オ・ト・ナの、お仕事♪~俺様御曹司社長の甘い溺愛~【完結】

水樹ゆう

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第5章 セカンドキスはまどろみの中

101 頬を上気させる冷たい指先

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 あまりの気持ちよさにうっかり眠りこけそうになってハッと我に返った私は、慌ててお風呂を飛び出した。

 洗面台の上に置いておいた腕時計を確認すれば、午後八時。お風呂に入ってから三十分ほど過ぎていた。

 うわぁ。社長、待たせちゃって、怒ってないといいけど。

 急いでバスタオルで体を拭くと、やたらと肌触りが良いことに気付いた。もちろん、吸湿性も抜群で、拭いたそばから肌がさらりとして気持ちがいい。

 どこのメーカーの品だろう?
 
 タグを探して見てみると、国内の某高級ブランド名が記されていた。バスローブも同じメーカーのもので、着心地抜群。

 スゴイ。
 なんというか、お客様の使い心地をいちばんに考えている、そんなホテル側の配慮が見えた気がする。

 思わず感動していたら、メインルームの方から社長の声が飛んできた。

「風呂から上がったのか?」
「あ、はい! 今、髪を乾かしたら、すぐに行きます!」

 声音にイラつきや怒気は感じず、ほっとしながら大きな声で答えを返した。

「バスローブは着てるのか?」
「あ、はい。とっても着心地良いでーす!」
「じゃ、今から、洗面所に行っても大丈夫だな?」
「え? あ、はい、大丈夫……」

 じゃないっ!
 私、バスローブの下、すっぽんぽんっ!

 社長が歩み寄ってくる気配を感じて、咄嗟に脱衣かごの中に脱いであった下着を、バスタオルの下にさっと隠した。

 私の隣に歩み寄ってきた社長は、鏡に映る私の全身を、といっても腰から上のバストショットだけど、まじまじと見つめた。

 恥ずかしさで、一気に顔に血がのぼる。
 だって、バスローブの下は、すっぽんぽんだ。

「ど、どうしたんですか? 社長もお風呂はいりますか? すごく気持ちいですよっ!」
「髪を乾かしてやる」
「……ふへっ?」

 髪、って、私の髪を社長が乾かすんですか?
 何故に?

「頼んでおいた食事が届いた。冷める前に食べたいから、時短のために俺が乾かす」

 ああなるほど。食事が届いたのか。
 
「あの、先に食べてくださっても……」
「カップルは普通、二人で食べるものだ」

 そうか。あくまでホテルを利用するカップルとして、チェックをしたいんだな。そう理解した私はこくりと頷く。

「あ、はい、お願いします」

 でも、これが意外に恥ずかしいことに、髪を乾かし始めてすぐに気付いた。社長の少し冷たい指先が、頭皮や首筋に触れるたびに、ビクッと肩が跳ねそうになってしまう。

 美容室で男の美容師さんにシャンプーをしてもらうことはあるけど、全然違う。気持ちいいことはいいんだけど、恥かしさの割合の方が断然多い。

 は、恥ずかしい。
 早く終わってーーーっ!

 鼓動はドキドキ跳ね回り、顔はまずます赤く上気して、髪が乾きあがるころにはすっかり私の顔は完熟トマトと化していた。

 
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