上 下
91 / 96
決着

19.2 最後の決戦

しおりを挟む
 神の力を使わなければ倒せない。
「父様、これからアースアシュリーの最後の攻撃をします。かあさまの思いも乗せて。父上、厳しかった剣の訓練、優しかった母様、弟、妹、皆の笑顔。それらはここまでです」
「あい解った。やるが良いアースよ」
「アースアシュリーの記憶と魔力を糧に、魔王イザラークを打ち倒す一撃を求む。
イザラークお前を打ち砕く」

 今回は、攻撃を受けてくれないようだ。お互いに攻撃を行う。
 だが、僕の方が攻撃力が高い。敵の攻撃を飲み込みイザラークを襲う。

 前世の記憶を犠牲に神力を使った攻撃は、最初の攻撃でアースヴェルギウスの記憶を失い、今の攻撃でアースアシュリーの記憶を失った。
 元々うっすらとしか記憶していなかったが無かった、それでもアースヴェルギウスの記憶よりアースアシュリーの記憶の方がはっきりとしていた。それを犠牲にしたのだが、どうなったのか。

 僕は、今の一撃に全ての残っている魔力もつぎ込んだ。
 爆風によって舞っていたチリが薄くなる。そこにイザラークがまだ立っていた。

 だが、幸運な事にさっきの攻撃に巻き込まれイザラークの腹心は倒れたようだ。おじさまにも少し余波があったのか、伏せたままで動かない。だが気配を感じるので死んではいないようだ。どうも気絶しているらしい。
 ふう、危ない危ない。自爆攻撃になるところだった。

 煙の奥でイザラークが立ち上があるのが見えた。そしてこちらに近づいてくる。不敵な笑みを浮かべた顔をしている。
 だがあれが笑顔だとしたら、赤ちゃんはすぐに泣くだろう。めっちゃ怖い笑顔だ。

「ふははは、我を傷つけた事は評価しよう。だがついに魔力が尽きたようだな、我はまだあるぞ。やはり二人の神徒が揃わなければ我には勝てぬのだ」

 やばいな。あれでも倒せないのか。魔力は空だ。魔力を回復させるまで攻撃ができない。
 味方となるおじいさまは倒れたまま。
 どうしよう。

しおりを挟む

処理中です...