100 / 348
第100話
しおりを挟む
ベイルトンと昔から親交のある領地を巡りながら、五日程時間をかけて王都へと戻ってきた。ドニの商人団と共に、王都の城壁の検問を超えて王都内に入る。五日ぶりの王都だが、出発前に比べて人々の活気が凄く、まるでお祭りでもあるかの様だ。各商店も商品の割引などで人を呼び込み、上手く波に乗っている。
「この活気の良さは、一体全体どうしたってんでしょうね?」
「恐らくだが、先に王都に帰還した精鋭部隊が、魔境から桃を持ち帰った事を大々的に発表でもしたんだろ」
「なる程。確かに“若返りの桃”を持ち帰ったとなれば、国の一大事と言ってもいいでしょうな」
「ドニ、商機は逃すなよ。まあ、商人団を率いるやり手の商人に言う事じゃないけどな」
「いえいえ。初心忘れべからず、でしたっけ。小さい頃のウォルター坊ちゃんが、私に教えてくれた言葉。今も胸に刻んで、毎日笑顔で仕事してますよ」
「そうか、それならいいんだ。とりあえず、ドニの店まで戻ろうか」
「そうですな」
商人団の商人たちと一言二言会話をしてから別れ、ドニの馬車に乗ってドニの商店へと向かう。ドニの本拠地たる商店は、王都の貴族街の直ぐ傍の大通りに構えている。巧みな話術と柔軟な対応で徐々に顧客を増やし、信用・信頼を積み重ねてきた堅実な商人。
そんなドニは、何の偶然かコーベット男爵領の出身。そして、奥さんもコーベット男爵領出身の女性で、二児の父親でもある四人家族の大黒柱。本人が言うには、昔はどんなに遠い場所や危険な場所にも自分で向かっていたそうだ。だが守るべき家族が出来てからは、危険な場所に向かうのは控える様になり、アイオリス王国内での活動のみに切り替えたそうだ。
ドニは商人として鋭い嗅覚で次々と商機を逃さず、堅実な姿勢を評価されて次々と商談をまとめていき、着実に力をつけていった。そして今や、商人団のトップとして他の商人を率いるほどにまでになった。
(あのカノッサ公爵家とも取引がある、本当に凄い商人なんだがなぁ……)
ドニの唯一の欠点があるとするならば、もの凄い親バカである所だろう。二人の子供、十一歳の息子さんと九歳の娘さんを目に入れても痛くない程に溺愛しており、それぞれの子供に近づく異性に目を光らせては、奥さんに冷ややかに見られながらお仕置きされているとの事(本人談。とても自慢げに)。
俺も娘さんに顔を合わせる度に鋭い眼光を向けられ、娘さんと奥さんが呆れるというのを何度も繰り返している。そして今回もいつもと同じ流れが繰り返され、娘さんと奥さんがジト目でドニを見ている。最終的に奥さんが店の奥へと連れていくまで、娘さんがどれだけ素晴らしいかを延々と語られ続けた。肉体的には元気一杯なのだが、精神的にはもの凄く疲弊した。
何とか精神を持ち直しながら、五日ぶりの自分の家へと戻るために足を進める。家に戻ったら、最初にジャック爺へ帰還の挨拶をして、魔境での出来事の報告。その後はカノッサ公爵の屋敷に向かい、皆に無事に戻った事の挨拶と、魔境での精鋭部隊の動きを報告する。その他にも色々とやる事があるが、一つ一つ確実に終わらせていこう。
「この活気の良さは、一体全体どうしたってんでしょうね?」
「恐らくだが、先に王都に帰還した精鋭部隊が、魔境から桃を持ち帰った事を大々的に発表でもしたんだろ」
「なる程。確かに“若返りの桃”を持ち帰ったとなれば、国の一大事と言ってもいいでしょうな」
「ドニ、商機は逃すなよ。まあ、商人団を率いるやり手の商人に言う事じゃないけどな」
「いえいえ。初心忘れべからず、でしたっけ。小さい頃のウォルター坊ちゃんが、私に教えてくれた言葉。今も胸に刻んで、毎日笑顔で仕事してますよ」
「そうか、それならいいんだ。とりあえず、ドニの店まで戻ろうか」
「そうですな」
商人団の商人たちと一言二言会話をしてから別れ、ドニの馬車に乗ってドニの商店へと向かう。ドニの本拠地たる商店は、王都の貴族街の直ぐ傍の大通りに構えている。巧みな話術と柔軟な対応で徐々に顧客を増やし、信用・信頼を積み重ねてきた堅実な商人。
そんなドニは、何の偶然かコーベット男爵領の出身。そして、奥さんもコーベット男爵領出身の女性で、二児の父親でもある四人家族の大黒柱。本人が言うには、昔はどんなに遠い場所や危険な場所にも自分で向かっていたそうだ。だが守るべき家族が出来てからは、危険な場所に向かうのは控える様になり、アイオリス王国内での活動のみに切り替えたそうだ。
ドニは商人として鋭い嗅覚で次々と商機を逃さず、堅実な姿勢を評価されて次々と商談をまとめていき、着実に力をつけていった。そして今や、商人団のトップとして他の商人を率いるほどにまでになった。
(あのカノッサ公爵家とも取引がある、本当に凄い商人なんだがなぁ……)
ドニの唯一の欠点があるとするならば、もの凄い親バカである所だろう。二人の子供、十一歳の息子さんと九歳の娘さんを目に入れても痛くない程に溺愛しており、それぞれの子供に近づく異性に目を光らせては、奥さんに冷ややかに見られながらお仕置きされているとの事(本人談。とても自慢げに)。
俺も娘さんに顔を合わせる度に鋭い眼光を向けられ、娘さんと奥さんが呆れるというのを何度も繰り返している。そして今回もいつもと同じ流れが繰り返され、娘さんと奥さんがジト目でドニを見ている。最終的に奥さんが店の奥へと連れていくまで、娘さんがどれだけ素晴らしいかを延々と語られ続けた。肉体的には元気一杯なのだが、精神的にはもの凄く疲弊した。
何とか精神を持ち直しながら、五日ぶりの自分の家へと戻るために足を進める。家に戻ったら、最初にジャック爺へ帰還の挨拶をして、魔境での出来事の報告。その後はカノッサ公爵の屋敷に向かい、皆に無事に戻った事の挨拶と、魔境での精鋭部隊の動きを報告する。その他にも色々とやる事があるが、一つ一つ確実に終わらせていこう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる