初めては好きな人と

riiko

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36 守られていく

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「それにしても、電話した時は達臣君と奈月が一緒にいて驚いたよ。しかも俺怒られて電話切られちゃうし、あわててビルのヘリに乗せてもらってこっちに帰ってきたら、違約金は達臣君が支払ったって闇金で言われるし」

 叔父があの時の電話のことを語っていた。
 叔父は電話を切られたから、急いで帰ってきてくれたらしい。しかし、その時にはすでに臣君により、どどどーんと500万が闇金事務所テーブルに置かれた後で僕たちがヒートを過ごしている時だった。

「でも、おじさんは借金返すの早すぎない? マグロ漁ってそんなにすぐに儲かるの?」
「ああ、釣り放題の海域があるらしいんだ。豊富だったぞ! な、ビル!」
「うん豊富だよね」

 叔父はビルさんを見て楽しそうに話した。とても楽しいマグロ漁だったのだろう。そんなことあんのか不思議だけど。ビルさんは叔父を愛しそうな瞳で見つめていた。二人はとても仲がいいみたいだった。

「マグロの入金自体はまだだけど、借金返す額は稼いだ。その証明ができたから闇金からは手を洗えたとはいえ、現ナマがないから、そこはビルが立て替えてくれたんだ」
「え……⁉ 借金を立て替えてもらったの?」
「ああ、俺たち夫夫ふうふだから、それが可能だった」

 ん? どこかで聞いたようなセリフ。
 もしや、叔父は借金の肩代わりしてもらう代わりに結婚を? まさかマグロ漁船の次は、保険金殺害で臓器売買でもされてしまうのだろうか。

「お、おじさん。借金がなかったら、ビルさんとは結婚しなかったってこと?」
「あ? まあしないだろうな」
「「……」」

 しれっと答える叔父に対して、僕と臣君の言葉を失った瞬間だった。夫夫ふうふって似てくるのかな。

「ヒカル~、そりゃないよ。僕たちあんなに愛し合ったのに。確かにきっかけは借金のために乗ったマグロ漁船だけど、同室で楽しくすごして愛が芽生えたじゃないか。結婚が借金返済のために早まっただけで、僕たちはいずれにしても結婚する運命だった」
「お、おう。そうだな。お前いい奴だし、どちらにしても俺はお前に流される未来しかないだろうな」

 あ、流されたんだ。

「でしょ、ヒカルのことはお爺ちゃんになるまで一生大切にするからね」
「はは、俺もお前を大事にするよ」

 二人の会話を聞いて確信に変わった。
 叔父は自ら決めて幸せを掴んだのだろう。きっとこの二人は愛し合っている。僕の目にはそう見えた。だって、僕を見る臣君のような瞳をビルさんも叔父に向けていたから……

「大丈夫だよ、二人は」
「うん、そうだね」

 臣君が隣から小声で僕に言ってきた。そこで叔父が思い出したように声を上げた。

「あ、達臣君、500万は返すよ」
「いえ、いりません。もう奈月はヒカルさんの保護下ではなく俺の妻になったので、俺が今後奈月にかかるすべてを請け負います。ヒカルさん、今まで奈月を育ててくださりありがとうございます。俺、奈月を幸せにします」
「達臣君……。なんだか娘を嫁にやった気分だな。奈月をよろしく頼む」
「はい!」

 二人の会話を聞いて僕は涙が自然と出てきて何も言えなかった。僕は、これまでの人生叔父に守られ、そしてこれからは臣君に守られていく。

「おじさん、今までありがとう。僕、臣君と結婚してつがいになったよ。おじさんが今まで僕を育ててくれたから、だから今幸せになってる」
「……奈月、結婚につがい契約おめでとう。いたらない叔父さんだったけど、俺の甥っ子でいてくれてありがとう」
「おじさん……、おじさんこそ、おめでとう。ビルさんと幸せになってね。ビルさん、叔父のことどうぞよろしくお願いします」

 僕は涙をためて叔父とビルさんに伝えた。

「ナツキ、ヒカルのことは任せて。君たちはどうも危なっかしいから、これからはタツオミにちゃんとしつけてもらいなさい。ヒカルのことは僕がちゃんとしつけるからね」
「え、は、はい?」

 しつけるってなんだろうか。
 でも、叔父は確かに危ない。人が良くて借金してマグロ漁船に行ってしまうくらいだから。そこでこんな王子様みたいな人に出会えたから、結果良かったけど。叔父こそシンデレラストーリーを歩んでいないだろうか。
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