父がなぜこのような極上アルファを射止めたのか、不思議だった。もちろん僕の臣君の方が極上だけど。
 とにかく幸せそうで僕は安心した。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

オメガ転生。

BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。 そして………… 気がつけば、男児の姿に… 双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね! 破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

既成事実さえあれば大丈夫

ふじの
BL
名家出身のオメガであるサミュエルは、第三王子に婚約を一方的に破棄された。名家とはいえ貧乏な家のためにも新しく誰かと番う必要がある。だがサミュエルは行き遅れなので、もはや選んでいる立場ではない。そうだ、既成事実さえあればどこかに嫁げるだろう。そう考えたサミュエルは、ヒート誘発薬を持って夜会に乗り込んだ。そこで出会った美丈夫のアルファ、ハリムと意気投合したが───。

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 8/16番外編出しました!!!!! 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭 4/29 3000❤️ありがとうございます😭 8/13 4000❤️ありがとうございます😭 12/10 5000❤️ありがとうございます😭 わたし5は好きな数字です💕 お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

処理中です...