前世で僕を裏切ったはずの恋人が、生まれ変わっても離してくれない

めがねあざらし

文字の大きさ
18 / 28

18、震える身体(後)

しおりを挟む
「……そんな、こと……っ……」

 低く囁くような声が降りた直後、カイオスは自らの身体を後ろに預けるようにして、悠然と寝台に背を預けた。
 晒されたままの肉が、燦然とその存在を誇っている。
 リアンは小さく身を震わせた。
 自分の身体で、自分から——そんな、惨めなことを。

 けれど、カイオスはじっと見ていた。
 逃げ場などないと知っていて、あえて逃げ道を与えない眼差しで。

 リアンは、震える指で自らの腿を撫でるように這わせた。
 脚を開き、膝を折り、カイオスの腰に跨る。
 その姿勢だけで、呼吸が浅くなる。

「……自分から来い。欲しいんだろう?」
「ちが……っ、違う、そんなつもりじゃ……」
「違う?おかしな話だ。誓っただろう、リアン。私の傍にいると」

 悔しくて、涙がにじんだ。
 けれど、それでも——リアンは、手を添えて自らの入口を導く。

 硬く熱を帯びたそれが、ゆっくりと肉を割って侵入してくる。

「っ、……あ、あぁ……っ!」

 侵入の瞬間、全身が強張った。
 くちゅ、と水音が上がり、喉の奥がきゅうと詰まる。

「……ふ、あっ……あ……んっ……!」

 腰を浅く揺らすたび、羞恥と官能がないまぜになって滲み出す。
 カイオスの視線が、陶酔の色で濡れている。

「可愛いな……リアン。その顔、もっと見せろ」

 恥ずかしい。なのに——リアンの腰は、彼の熱を根元まで咥え込むように、ゆっくりと沈んでいく。

「ん……ぅ、ふぁ……っ……や、ぁっ……!」

 濡れた熱の奥を擦られるたび、膝が震え、快感の波がじわりと滲む。
 自分の意志で動いているという事実が、羞恥を煽る。
 けれど、それ以上に、体は悦びに屈していく。

「……そうだ、それでいい。お前はもう……私のものだ」

 ——心も、身体も。
 そう囁くカイオスの声が、耳の奥でこだまする。

 何度目かの突き上げに、リアンの喉から掠れた声が洩れる。
 カイオスの熱が、自分の奥深くへ届いているのがわかる。
 交わりのたびに擦れる粘膜、そのたび内側が熱く痺れ、足先まで感覚が溶けていく。

 ――どうして、こんな……

 羞恥と苦しみが混じった思考は、熱の波にさらわれてまとまらない。
 張り詰めた肉が抜き差しされるたび、肉体の奥でじゅくじゅくと音が滲み、息が漏れた。

 「……リアン、気持ちよさそうだ」

 低く囁かれ、耳朶を甘噛まれる。
 首筋を舐めるような舌先と、律動する腰の動きが、同時に理性を奪っていく。
 いつの間にかこの行為にも慣れている自分が恨めしかった。
 けれど拒絶を出すことは決して出来ない。
 リアンは必死に唇を噛み、ただカイオスの上で快楽を受け止めるしかなかった。

 カイオスの動きが次第に激しさを増すたび、リアンの身体は熱に呑まれていく。
 浅く速くなる息。とろけるような熱の奥に、疼きにも似た甘い痛みが走る。

 「……どこに、欲しい?」

 低く、喉の奥で笑うような声。
 耳元に注がれたその一言は、肉体の奥よりも深い場所を、鋭く貫いた。

 リアンの瞳が潤む。羞恥が喉を焼く。
 けれど、応えなければ——。
 命じられるよりも、願う姿を見せる方が屈辱だと、理解していても。

 「……ッあ、なか、なかに、ください……」

 言葉にした途端、身体の奥が熱を帯びてひくりと痙攣する。
 その反応すらも、すべてカイオスに見透かされているようで、唇を噛んだ。

 次の瞬間——
 カイオスが深く腰を沈める。

 「いい子だ……」

 低く囁くと同時に、熱いものが一気に流し込まれる感触が、リアンの内を満たしていく。
 押し寄せる奔流。それは、拒絶すら追い越して、快楽として焼きついた。

 「あっ……あ、ああ……っ」

 快楽と屈辱が同時に喉から零れ落ちる。
熱が迸った。
 リアンは背を仰け反らせ、腰を震わせながら、内に注がれる灼熱を飲み込む。
 腹の底が膨れていくような錯覚。
 カイオスの手が太腿を掴み、最後の一滴まで搾り取るように深く沈み込ませた。

 「……中に……たくさん……」

 震える声が、吐息とともに零れる。
 カイオスは下からリアンを見上げ、薄く息をつきながら微笑んだ。

 「……降りろ」

 命じられ、リアンが戸惑いながら体を起こそうとした、その瞬間——
 カイオスが腰を起こし、逆にリアンを押し倒した。

 「っ、あ……!」

 背中が寝台につき、腰が折り曲げられる。
 脚が大きく開かされ、交わった場所が晒される格好になった。
 恥辱に震えるリアンの耳元で、カイオスが低く囁く。

 「見るんだ。お前がどう汚されたか」

 リアンは拒めない。
 そのままカイオスの指が、じゅくじゅくと白濁を溢れさせている入り口をなぞった。
 中からとろりと零れていく証を、一本の指で掬い取り、粘つく糸を引きながら見せつける。

 「こんなにも……私のものだな」

 指に絡まった白濁を、再びリアンの中へと押し戻す。
 ぐちゅ、と音がして、リアンの身体が震えた。

 「いや……やめ……っ」

 小さく首を振るリアンの頬に、ひとすじ、涙が伝う。
 けれど、カイオスの動きは止まらない。
 白濁を押し込んだ指は、そのまま内壁をかき混ぜるように蠢く。

 「お前は私の妃だ。種を溢すのは惜しいだろう?」

 低く、熱を帯びた声音が、耳朶をくすぐるように落ちてきた。
リアンは顔を背けた。

 ぽたり、と。
 熱を孕んだ涙が、頬から寝台へ落ちる。

 「……どうして、こんな……」

 声はか細く、誰に届くでもない祈りのようだった。
 けれどカイオスは、それすらも肯定するようにリアンを抱きしめた。

 「涙を流すお前も、愛らしい……」

 その言葉が、優しくて冷たい鎖のように、リアンの心を締めつけた。



———————
投稿は毎日8時・21時の2回です。
リアクションやコメントいただけると嬉しいです♪
-——————

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました! 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

ぼくの婚約者を『運命の番』だと言うひとが現れたのですが、婚約者は変わらずぼくを溺愛しています。

夏笆(なつは)
BL
 公爵令息のウォルターは、第一王子アリスターの婚約者。  ふたりの婚約は、ウォルターが生まれた際、3歳だったアリスターが『うぉるがぼくのはんりょだ』と望んだことに起因している。  そうして生まれてすぐアリスターの婚約者となったウォルターも、やがて18歳。  初めての発情期を迎えようかという年齢になった。  これまで、大切にウォルターを慈しみ、その身体を拓いて来たアリスターは、やがて来るその日を心待ちにしている。  しかし、そんな幸せな日々に一石を投じるかのように、アリスターの運命の番を名乗る男爵令息が現れる。  男性しか存在しない、オメガバースの世界です。     改定前のものが、小説家になろうに掲載してあります。 ※蔑視する内容を含みます。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

伯爵家次男は、女遊びの激しい(?)幼なじみ王子のことがずっと好き

メグエム
BL
 伯爵家次男のユリウス・ツェプラリトは、ずっと恋焦がれている人がいる。その相手は、幼なじみであり、王位継承権第三位の王子のレオン・ヴィルバードである。貴族と王族であるため、家や国が決めた相手と結婚しなければならない。しかも、レオンは女関係での噂が絶えず、女好きで有名だ。男の自分の想いなんて、叶うわけがない。この想いは、心の奥底にしまって、諦めるしかない。そう思っていた。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

失恋したと思ってたのになぜか失恋相手にプロポーズされた

胡桃めめこ
BL
俺が片思いしていた幼なじみ、セオドアが結婚するらしい。 失恋には新しい恋で解決!有休をとってハッテン場に行ったエレンは、隣に座ったランスロットに酒を飲みながら事情を全て話していた。すると、エレンの片思い相手であり、失恋相手でもあるセオドアがやってきて……? 「俺たち付き合ってたないだろ」 「……本気で言ってるのか?」 不器用すぎてアプローチしても気づかれなかった攻め×叶わない恋を諦めようと他の男抱かれようとした受け ※受けが酔っ払ってるシーンではひらがな表記や子供のような発言をします

【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。

村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました! ありがとうございました!! いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い <あらすじ> 魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。 見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。 いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。 ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。 親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。 ※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。 └性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。

薄幸な子爵は捻くれて傲慢な公爵に溺愛されて逃げられない

くまだった
BL
アーノルド公爵公子に気に入られようと常に周囲に人がいたが、没落しかけているレイモンドは興味がないようだった。アーノルドはそのことが、面白くなかった。ついにレイモンドが学校を辞めてしまって・・・ 捻くれ傲慢公爵→→→→→貧困薄幸没落子爵 最後のほうに主人公では、ないですが人が亡くなるシーンがあります。 地雷の方はお気をつけください。 ムーンライトさんで、先行投稿しています。 感想いただけたら嬉しいです。

処理中です...