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第7話
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『じゃあビアンカ、改めてご挨拶して』
『は、はい』
ネロ様がこの場に現れてから、ずっとネロ様の右脚に巻き付いて怯えていた白蛇が、シュルシュルと右脚から離れる。そんな白蛇に、ネロ様が両手を掬い上げる様な形にして差し出す。
『ビアンカ、おいで』
『はい、お母様』
音もなく静かに白蛇が移動し、ネロ様の両手の上に乗って、蜷局を巻いてちょこんと座る。その姿に、俺と紗雪さんはほっこりとした気持ちになる。
『改めまして、私の名はビアンカ。ネロお母様の一番下の娘で、最年少の眷属になります。これからよろしくお願いします』
ビアンカが俺たちに向けてペコリと頭を下げる。その愛らしい姿に、再びホッコリとした気持ちにさせられる。しかし、何時までもそのままではいけない。
「俺の名前は雪野凍夜。気軽に凍夜と呼んでくれ」
「私は紗雪だ。私も、気軽に紗雪と呼んでくれればいい」
『凍夜さんに紗雪さんですね!!私はまだまだ弱くて、お二人の足を引っ張るかと思います。ですが一生懸命強くなりますので、それまでの間、私の事を守ってください!!』
『改めて、私の方からもお願いしますね。ビアンカは生まれて間もない眷属なので、本当に力が弱いんです。なのでお二人と行動を共にし、ここで鍛えてもらいながら、力を付けてもらいたいと思います』
「ここでって、この森でですか?」
『はい、そうです。この世界の者たちには知られていませんが、この森は神やその眷属、そして神の加護を授かった者たちが鍛錬をする場なのです。鍛錬場所自体は、この森だけではなく、世界各地に幾つも存在します。その中でも、最も水と相性のよい鍛錬場所がこの森になります』
「なる程。つまりビアンカをここで強くするのと同時に、私たちも授かった加護の力を制御出来る様に、ここで鍛えろという訳か」
『はい、その通りです』
いや、その通りと言われても色々と問題がある。白蛇のビアンカは服や家がなくとも生活が出来るが、俺と紗雪さんの場合はそうはいかない。着替えの服も必要だし、安全に眠れる家も出来ならほしい。だが、俺や紗雪さんは野営や野宿の経験もあり、数日間水浴びだけで過ごした事もある。だから、最悪家無し着替え無しでも生活は出来る。だが出来るからといって、進んでその生活をしたい訳ではないのだ。
そんな俺の心の声を聞き取ったかの様に、ネロ様が色々と便宜を図ると言ってきてくれた。
『私としても、ここでビアンカを守ってね、それじゃあと立ち去るつもりはありません。私の方で、お二人に家と服を用意します。それから、この世界に流通している生活に必要な道具各種、料理などに使える調味料などを用意させていただきます。その他の物も、ビアンカを通じて伝えるか、授けた加護を通じて私に伝えてもらえれば、出来る限りご用意しますので』
「そんなに色々と力や権限を使って、貴女は大丈夫なのか?」
『今言った程度の事ならば、私にとっても世界にとっても大した事ではありませんよ。お気遣いには感謝しますが、お二人の生活の為にも、遠慮なく私に注文してください。いいですね?』
「分かった」
「了解です」
『じゃあまずは食料ね。この大きさなら、一日三食だとしても何週間かは持ちそうね。生きている時は迷惑を掛けられまくったけど、死んでビアンカとお二人の血肉に変わるのなら、こいつも本望でしょう』
「こいつを食わせるつもりなのか?」
紗雪さんが、少しだけ怒気を発しながらネロ様にそう言う。俺としても、紗雪さんから穢れている事を教えてもらってからは、こいつを食べる気など一欠片もない。だがそう言われる事は想定内とばかりに、ネロ様がニッコリと笑顔を浮かべて、紗雪さんに応える。
『こいつが穢れているのは私も分かっています。ですので、今からこいつを使って、授けた加護の力で出来る事を一つ、お二人にお教えしようと思います』
『は、はい』
ネロ様がこの場に現れてから、ずっとネロ様の右脚に巻き付いて怯えていた白蛇が、シュルシュルと右脚から離れる。そんな白蛇に、ネロ様が両手を掬い上げる様な形にして差し出す。
『ビアンカ、おいで』
『はい、お母様』
音もなく静かに白蛇が移動し、ネロ様の両手の上に乗って、蜷局を巻いてちょこんと座る。その姿に、俺と紗雪さんはほっこりとした気持ちになる。
『改めまして、私の名はビアンカ。ネロお母様の一番下の娘で、最年少の眷属になります。これからよろしくお願いします』
ビアンカが俺たちに向けてペコリと頭を下げる。その愛らしい姿に、再びホッコリとした気持ちにさせられる。しかし、何時までもそのままではいけない。
「俺の名前は雪野凍夜。気軽に凍夜と呼んでくれ」
「私は紗雪だ。私も、気軽に紗雪と呼んでくれればいい」
『凍夜さんに紗雪さんですね!!私はまだまだ弱くて、お二人の足を引っ張るかと思います。ですが一生懸命強くなりますので、それまでの間、私の事を守ってください!!』
『改めて、私の方からもお願いしますね。ビアンカは生まれて間もない眷属なので、本当に力が弱いんです。なのでお二人と行動を共にし、ここで鍛えてもらいながら、力を付けてもらいたいと思います』
「ここでって、この森でですか?」
『はい、そうです。この世界の者たちには知られていませんが、この森は神やその眷属、そして神の加護を授かった者たちが鍛錬をする場なのです。鍛錬場所自体は、この森だけではなく、世界各地に幾つも存在します。その中でも、最も水と相性のよい鍛錬場所がこの森になります』
「なる程。つまりビアンカをここで強くするのと同時に、私たちも授かった加護の力を制御出来る様に、ここで鍛えろという訳か」
『はい、その通りです』
いや、その通りと言われても色々と問題がある。白蛇のビアンカは服や家がなくとも生活が出来るが、俺と紗雪さんの場合はそうはいかない。着替えの服も必要だし、安全に眠れる家も出来ならほしい。だが、俺や紗雪さんは野営や野宿の経験もあり、数日間水浴びだけで過ごした事もある。だから、最悪家無し着替え無しでも生活は出来る。だが出来るからといって、進んでその生活をしたい訳ではないのだ。
そんな俺の心の声を聞き取ったかの様に、ネロ様が色々と便宜を図ると言ってきてくれた。
『私としても、ここでビアンカを守ってね、それじゃあと立ち去るつもりはありません。私の方で、お二人に家と服を用意します。それから、この世界に流通している生活に必要な道具各種、料理などに使える調味料などを用意させていただきます。その他の物も、ビアンカを通じて伝えるか、授けた加護を通じて私に伝えてもらえれば、出来る限りご用意しますので』
「そんなに色々と力や権限を使って、貴女は大丈夫なのか?」
『今言った程度の事ならば、私にとっても世界にとっても大した事ではありませんよ。お気遣いには感謝しますが、お二人の生活の為にも、遠慮なく私に注文してください。いいですね?』
「分かった」
「了解です」
『じゃあまずは食料ね。この大きさなら、一日三食だとしても何週間かは持ちそうね。生きている時は迷惑を掛けられまくったけど、死んでビアンカとお二人の血肉に変わるのなら、こいつも本望でしょう』
「こいつを食わせるつもりなのか?」
紗雪さんが、少しだけ怒気を発しながらネロ様にそう言う。俺としても、紗雪さんから穢れている事を教えてもらってからは、こいつを食べる気など一欠片もない。だがそう言われる事は想定内とばかりに、ネロ様がニッコリと笑顔を浮かべて、紗雪さんに応える。
『こいつが穢れているのは私も分かっています。ですので、今からこいつを使って、授けた加護の力で出来る事を一つ、お二人にお教えしようと思います』
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