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7、泡になった愛の記憶 (前)
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——長い時を経て、ようやく手に入れた。
カイオスは、そっと眠りに落ちたリアンの髪を撫でた。
(お前を失ったあの日から……私は、この瞬間のために生きてきた)
そして——過去が蘇る。
記憶は褪せることなく心に焼き付いている。
「誓うよ、リアン」
波打ち際で、カイオスはリアンの手を取った。
「ずっとお前を愛する」
リアンは、嬉しそうに微笑んだ。
けれど——
「お前がこの誓いを守れば、彼は死ぬ」
魔女の言葉が、そう告げた。
それはカイオスを絶望へと突き落とした。
そして別れを告げたその次の瞬間に──リアンは、泡になった。
「……っ」
カイオスの喉から、音が出なかった。
(馬鹿な……馬鹿な……!)
「お前が愛していようと、いまいと」
魔女は、くすりと笑う。
「彼が、お前の愛を信じていた時点で、終わりだったのさ」
「……!」
カイオスは剣を抜いた。
「貴様……!」
「愛など、くだらないものだろう?」
「ふざけるな……!」
「愛したせいで、絶望した。だったら、最初から持たないほうがいい」
「黙れっ‼」
カイオスは、魔女に向かって剣を振るった。
その刃が、魔女を貫いた時——
「……あぁ……」
魔女の体が、静かに消えていった。
しかし。
どれだけ叫んでも、どれだけ怒りをぶつけても。
リアンは、二度と戻らなかった。
——ならば、生まれ変わればいい。
「転生の秘術……」
カイオスは、古の秘術を探した。
それを知っているのは、ごく限られた存在。
長い年月をかけ、ついにカイオスはそれを手に入れた。
(もう二度と、リアンを失わない)
「この魂が砕かれようとも、私は……お前を探し出す」
そう誓い、カイオスは転生の儀を行った。
——そして、エルシオン王国に、王子として生まれた。
何の因果か昔と同じ国に昔と同じ名を持ち。
カイオスの記憶は年齢がかさむごとに鮮明になっていく。
(リアンは、どこにいる……?)
どれだけ探しても、見つからなかった。
人魚の血を引く存在。
あの海にいた誰かの血を受け継ぐ者——。
けれど、どこを探してもどう探してもリアンの姿が見つからない。
時間だけが無意味に過ぎていく。
そして、ある日。
「アクアフィナ公国の王子、リアン・アクアフィナ」
その名前を耳にした時——
カイオスの心臓が、大きく脈打った。
(……リアン……)
彼は、人魚の血を引いていた。
それだけではない。
「リアン・アクアフィナの首元には、人魚の末裔の証がある。先祖返りと噂されているとか」
「……!」
カイオスは、それを聞いた瞬間に確信した。
(お前だ……リアン)
それを知ると同時に、王族としての義務を口実に、カイオスはアクアフィナ公国へ視察に向かった。
(どんな姿になっていても、お前ならわかる)
そう思いながら、リアンと対面した瞬間——すべてが蘇った。
(間違いない……これは、リアンだ)
昔と同じ姿。自分と同じように名も姿も受け継がれていた。
しかもアクアフィナの王族として。人として。
だが、問題があった。
——もしリアンが覚えていたら?
——もしリアンが、カイオスから逃げようとしたら?
(……それだけは、許さない)
だから。「正式に、リアンを妃として迎える」そう申し出たのだ。
幸いにもエルシオンは大国で、アクアフィナはその属国としての立場だった。
リアンの意志など関係なく、先に婚約を成立させ、完全に囲い込んだ。
(これでもう、お前は逃げられない。今度こそ……今度こそ、お前を手放さない)
——そして、今。
カイオスは、リアンの寝顔を見つめていた。
手の中にある、この温もり。この腕の中にいる限り——
リアンは、泡にならない。
カイオスは、リアンの頬にそっと触れた。
「……ようやく、お前を手に入れた」
——だから、もう逃がさない。
リアンがどれだけ拒もうと、憎もうと。
この手の中に、閉じ込めておく。
カイオスは、静かに微笑んだ。
「おやすみ、リアン」
——私のもの。
カイオスは、そっと眠りに落ちたリアンの髪を撫でた。
(お前を失ったあの日から……私は、この瞬間のために生きてきた)
そして——過去が蘇る。
記憶は褪せることなく心に焼き付いている。
「誓うよ、リアン」
波打ち際で、カイオスはリアンの手を取った。
「ずっとお前を愛する」
リアンは、嬉しそうに微笑んだ。
けれど——
「お前がこの誓いを守れば、彼は死ぬ」
魔女の言葉が、そう告げた。
それはカイオスを絶望へと突き落とした。
そして別れを告げたその次の瞬間に──リアンは、泡になった。
「……っ」
カイオスの喉から、音が出なかった。
(馬鹿な……馬鹿な……!)
「お前が愛していようと、いまいと」
魔女は、くすりと笑う。
「彼が、お前の愛を信じていた時点で、終わりだったのさ」
「……!」
カイオスは剣を抜いた。
「貴様……!」
「愛など、くだらないものだろう?」
「ふざけるな……!」
「愛したせいで、絶望した。だったら、最初から持たないほうがいい」
「黙れっ‼」
カイオスは、魔女に向かって剣を振るった。
その刃が、魔女を貫いた時——
「……あぁ……」
魔女の体が、静かに消えていった。
しかし。
どれだけ叫んでも、どれだけ怒りをぶつけても。
リアンは、二度と戻らなかった。
——ならば、生まれ変わればいい。
「転生の秘術……」
カイオスは、古の秘術を探した。
それを知っているのは、ごく限られた存在。
長い年月をかけ、ついにカイオスはそれを手に入れた。
(もう二度と、リアンを失わない)
「この魂が砕かれようとも、私は……お前を探し出す」
そう誓い、カイオスは転生の儀を行った。
——そして、エルシオン王国に、王子として生まれた。
何の因果か昔と同じ国に昔と同じ名を持ち。
カイオスの記憶は年齢がかさむごとに鮮明になっていく。
(リアンは、どこにいる……?)
どれだけ探しても、見つからなかった。
人魚の血を引く存在。
あの海にいた誰かの血を受け継ぐ者——。
けれど、どこを探してもどう探してもリアンの姿が見つからない。
時間だけが無意味に過ぎていく。
そして、ある日。
「アクアフィナ公国の王子、リアン・アクアフィナ」
その名前を耳にした時——
カイオスの心臓が、大きく脈打った。
(……リアン……)
彼は、人魚の血を引いていた。
それだけではない。
「リアン・アクアフィナの首元には、人魚の末裔の証がある。先祖返りと噂されているとか」
「……!」
カイオスは、それを聞いた瞬間に確信した。
(お前だ……リアン)
それを知ると同時に、王族としての義務を口実に、カイオスはアクアフィナ公国へ視察に向かった。
(どんな姿になっていても、お前ならわかる)
そう思いながら、リアンと対面した瞬間——すべてが蘇った。
(間違いない……これは、リアンだ)
昔と同じ姿。自分と同じように名も姿も受け継がれていた。
しかもアクアフィナの王族として。人として。
だが、問題があった。
——もしリアンが覚えていたら?
——もしリアンが、カイオスから逃げようとしたら?
(……それだけは、許さない)
だから。「正式に、リアンを妃として迎える」そう申し出たのだ。
幸いにもエルシオンは大国で、アクアフィナはその属国としての立場だった。
リアンの意志など関係なく、先に婚約を成立させ、完全に囲い込んだ。
(これでもう、お前は逃げられない。今度こそ……今度こそ、お前を手放さない)
——そして、今。
カイオスは、リアンの寝顔を見つめていた。
手の中にある、この温もり。この腕の中にいる限り——
リアンは、泡にならない。
カイオスは、リアンの頬にそっと触れた。
「……ようやく、お前を手に入れた」
——だから、もう逃がさない。
リアンがどれだけ拒もうと、憎もうと。
この手の中に、閉じ込めておく。
カイオスは、静かに微笑んだ。
「おやすみ、リアン」
——私のもの。
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