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第72話
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イザベラ嬢によって、至急アンナ公爵夫人を呼ぶようにとの命令を受けたメイドさんが、少し足早になって部屋を出ていく。‟若返りの桃”と違って、そこまで貴重で希少でもなさそうなオレンジを取り出しただけで、アンナ公爵夫人を呼ばなくてもいいのにと思いつつも、イザベラ嬢の鋭い眼光に屈してしまい反論出来ない。
最終的に俺は開き直って、途中で手が止まってしまった切り分け作業の続きを始める。手早くオレンジ一つ分を綺麗に切り分け終え、果物ナイフをバックパックに仕舞い、切り分けたオレンジを乗せた皿をマルグリット嬢の前へと移動させる。
「マルグリット嬢、どうぞ。これを食べれば、少しでも溜まった負担が減ると思いますから」
「え、ええ。ありがとうございます」
「ああ、オレンジの皮はそのまま食べると苦いと思いますので、残していただいてかまいませんから」
「わ、分かりました。ですがウォルターさん、お気持ちは大変嬉しく思いますが、頂くにしてもアンナ様がいらっしゃてからでないと……」
「…………その辺は、マルグリット嬢のお好きな様にしてください」
「…………はい」
俺が諦めた様に、疲れた様にそう言うと、マルグリット嬢も俺を憐れむ様に見ながら答えてくれる。そしてナタリー嬢やクララ嬢は、同じく憐れむ様に俺を見ながらも、チラチラとオレンジに向かって興味津々な視線を向けている。
その中でも特にナタリー嬢は、このメンバーの中でまだ‟若返りの桃”を食べた事がない事からも、四人の中で特に興味深そうに見ている。俺としては今回のお茶会の中で、ナタリー嬢にも‟若返りの桃”を食べてもらおうと思っていた。しかし、ナタリー嬢の興味がオレンジに集中してしまっている。だが一人だけ食べていないのも、仲間外れの様でモヤモヤした気持ちになってしまう。
「ナタリー嬢は、こっちの桃をまだ食べた事なかったですよね?」
「え?」
「これです、これ。この‟若返りの桃”ですよ」
「…………私が頂いてもいいんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「……ありがとうございます」
「マルグリット嬢も、一個丸々食べた事なかったですよね。どうせならナタリー嬢と一緒にどうです?」
「え~っと…………」
マルグリット嬢がどうすればといった困った様子で、イザベラ嬢やクララ嬢に視線を向けている。ナタリー嬢はナタリー嬢で、本当に桃を食べてもいいのかとイザベラ嬢たちを見ている。
そんな二人に対して、イザベラ嬢は安心させる様に微笑み、食べても大丈夫だと頷いて答える。それを見た二人も、桃を食べられる事の安堵と嬉しさを感じて笑みを浮かべている。
そんな和やかな空気になっていた所で、部屋の扉が勢いよく開かれる。そこには武人の様な他を圧倒するオーラを発しながら、鋭き眼光を光らせているアンナ公爵夫人が立っていた。
「ウォルターさん、新たな果物があると聞きました。私にも、その果物を見せてくださいませんか?」
「ええ、構いませんけど」
「では、失礼して。マルグリット、少し時間をちょうだい」
「はい、分かっておりますから」
「ありがとう」
アンナ公爵夫人は、マルグリット嬢に断りを入れてから、切り分けられているオレンジをジッと観察し続ける。そして暫くの間観察を続けた後、何か記憶の中の果物と一致でもしたのか、イザベル嬢とよく似た鋭い眼光を俺へと向けてきた。
最終的に俺は開き直って、途中で手が止まってしまった切り分け作業の続きを始める。手早くオレンジ一つ分を綺麗に切り分け終え、果物ナイフをバックパックに仕舞い、切り分けたオレンジを乗せた皿をマルグリット嬢の前へと移動させる。
「マルグリット嬢、どうぞ。これを食べれば、少しでも溜まった負担が減ると思いますから」
「え、ええ。ありがとうございます」
「ああ、オレンジの皮はそのまま食べると苦いと思いますので、残していただいてかまいませんから」
「わ、分かりました。ですがウォルターさん、お気持ちは大変嬉しく思いますが、頂くにしてもアンナ様がいらっしゃてからでないと……」
「…………その辺は、マルグリット嬢のお好きな様にしてください」
「…………はい」
俺が諦めた様に、疲れた様にそう言うと、マルグリット嬢も俺を憐れむ様に見ながら答えてくれる。そしてナタリー嬢やクララ嬢は、同じく憐れむ様に俺を見ながらも、チラチラとオレンジに向かって興味津々な視線を向けている。
その中でも特にナタリー嬢は、このメンバーの中でまだ‟若返りの桃”を食べた事がない事からも、四人の中で特に興味深そうに見ている。俺としては今回のお茶会の中で、ナタリー嬢にも‟若返りの桃”を食べてもらおうと思っていた。しかし、ナタリー嬢の興味がオレンジに集中してしまっている。だが一人だけ食べていないのも、仲間外れの様でモヤモヤした気持ちになってしまう。
「ナタリー嬢は、こっちの桃をまだ食べた事なかったですよね?」
「え?」
「これです、これ。この‟若返りの桃”ですよ」
「…………私が頂いてもいいんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「……ありがとうございます」
「マルグリット嬢も、一個丸々食べた事なかったですよね。どうせならナタリー嬢と一緒にどうです?」
「え~っと…………」
マルグリット嬢がどうすればといった困った様子で、イザベラ嬢やクララ嬢に視線を向けている。ナタリー嬢はナタリー嬢で、本当に桃を食べてもいいのかとイザベラ嬢たちを見ている。
そんな二人に対して、イザベラ嬢は安心させる様に微笑み、食べても大丈夫だと頷いて答える。それを見た二人も、桃を食べられる事の安堵と嬉しさを感じて笑みを浮かべている。
そんな和やかな空気になっていた所で、部屋の扉が勢いよく開かれる。そこには武人の様な他を圧倒するオーラを発しながら、鋭き眼光を光らせているアンナ公爵夫人が立っていた。
「ウォルターさん、新たな果物があると聞きました。私にも、その果物を見せてくださいませんか?」
「ええ、構いませんけど」
「では、失礼して。マルグリット、少し時間をちょうだい」
「はい、分かっておりますから」
「ありがとう」
アンナ公爵夫人は、マルグリット嬢に断りを入れてから、切り分けられているオレンジをジッと観察し続ける。そして暫くの間観察を続けた後、何か記憶の中の果物と一致でもしたのか、イザベル嬢とよく似た鋭い眼光を俺へと向けてきた。
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