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5.11 子爵家の息子として生まれる
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勝利が目前だったのだが、その期待を裏切る状況が判明した。
新たな敵兵の出現だ。右手側から強襲された。
遊撃隊をさらに放っていたらしい。
最後尾組は、僕らを中心に防御を固めながら撤退を続ける。
だが、それは相手からも読まれていたらしい。
右手側の兵士から矢と魔法が雨のように降って来た。魔法防御と物理防御の魔法で対抗するが、強度が不足した。
強力なクロスボウから放たれた矢は魔法では止められず、貫通してきた。魔法の攻撃が無ければ物理防御だけに集中する事で対応できただろうが、最後にこれほどの攻撃をされると防ぐ手立てがない。
ふと目に止まった場所ではアロイスが馬と共に倒れ、父上も母上も地面に倒れていた。そしてその周りには血があふれている。
「アウロス、アクアと共に抜けろ」
おじさんの声だ。その声を聞いてアウロスと共に乗っていた馬のスピードが上がった。
さらに第2射。
魔法と矢が雨のように降って来た。
すでに防御の魔法がないので、馬にクロスボウの矢が刺さった。僕らは馬から放り出された。
地面に衝突する時にアウロスが僕を抱きかかえ衝撃からかばってくれた。
そのまましばらくアウロスは動かない。
僕は動かないアウロスから這い出て外を確認した。アウロスの背中に10本以上の矢が刺さっている。
父上も母上も数十メートル先に倒れたままだ。
ああ、またか。また守れなかったのか。
神様、僕はもうダメだ。
世界を恨まずにいられない。
こんな世界など、消えてしまえば良いのに!
僕の内に広がった思いが力として生まれて来た。
前回のアースアシュリーの時とは違う。爆発的な力だ。おそらく魔力ですらない。これは神の力を引っ張り出しているのか
残念だがこの力は制御できない。恐らく僕の思いと共に単純な命令を実行する。
「何を願う」
力が直接尋ねてくる。
「輪だ、あの輪を頭にしている者、力の届く範囲全ての兵士を消して欲しい」
「了解した、実行する」
その声と共に、僕の中の何かが爆発した。その力の広がりを感じながら僕の意識は消えた。
その日、近隣にいた敵兵のほとんどが謎の爆死を遂げた。近隣一体には血のように赤い雪が降ったらしい。
カルギウスの名を持つ叔父が生き残っていた。
「皆を集めよ」
「どうしますか」
「アクアオルギュス様のお力で敵兵が死んだ。後方の5千の兵も立っている者がいない。恐らくだが逃げる必要が無くなったのだ。このまま隣の領地に行っても、持ち出せた食料が少ない。拾って進むよりは皆で街へ戻った方が良いだろう。敵兵は食料を運び出す時間は無かったはずだ。戻ろう。アクアオルギュス様が作ってくださった街、彼が守った街だ」
「それで伝達します、それと街へ先発を出して状況を確認してきます。早馬で確認すれば間に合うでしょう。敵はいないのですから」
「全くいないわけでは無い。だが残った兵が戦いを挑むことは無いだろう。話し合って街で冬を過ごすことになるやもしれん。だがそれは受け入れるしか無かろう。これ以上の犠牲は必要ない」
「ええ、敵兵、どのくらい残っているのでしょうか」
「兵士よりは馬の方が多いな。馬は半分以上は隣領へ送り込もう。さすがにあれだけの数は受け入れられん。
さあ皆、戻るぞ」
新たな敵兵の出現だ。右手側から強襲された。
遊撃隊をさらに放っていたらしい。
最後尾組は、僕らを中心に防御を固めながら撤退を続ける。
だが、それは相手からも読まれていたらしい。
右手側の兵士から矢と魔法が雨のように降って来た。魔法防御と物理防御の魔法で対抗するが、強度が不足した。
強力なクロスボウから放たれた矢は魔法では止められず、貫通してきた。魔法の攻撃が無ければ物理防御だけに集中する事で対応できただろうが、最後にこれほどの攻撃をされると防ぐ手立てがない。
ふと目に止まった場所ではアロイスが馬と共に倒れ、父上も母上も地面に倒れていた。そしてその周りには血があふれている。
「アウロス、アクアと共に抜けろ」
おじさんの声だ。その声を聞いてアウロスと共に乗っていた馬のスピードが上がった。
さらに第2射。
魔法と矢が雨のように降って来た。
すでに防御の魔法がないので、馬にクロスボウの矢が刺さった。僕らは馬から放り出された。
地面に衝突する時にアウロスが僕を抱きかかえ衝撃からかばってくれた。
そのまましばらくアウロスは動かない。
僕は動かないアウロスから這い出て外を確認した。アウロスの背中に10本以上の矢が刺さっている。
父上も母上も数十メートル先に倒れたままだ。
ああ、またか。また守れなかったのか。
神様、僕はもうダメだ。
世界を恨まずにいられない。
こんな世界など、消えてしまえば良いのに!
僕の内に広がった思いが力として生まれて来た。
前回のアースアシュリーの時とは違う。爆発的な力だ。おそらく魔力ですらない。これは神の力を引っ張り出しているのか
残念だがこの力は制御できない。恐らく僕の思いと共に単純な命令を実行する。
「何を願う」
力が直接尋ねてくる。
「輪だ、あの輪を頭にしている者、力の届く範囲全ての兵士を消して欲しい」
「了解した、実行する」
その声と共に、僕の中の何かが爆発した。その力の広がりを感じながら僕の意識は消えた。
その日、近隣にいた敵兵のほとんどが謎の爆死を遂げた。近隣一体には血のように赤い雪が降ったらしい。
カルギウスの名を持つ叔父が生き残っていた。
「皆を集めよ」
「どうしますか」
「アクアオルギュス様のお力で敵兵が死んだ。後方の5千の兵も立っている者がいない。恐らくだが逃げる必要が無くなったのだ。このまま隣の領地に行っても、持ち出せた食料が少ない。拾って進むよりは皆で街へ戻った方が良いだろう。敵兵は食料を運び出す時間は無かったはずだ。戻ろう。アクアオルギュス様が作ってくださった街、彼が守った街だ」
「それで伝達します、それと街へ先発を出して状況を確認してきます。早馬で確認すれば間に合うでしょう。敵はいないのですから」
「全くいないわけでは無い。だが残った兵が戦いを挑むことは無いだろう。話し合って街で冬を過ごすことになるやもしれん。だがそれは受け入れるしか無かろう。これ以上の犠牲は必要ない」
「ええ、敵兵、どのくらい残っているのでしょうか」
「兵士よりは馬の方が多いな。馬は半分以上は隣領へ送り込もう。さすがにあれだけの数は受け入れられん。
さあ皆、戻るぞ」
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