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第3話
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「それにしても、ここは一体何処なんだろうね?」
漆黒の猪との戦闘が終わり、周囲の気配を探って警戒しながら、紗雪さんに質問する。自宅の玄関を開ければ地面が光り輝き、気が付けば緑一面の森の中。もし紗雪さんが一緒にいなければ、パニックに陥っていた事は間違いないだろう。
「……凍夜、ここは地球ではない。私たちは、何者かに異世界に召喚されてしまった様だ」
「…………は?」
「驚くのも無理はないだろうな。だが事実だ、直ぐにでも切り替えろ。この世界は、ほんの少しの油断でも命取りになる危険な世界だ」
「――――了解」
紗雪さんがこれほど強く俺に言い聞かせるという事は、本当にここは地球ではなくて異世界なのだろう。しかも何者かに召喚されたという話である事から、何しかしらの目的があって、俺と紗雪さんが呼び出されたという事なのだろうか?
それにしても、異世界か。学校の友達がよく言っていた、異世界転生やら異世界ファンタジーやらと同じものだろうか?だとしたらこの世界には、スライムやゴブリンといった魔物が存在しているのかもな。ほんの少しだけ、そんな存在に出会えるかもしれない事にテンションが上がってしまう。
「それで、異世界なのはこの際置いておくとしても、衣食住に関してはどうする?食料に関しては、目の前の猪の肉で何週間かはもつけど、衣服や家に関してはこの森じゃどうしようも出来ないし」
「凍夜、その猪は穢れてるから食えないぞ」
「…………マジか」
「マジだな。だが、そっちの白蛇なら食えるぞ」
「…………」
俺と紗雪さんの視線が、漆黒の猪との戦闘の傷が癒えていない、弱々しいままの白蛇に集中する。白蛇は自分に視線が集まった事に気付き、ビクリと身体を震わせる。俺は白蛇に向かって、一歩また一歩と近づいていく。
『あ、あの!!私を食べても美味しくはありませんよ!!』
「何をいう。蛇の肉は、鶏の肉によく似た味と食感がする肉だ。私たちの腹を十分に満たしてくれるだろう」
「そう言えば、蛇の肉を食べたのも結構前になるな~。あの時の馬鹿みたいに大きい蛇とは違ってかなり小さいけど、格はこっちの方が相当高い。量は少ないが、質においては比べ物にならないだろうな」
『ひ、ひぃ~!!私を食べようとするのは止めてください!!』
白蛇は情けない声を上げて、俺たちを必死に静止しようとする。だが俺たちも、このままでは空腹になって死んでしまう事は間違いない。この森に土地勘などあるはずもないし、白蛇を見逃がしたとして、新たな食料を手に入れる事が出来るとも限らない。ならば白蛇には申し訳ないが、俺たちが生きるための糧になってもらう他ない。
動けない白蛇まであと少しといった所で、紗雪さんが堪え切れないとばかりに大笑いしてしまう。
『え?……ええ?』
「紗雪さん、もう少し我慢してよ」
「いや~、すまんすまん。……だが突然異世界に呼び出されたんだぞ、これくらいの意趣返しをしても罰は当たらんだろ」
「まあ、それはね」
「それに、……今も私たちの事を見ているんだろ?さっさと出てこないと、本当にこの白蛇を食料にしてしまうぞ」
『それは非常に困ります。彼女を助けてもらうために、異世界から貴方たち二人を召喚したのですから』
紗雪さんの脅し文句に、透き通るような綺麗な女性の声で返事が返ってきた。しかも、地球から異世界に召喚したのが自分であるとも言っている。さらにその理由が、この目の前の白蛇を助けるためとはな。
『貴方たちにもしっかりと説明させていただきますので、この娘を食べようとするのは止めていただけませんか?』
「まずは話を聞いてからだな。それから決めさせてもらう」
『……分かりました。ではまず、突然この世界に召喚してしまい、申し訳ありませんでした。私の名はネロ。この世界の水を司る水神の一柱にして、最高神の一柱でもあります。どうぞ、よろしくお願いいたします』
漆黒の猪との戦闘が終わり、周囲の気配を探って警戒しながら、紗雪さんに質問する。自宅の玄関を開ければ地面が光り輝き、気が付けば緑一面の森の中。もし紗雪さんが一緒にいなければ、パニックに陥っていた事は間違いないだろう。
「……凍夜、ここは地球ではない。私たちは、何者かに異世界に召喚されてしまった様だ」
「…………は?」
「驚くのも無理はないだろうな。だが事実だ、直ぐにでも切り替えろ。この世界は、ほんの少しの油断でも命取りになる危険な世界だ」
「――――了解」
紗雪さんがこれほど強く俺に言い聞かせるという事は、本当にここは地球ではなくて異世界なのだろう。しかも何者かに召喚されたという話である事から、何しかしらの目的があって、俺と紗雪さんが呼び出されたという事なのだろうか?
それにしても、異世界か。学校の友達がよく言っていた、異世界転生やら異世界ファンタジーやらと同じものだろうか?だとしたらこの世界には、スライムやゴブリンといった魔物が存在しているのかもな。ほんの少しだけ、そんな存在に出会えるかもしれない事にテンションが上がってしまう。
「それで、異世界なのはこの際置いておくとしても、衣食住に関してはどうする?食料に関しては、目の前の猪の肉で何週間かはもつけど、衣服や家に関してはこの森じゃどうしようも出来ないし」
「凍夜、その猪は穢れてるから食えないぞ」
「…………マジか」
「マジだな。だが、そっちの白蛇なら食えるぞ」
「…………」
俺と紗雪さんの視線が、漆黒の猪との戦闘の傷が癒えていない、弱々しいままの白蛇に集中する。白蛇は自分に視線が集まった事に気付き、ビクリと身体を震わせる。俺は白蛇に向かって、一歩また一歩と近づいていく。
『あ、あの!!私を食べても美味しくはありませんよ!!』
「何をいう。蛇の肉は、鶏の肉によく似た味と食感がする肉だ。私たちの腹を十分に満たしてくれるだろう」
「そう言えば、蛇の肉を食べたのも結構前になるな~。あの時の馬鹿みたいに大きい蛇とは違ってかなり小さいけど、格はこっちの方が相当高い。量は少ないが、質においては比べ物にならないだろうな」
『ひ、ひぃ~!!私を食べようとするのは止めてください!!』
白蛇は情けない声を上げて、俺たちを必死に静止しようとする。だが俺たちも、このままでは空腹になって死んでしまう事は間違いない。この森に土地勘などあるはずもないし、白蛇を見逃がしたとして、新たな食料を手に入れる事が出来るとも限らない。ならば白蛇には申し訳ないが、俺たちが生きるための糧になってもらう他ない。
動けない白蛇まであと少しといった所で、紗雪さんが堪え切れないとばかりに大笑いしてしまう。
『え?……ええ?』
「紗雪さん、もう少し我慢してよ」
「いや~、すまんすまん。……だが突然異世界に呼び出されたんだぞ、これくらいの意趣返しをしても罰は当たらんだろ」
「まあ、それはね」
「それに、……今も私たちの事を見ているんだろ?さっさと出てこないと、本当にこの白蛇を食料にしてしまうぞ」
『それは非常に困ります。彼女を助けてもらうために、異世界から貴方たち二人を召喚したのですから』
紗雪さんの脅し文句に、透き通るような綺麗な女性の声で返事が返ってきた。しかも、地球から異世界に召喚したのが自分であるとも言っている。さらにその理由が、この目の前の白蛇を助けるためとはな。
『貴方たちにもしっかりと説明させていただきますので、この娘を食べようとするのは止めていただけませんか?』
「まずは話を聞いてからだな。それから決めさせてもらう」
『……分かりました。ではまず、突然この世界に召喚してしまい、申し訳ありませんでした。私の名はネロ。この世界の水を司る水神の一柱にして、最高神の一柱でもあります。どうぞ、よろしくお願いいたします』
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