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第159話
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久々にナターシャ魔道具店に来たが、相も変らず盛況な様だ。魔法使いと思われる者たちだけでなく、裕福な男性商人や男性貴族たちの姿が見える。前者の目的は魔道具である事は疑いようがないが、後者の目的はカトリーヌさんだろう。あの人、もの凄い美貌や色気だしな。
「あら、ウォルター君。久しぶりね」
「はい、お久しぶりです」
「闘技場で随分と大暴れしたみたいね。今日はその事で来たんでしょ?付いてきて。場所を変えましょう」
「分かりました」
俺とカトリーヌさんの会話を聞いていた周囲の男性陣が、カトリーヌさんと親し気に話している事や、話をするためにわざわざ場所を変えるという事に驚いている。そして、カトリーヌさんの後に続いて従業員用のスペースに歩いていく俺を、男性陣たちが鋭い視線で睨みつけてきた。俺は極力自然体で、男性陣と目を合わせる事なく歩き続ける。カトリーヌさんは、そんな男性陣をいない者の様に扱っている。
従業員用のスペースに入ると、男性陣からの鋭い視線が途切れたので、ホッと一息吐いて身体の力を抜く。そんな俺を見て、カトリーヌさんはクスクスと笑っている。
「笑うくらいだったら、少しは助け舟出してくださいよ」
「嫌よ。あんな連中とは目を合わせる事もしたくないわ。男と女だから、相手の魅力的な所をジロジロ見てしまうのは理解するけど、単純に劣情の対象にしか見ていないっていうのが気に入らないのよ。愛がないのはお断りよ」
「愛ですか」
「私個人の気持ちだけどね。世の中には、身体だけの関係を楽しむ人もいるから」
「まあ、そういう人もいますね」
「……さて、この話はここでおしまい。――――本題に入りましょう。ウォルター君が私に会いに来たのは、例の二人組についての情報があるか聞きに来たって所かしら?」
「そうです。冒険者たちの情報網に、それらしい連中についての情報があるかと思いまして」
冒険者たちには、商人や貴族たちと似て非なる情報網が存在する。自由を愛し、冒険を愛する者たちだからこそ、商人や貴族たちが知らない事を知っている事が多い。そしてカトリーヌさんの様な高位冒険者にもなると、その情報網は非常に広く、多様な分野に精通している。その事から、理知的な男と野望な男、それからあの御方という存在についての情報があるかと思い訪ねてみた。
「残念だけど、あの二人についての情報はないわね。それも、全くと言っていい程に」
「高位冒険者であるカトリーヌさんの情報網でも、一切情報はありませんでしたか」
「私の友人たちにも聞いてみたけど、結果は同じだったわ。ただこの事から考えるに、個人としての情報が一切なく、上位者と思われる存在についても情報なし何て事が出来るのは、経験上相当大きい裏の組織だけよ」
「やっぱりそうなりますよね。そういった連中の中に、あの二人組との類似がある組織はありますか?」
「いえ、そちらもダメね。主だった有名所の組織の特徴と、あの二人の特徴が一致する部分はないわね。つまり、全く知られていない新しい組織、または相当古くから裏に隠れて来た組織って所かしら」
「なる程。確かにその線もありますね。最も可能性が高いとすると…………」
「黒い宗教服を身に纏い、上位者の様な存在を信仰していた事から考えるに、異端認定された宗派、もしくは信仰してはいけない存在を信仰していた宗教、かしらね」
信仰してはいけない存在を信仰していた宗教。もしあの御方という存在が人外であり、人を害する存在だったとしたら、異端認定された事は間違いない。表舞台に出てくる事もないだろうし、存在そのものが知られていない。組織そのものが遥か昔に地下に潜っていたのなら、情報が全くないとしても仕方ない。
だが、そんな地下に潜っていた組織が、今になって動き出した。それも両殿下を狙い、その身を衆目に晒してまで。両殿下を狙った目的が分かってはいないし、今更になって表舞台に出てきた理由も不明。
そして奴らが使用していた魔法も不明だし、あの御方が使用した暗き闇についても同じく不明。情報を探るにしても、糸口が少なすぎる。まずは、この国の歴史をもう一度勉強し直す事から始めてみるか。そこに、何かしらのヒントがあるかもしれない。
「あら、ウォルター君。久しぶりね」
「はい、お久しぶりです」
「闘技場で随分と大暴れしたみたいね。今日はその事で来たんでしょ?付いてきて。場所を変えましょう」
「分かりました」
俺とカトリーヌさんの会話を聞いていた周囲の男性陣が、カトリーヌさんと親し気に話している事や、話をするためにわざわざ場所を変えるという事に驚いている。そして、カトリーヌさんの後に続いて従業員用のスペースに歩いていく俺を、男性陣たちが鋭い視線で睨みつけてきた。俺は極力自然体で、男性陣と目を合わせる事なく歩き続ける。カトリーヌさんは、そんな男性陣をいない者の様に扱っている。
従業員用のスペースに入ると、男性陣からの鋭い視線が途切れたので、ホッと一息吐いて身体の力を抜く。そんな俺を見て、カトリーヌさんはクスクスと笑っている。
「笑うくらいだったら、少しは助け舟出してくださいよ」
「嫌よ。あんな連中とは目を合わせる事もしたくないわ。男と女だから、相手の魅力的な所をジロジロ見てしまうのは理解するけど、単純に劣情の対象にしか見ていないっていうのが気に入らないのよ。愛がないのはお断りよ」
「愛ですか」
「私個人の気持ちだけどね。世の中には、身体だけの関係を楽しむ人もいるから」
「まあ、そういう人もいますね」
「……さて、この話はここでおしまい。――――本題に入りましょう。ウォルター君が私に会いに来たのは、例の二人組についての情報があるか聞きに来たって所かしら?」
「そうです。冒険者たちの情報網に、それらしい連中についての情報があるかと思いまして」
冒険者たちには、商人や貴族たちと似て非なる情報網が存在する。自由を愛し、冒険を愛する者たちだからこそ、商人や貴族たちが知らない事を知っている事が多い。そしてカトリーヌさんの様な高位冒険者にもなると、その情報網は非常に広く、多様な分野に精通している。その事から、理知的な男と野望な男、それからあの御方という存在についての情報があるかと思い訪ねてみた。
「残念だけど、あの二人についての情報はないわね。それも、全くと言っていい程に」
「高位冒険者であるカトリーヌさんの情報網でも、一切情報はありませんでしたか」
「私の友人たちにも聞いてみたけど、結果は同じだったわ。ただこの事から考えるに、個人としての情報が一切なく、上位者と思われる存在についても情報なし何て事が出来るのは、経験上相当大きい裏の組織だけよ」
「やっぱりそうなりますよね。そういった連中の中に、あの二人組との類似がある組織はありますか?」
「いえ、そちらもダメね。主だった有名所の組織の特徴と、あの二人の特徴が一致する部分はないわね。つまり、全く知られていない新しい組織、または相当古くから裏に隠れて来た組織って所かしら」
「なる程。確かにその線もありますね。最も可能性が高いとすると…………」
「黒い宗教服を身に纏い、上位者の様な存在を信仰していた事から考えるに、異端認定された宗派、もしくは信仰してはいけない存在を信仰していた宗教、かしらね」
信仰してはいけない存在を信仰していた宗教。もしあの御方という存在が人外であり、人を害する存在だったとしたら、異端認定された事は間違いない。表舞台に出てくる事もないだろうし、存在そのものが知られていない。組織そのものが遥か昔に地下に潜っていたのなら、情報が全くないとしても仕方ない。
だが、そんな地下に潜っていた組織が、今になって動き出した。それも両殿下を狙い、その身を衆目に晒してまで。両殿下を狙った目的が分かってはいないし、今更になって表舞台に出てきた理由も不明。
そして奴らが使用していた魔法も不明だし、あの御方が使用した暗き闇についても同じく不明。情報を探るにしても、糸口が少なすぎる。まずは、この国の歴史をもう一度勉強し直す事から始めてみるか。そこに、何かしらのヒントがあるかもしれない。
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