誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

文字の大きさ
173 / 348

第173話

しおりを挟む
 ダンジョン攻略に戻る前の、英気を養う為の休養最終日の今日。俺とイザベラ嬢たちの六人だけで、魔物のいない草原へとピクニックデートをしに来ている。
 そして、現在の時刻はお昼。朝からのんびりまったりと静かに過ごした後、皆で朝早くに起きて、仲良く談笑しながら一緒に作ったお弁当を食べている。ダンジョン内での焼肉の時は、俺だけが皆に食べさせてもらっていたが、今日は俺の方からも皆に食べさせてあげている。

「今日は本当に良い天気ですね~」
「最高のお出掛け日和です」
「それに喧騒けんそうの絶えない王都では、外でこんな静かにボーッとする事は出来ませんしね」
「そうよね~。王都でボーッとなんかしてると、人にぶつかったり変なのに絡まれたりするから、隙なんて見せられないわ」
「王都は王国で最も栄えてる分、人口も他の都市の何倍もいるしね。人の流れの多さに忙しなさを感じるのも仕方ないし、人によっては窮屈きゅうくつさを感じるでしょうね」

 確かに俺も、辺境であるベイルトンから王都に移り住んだ当初は、余りの人の多さに酔う事が何度かあった。ベイルトンにもそれなりの人口がいたが、王都とは流れる時間はまるで違ったし、窮屈さや忙しなさを感じる事もなかった。王都に流れる時間に慣れるまで、色々と大変だったのを思い出すな。
 食休めで再びのんびりまったりと過ごしながら、イザベラ嬢たちと王都での思い出を楽しく談笑する。イザベラ嬢たちそれぞれに、王都での色々な思い出があって聞いていて面白かった。中でもカトリーヌさんの思い出は、ナターシャ魔道具店で見聞きした事や体験した事が中心で、色々なお客さんがいるんだな~と思わせる話だった。

「ウォルター君。ほら、こっちおいで」
「いいんですか?」
「ええ」

 カトリーヌさんが、ニッコリと妖艶に微笑みながら太ももをポンポンと叩く。その行為は、恋人同士でイチャイチャする事の代表格の一つである、膝枕をしてくれるという事の合図だ。俺は内心の喜びを隠す事もなく、気が変わらない内にとサササッとカトリーヌさんの傍に移動して、寝転がって太ももの上に頭を乗せる。カトリーヌさんは俺の頭を右手で優しく撫でて、ふふふっと慈母じぼの様な笑みを浮かべている。そんな俺たちの傍に、イザベラ嬢たちもスススッと近寄ってくる。

「それじゃあ、一人十分ずつで交代していきましょうか」
「次は誰にする?」
「ここは公平に、ジャンケン勝負で決めましょう」
「いいわね。……一つ言っておくけど、私は強いわよ」
「私もジャンケンには自信があります。ウォルターさんの次の膝枕は、私がいただきます」

 イザベラ嬢たちが白熱したジャンケン勝負を繰り広げる中、カトリーヌさんの膝枕と頭を撫でてくれるのが気持ち良すぎて、眠気が急速に襲い掛かってきてウトウトし始めてしまう。そしてゆっくりとまぶたが閉じていき、気持ちの良い深い眠りへと落ちていき、夕方まで目を覚ます事はなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

処理中です...