なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ

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第19話 久しぶり

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 昼食をとろうと食堂に向かうと、アルスタは今日も人で囲まれていた。

「……」

 流石に話さなすぎではないか!?一緒の学園に入学すればたくさん話せると思っていたのに、入学から3カ月経った今でも挨拶しかしていない。

「おーい、カイラント?大丈夫か?」

 マークスが問う。

「ちょっと!マークス、今はカイラントに話しかけてはだめと言ったでしょう?」

「そうだよ、マークス」

 ルナとサクランがマークスを優しく諭す。

「……何言ってるんだよ」

「え?人の恋事情は邪魔しない方がいいでしょう?」

 呆れたような俺に当然でしょ?とでもいうようにルナが返した。

「~~!そういうの良いから!!」

 俺はそう言い、残っていたご飯を口の中にかきこみ、図書室に行ってくると席を立った。

「あー……怒っちゃった」

「何やってるのよ、マークス」

「俺のせいか?」

 後ろでそう言い争う声が聞こえた。


 図書室に着き、心を落ち着かせようと何冊か本を手に取る。この学園の図書室は王国内で1、2を争うレベルで貯蔵量が多い。
 そのため、家にない本もありよくここに通っていた。
 あと一冊借りたい本を見つけたが、それは俺の身長ではギリギリ届かない位置にあった。脚立を持ってこようと考えた時、誰かがその本を取った。

「この本で合ってるかな?久しぶりだね、カイル」

 読みたかった本を取ったのはアルスタだった。

「……どうしてここに?」

 本を取ってくれたお礼すら言わずに、思わずその言葉が出た。

「なんで?」

「食堂で、たくさんの人に囲まれていたではないですか。それに、食堂以外でもいつも……」  

「君がどこかへ行こうとしていたからね、付いてきたんだ」

「そうですか、本を取ってくださりありがとうございました。それでは失礼致します」

 そう言って俺はその場を立ち去ろうとした。

「待ってくれ」

 アルスタは俺の手を掴んだ。

「少し話せない?最近は全然話せていないからさ」

「……わかりました」

 断るのも面倒なので、おとなしく従っておく。
 それから人が来ない屋上に場所を移し、昼休みが終わるまで二人で話をした。
 久しぶりの会話は、正直楽しかった。
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