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第269話
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現在この国の政の中心である王城では、ローラ嬢の我儘と負けず嫌いによって急遽決まった婚約式の為に、関係各所の者たちが忙しそうに動き回っている。
婚約式を行う場所を確保する事から始まり、会場設営のレイアウト決め、招待客への招待状の作成などなど、王城勤めの文官たちが調整に次ぐ調整を行っている。その調整の中で幾つか問題となっているものの一つが、ローラ嬢の思い付きや気分によって、会場設営のレイアウトが何度も変更されているというものだ。ちょっとした小さい部分の変更から始まり、一部分を大幅に変更するという規模の大きな変更が幾度も繰り返され、その度に文官さんたちや現場の人たちが振り回されて、大変に苦労している様だ。
それに付随して問題となっているのが、招待客へと送る招待状の作成と送付だ。ローラ嬢が会場設営のレイアウトを頻繁に変更させているのは、婚約式に招待する客の数が日に日に多くなっているからだ。婚約式にあの人もこの人も招待したいと言い出した事で、当初に予定していた人数よりも遥かに多くなり、色々な部分を毎回の様に調整しなくていけない日々を送っているそうだ。
「いつの世でも、どんな世界であっても、お役人様や中間管理職の人は大変みたいだな」
「上からの無茶ぶりを必死にこなしながら、下の人たちの愚痴を聞いてガス抜きもしてと、本当に苦労していると思うわ」
「せっかく決めた設営の配置も、爵位の序列に配慮した招待客の座る場所も、あの子の気分や我儘によってブチ壊されちゃうからね」
「現場で働く人たちは色々と引っ掻き回されている訳ですから、相当な疲労や不満が溜まっているでしょう」
「このままでは、婚約式そのものが出来るかどうか……」
「確かにナタリーの言う通りね。様々な状況が改善されない限り、婚約式を行う事自体が難しくなる。陛下や王妃、アルベルト殿下はその辺どう考えているのかしら」
「まさかとは思いますけど、ローラ嬢の好きにさせようと考えて口出ししてないとか?」
『………………』
俺のした最悪の予想を語ると、部屋中に沈黙が漂ってしまう。イザベラたちもその可能性を予想していた様で、やっぱりそうだよねといった様子でいる。あのローラ嬢が婚約式に関して全権を任せられているとしたら、今の王城の騒がしさや忙しさが納得できてしまうからだ。振り回されている人たち全員が、もの凄く可哀想に思えてしまうな。
そんな風に関係各所の人たちの苦労を思っていると、俺たちのいる部屋の扉を開けて、カノッサ公爵とアンナ公爵夫人の二人が入ってきた。部屋に入ってきた二人ともが、何故か疲れた様な顔というか、呆れ切っている雰囲気を全身から放っている。
「お二人とも、そんな疲れ切っているというか何というか…………。一体どうしたんですか?」
「ああ、それがな…………」
「マルグリットの手前こう言いたくはないのだけれど、あの子は本当に公爵家の娘なのかしら?」
「……あの子がまた何かしたんでしょうか?」
「これが、つい今しがた我が家に届いた」
カノッサ公爵がそう言って、右手に持っているものを俺たちに見せる。見せられたそれは、豪華な装飾の一通の封筒であった。その封筒には、アイオリス王国王家の紋章の封蝋がされており、さらにはベルナール公爵家とアモル教の紋章が刻まれている。それを見ただけで、その封筒が何であるのか俺たちは一瞬で理解した。それと同紙に、ため息を零して呆れてしまった。
「もしかしなくてもそれ…………」
「皆の想像通りだ。何を考えているのか知らんが、我がカノッサ公爵家に対してかの娘は、――――婚約式の招待状を送ってきたのだ」
婚約式を行う場所を確保する事から始まり、会場設営のレイアウト決め、招待客への招待状の作成などなど、王城勤めの文官たちが調整に次ぐ調整を行っている。その調整の中で幾つか問題となっているものの一つが、ローラ嬢の思い付きや気分によって、会場設営のレイアウトが何度も変更されているというものだ。ちょっとした小さい部分の変更から始まり、一部分を大幅に変更するという規模の大きな変更が幾度も繰り返され、その度に文官さんたちや現場の人たちが振り回されて、大変に苦労している様だ。
それに付随して問題となっているのが、招待客へと送る招待状の作成と送付だ。ローラ嬢が会場設営のレイアウトを頻繁に変更させているのは、婚約式に招待する客の数が日に日に多くなっているからだ。婚約式にあの人もこの人も招待したいと言い出した事で、当初に予定していた人数よりも遥かに多くなり、色々な部分を毎回の様に調整しなくていけない日々を送っているそうだ。
「いつの世でも、どんな世界であっても、お役人様や中間管理職の人は大変みたいだな」
「上からの無茶ぶりを必死にこなしながら、下の人たちの愚痴を聞いてガス抜きもしてと、本当に苦労していると思うわ」
「せっかく決めた設営の配置も、爵位の序列に配慮した招待客の座る場所も、あの子の気分や我儘によってブチ壊されちゃうからね」
「現場で働く人たちは色々と引っ掻き回されている訳ですから、相当な疲労や不満が溜まっているでしょう」
「このままでは、婚約式そのものが出来るかどうか……」
「確かにナタリーの言う通りね。様々な状況が改善されない限り、婚約式を行う事自体が難しくなる。陛下や王妃、アルベルト殿下はその辺どう考えているのかしら」
「まさかとは思いますけど、ローラ嬢の好きにさせようと考えて口出ししてないとか?」
『………………』
俺のした最悪の予想を語ると、部屋中に沈黙が漂ってしまう。イザベラたちもその可能性を予想していた様で、やっぱりそうだよねといった様子でいる。あのローラ嬢が婚約式に関して全権を任せられているとしたら、今の王城の騒がしさや忙しさが納得できてしまうからだ。振り回されている人たち全員が、もの凄く可哀想に思えてしまうな。
そんな風に関係各所の人たちの苦労を思っていると、俺たちのいる部屋の扉を開けて、カノッサ公爵とアンナ公爵夫人の二人が入ってきた。部屋に入ってきた二人ともが、何故か疲れた様な顔というか、呆れ切っている雰囲気を全身から放っている。
「お二人とも、そんな疲れ切っているというか何というか…………。一体どうしたんですか?」
「ああ、それがな…………」
「マルグリットの手前こう言いたくはないのだけれど、あの子は本当に公爵家の娘なのかしら?」
「……あの子がまた何かしたんでしょうか?」
「これが、つい今しがた我が家に届いた」
カノッサ公爵がそう言って、右手に持っているものを俺たちに見せる。見せられたそれは、豪華な装飾の一通の封筒であった。その封筒には、アイオリス王国王家の紋章の封蝋がされており、さらにはベルナール公爵家とアモル教の紋章が刻まれている。それを見ただけで、その封筒が何であるのか俺たちは一瞬で理解した。それと同紙に、ため息を零して呆れてしまった。
「もしかしなくてもそれ…………」
「皆の想像通りだ。何を考えているのか知らんが、我がカノッサ公爵家に対してかの娘は、――――婚約式の招待状を送ってきたのだ」
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