誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

文字の大きさ
172 / 348

第172話

しおりを挟む
 ローザ・“ナターシャ”・アウレリアと言えば、王都にあるナターシャ魔道具店本店を取り仕切る、十五代目“ナターシャ”その人だ。歴代の“ナターシャ”たち同様に魔道具師として超一流の腕を誇り、魔法使いとしても、ジャック爺に引けを取らない程の腕を誇る稀代きだいの魔女。
 そして、副都レゼルホルンを治めている副王ふくおうである、ラインハルト王弟殿下。幼い時より魔法の才に優れ、勉学や武芸に関しても非常に優秀であったと言われている、文武両道という言葉が相応しい存在。一部の噂では、余りにも優秀過ぎた為に兄である現陛下に恐れられてしまい、副都レゼルホルンへと送られてしまったとの話がある。事実かどうかは分からないが、それくらいに出来る人だったのだろう。

「ジャック爺、そんな大物二人と繋がりがあったんだね」
「まあ、長年王城に勤めておったしの。色んなものとの繋がりがあるんじゃよ」
「賢者様。ローザ様は、その……大変な王族嫌いであったと聞き及んでいるのですが……」
「その噂は、俺も知ってます。確か、王族の者たちが無理難題を言い続けた結果、嫌気がさして人付き合いを制限したとか」
「ジーク殿の言う事も、ウォルターの言う事も事実じゃ。ローザが若い頃から、王族たちが無理難題を吹っ掛けておったし、女性としても嫌な思いをしたと言っておったからの。儂も何度も助けに入っておったが、ローザが王族たちに対して嫌悪する様になってからは、呼び出されても王城にくる事はなくなった」
「それ、大丈夫だったの?」
「王族たちは無視された事に腹を立てておったが、ローザはその頃から既に一流の魔道具師であり、幾つもの画期的な魔道具を生み出しておった事から、その功績をかんがみておとがめなしとなったんじゃ」
「そんな王族嫌いの人が、今回の王族絡みの事に協力してくれるの?」
「普通なら関わる事すら嫌がるじゃろうが、今回の場合は例外じゃな。親戚とはいえ、アウレリアの身内であるカトリーヌお嬢さんが、今回の一件に関わっておるからの。ローザは自分の家族や親戚、お店の従業員たちを凄く大切にしておるからな」

 どうやら、当代“ナターシャ”とジャック爺の付き合いは相当長く、両者の仲ももの凄く良好の様だ。ローザさんとの過去を語るその顔は笑顔であり、とても楽しそうに、懐かしそうにしているのが分かるな。

「王弟殿下の方は、やっぱり王城勤めの関係で?」
「そうじゃな。小さい頃から聡明な子であったから、儂に魔法を教わりに来たんじゃ。魔法に関する知識や基礎に関して、ラインハルトに色々と叩き込んだの。今にして思えば、ウォルターよりも前に真面に魔法を教えたのは、ラインハルトくらいじゃの」
「今でも連絡は取り合ってるの?急に立会人頼んでも大丈夫なの?」
「その辺に関しても心配無用じゃ。ラインハルトとは常日頃から密に連絡を取っておるし、王城勤めを辞めた時にも、副都に来ないかと誘われた程の仲じゃよ。今回の立会人の件も、ラインハルトなら快く引き受けてくれるじゃろう」
「そんな楽観的な考えで大丈夫なのかな」
「万事儂らに任せておけ。ジーク殿もウォルターも、ドラゴンの背に乗ったつもりでおるんじゃ」

 わっはっはと笑うジャック爺に、俺は一抹の不安を抱く。だが、本当に王弟殿下や当代“ナターシャ”の力を借りる事が出来るのなら、これ以上ない程の援軍となるだろう。自信満々のジャック爺が、上手く協力を取り付けてくれる事を信じよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...