誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

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第347話

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「私は魅惑みわくの歌姫にして、水を支配する女王!!貴方たちみたいな三流とは格が違うのよ!!」

この場は地下で、海の中ではないにも関わらず、セイレーンと融合した女性は空中に浮いている。
そんな不思議な光景に、ジャック爺やローザさんもどういうことなんだと驚いている。
恐らくだが、水もない場で空中に浮いていられるのは、魔人として生まれ変わったことで新たに手に入れた力なのだろう。

「私のオペラ歌劇ミュージカル演劇へと一段階進化する!!」

セイレーンと融合した女性の周囲に、漆黒の魔法陣が幾つも展開される。
そして、漆黒の魔法陣一つ一つから現れたのは、「海の王者」と呼ばれているシャチだ。
現れた漆黒のシャチたちは、親が子に甘えるかのように傍に近寄り、セイレーンと融合した女性の周りをゆったりと泳ぐ。
セイレーンと融合した女性は、そんな漆黒のシャチたちに応えるように鼻先を撫でる。

「さあ、私と一緒に踊りましょう」

漆黒のシャチたちの動きが徐々に早くなっていき、セイレーンと融合した女性は魔力を高め、人魚のヒレへと集中させていく。
さらに、セイレーンと融合した女性は左右の手に魔力を集中させ、漆黒の三又槍さんさそうを二本生み出す。
そして、漆黒のシャチたちと共に加速して空間を泳ぐように高速移動し、真紅のヤマタノオロチの攻撃を全て避けて、一気に距離を詰めて襲い掛かってくる。

「この姿になったからには、誰も私を捉える事は出来ない!!」

セイレーンと融合した女性は、縦横無尽に地下空間内を泳ぎながら俺たちに近づき、左右の手に持つ漆黒の三又槍で突きや薙ぎ払いを放ってくる。

「串刺しになりなさい――!!」
「――――フッ!!」

放たれた漆黒の三又槍の一突きを、ロングソードを振るって弾く。
そのまま反撃しようとする俺だったが、セイレーンと融合した女性との間に一匹の漆黒のシャチが割り込み、噛みついてこようとしてくるので距離を取って避ける。
そこに、別の漆黒のシャチやセイレーンと融合した女性が、息つく間もなく仕掛けてくる。

「踊り狂いなさい――死ぬまで!!」

セイレーンと融合した女性はそう叫ぶ。
しかし、そう簡単にはいかんとローザさんが冷静に返す。

「そいつはお断りじゃ」

地下空間を高速で動き回っている、漆黒のシャチたちとセイレーンと融合した女性に向かって、真紅のヤマタノオロチの八本の首が襲い掛かる。
セイレーンと融合した女性は襲い掛かる一本の首をヒラリと避けるが、漆黒のシャチたちは七本の首に次々と噛みつかれ、そのまま魔力ごと噛み砕かれて消滅する。
カトリーヌとローザさんが、真紅のヤマタノオロチに魔力をさらに込めていく。

「まだまだ――」
「――終わらんぞ」

真紅のヤマタノオロチの動きは止まらない。
八本の真紅の尻尾を目にも止まらぬ速さで動かし、何匹もの漆黒のシャチを串刺しにしていき、魔力を急速に吸収して消滅させていく。

「そんなのじゃ、私たちのミュージカルは止まらないわ」

どれだけ漆黒のシャチたちを消し去ろうとも、セイレーンと融合した女性は強い魔性を秘めた水属性の魔力で、新たな漆黒のシャチたちを生み出していく。
そして、漆黒のシャチたちに魔力をさらに込めて強化し、凶暴性と加速力が増していく。
セイレーンと融合した女性は、漆黒のシャチたちを自身の周囲に集め、盾代わりにしながら一緒に群れとなって空間を泳ぎまわりながら、漆黒の三又槍を高速で投擲とうてきしてくる。

「さあ、第四幕の始まりよ!!」

漆黒の三又槍の投擲に、漆黒のシャチたちとの連携攻撃。
そこに、セイレーンと融合した女性は新たな攻撃を繰り出してくる。
セイレーン本来の武器である歌声による状態異常の魔法と、相手の魔力を乱れさせる超音波攻撃だ。
漆黒の三又槍の投擲や、漆黒のシャチたちが追撃を仕掛けようとする時。また、俺たちがそれを弾いたり反撃する時など、絶妙なタイミングでその二つを仕掛けてくる。
それは真紅のヤマタノオロチに対しても同様で、カトリーヌとローザさんは自分の身を守りながら、真紅のヤマタノオロチを維持しなければならず、真紅のヤマタノオロチによる攻撃を放つ事が出来ない。

「その気持ち悪い蛇も、これでお終いよ!!」

セイレーンと融合した女性はそう言って、真紅のヤマタノオロチに漆黒のシャチたちを向かわせる。
その時、カトリーナからは雷属性の魔力、ローザさんからは水属性の魔力をそれぞれ感知する。

「やるぞ、カトリーナよ」
「はい、ローザ様」
「「属性転化てんか」」
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