呪われた騎士に惚れられた夢魔は呑気にその腕の中で微睡んじゃう

おげんや豆腐

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だらだらな生活サイクル「夜」

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56…57…58…59、60。






頭の中で数えて丁度一分。

膝の上、少し太く固い髪を撫でる手を止める。

「………ふう」
安心しきった顔で眠る眉に皺が出来ているぐすたふに少しにやりとする……まあいいか。

あれだけ調子よく言ってたけど眠るときはあっさり意識を手放す。
僕の腰に腕を回し、ぐりぐりとお腹に顔を押しつけ、なんだか猫のようで……ちょっと、可愛いなって…………流石にそこまではないね。

なんていうか最近……四六時中ぐすたふが隣にいる気がする。

二日目のあれが余程やばかったのか何処か行こうとすると必ず聞かれて却下されるかついてくるかの二択……そういえばなにげに外にも出てない。

唯一暇になるぐすたふお昼寝タイムもあまり遠くには行かず、そのときにいる部屋の中で外眺めてるかぼーっとしてるか。

寝るときご飯食べる時もお風呂に入るときも全部ぜんぶ、一緒。


「…………ん?」
これはもしや……、いや、そんなことは。

黙々と考えているせいか浮かぶひとつの単語に膝元で眠るぐすたふに目を落とす。

お風呂入るときも半場強制的に一緒、ぐすたふに用事がある時はぐでっと抱かれて運ばれる。

窓をじっと見ていればちょっかいを出されるし……そういえばあそこの窓開けられなくなってたような……ん? あれ、……んー?


「これ、監禁……」
気がつかない方が良かったかも……?  い、いや、もし僕の身を案じての事ならきちんと伝えれば良いだけの話。

外に出て散歩したい、とか花を摘みたい、とか簡単なもので良い。
確かに……今の僕の状況を振り替えればかなり……オブラートに包めば深窓の乙女感がある。

なんなら……執着されている自覚もあるし今だって寝てるぐすたふの手は緩く僕の腕を掴んでいる……。


…………。


「いやいやいや、まさかね?」
活発的だったりぐすたふが嫌いな人だったら泣いたり逃げ出したり………いやいやいやいや、まさかね?

………………。

変に冷静な自分がたまに恨めしくなる。



別に、縛られたり叩かれたり嫌なことは全くされてない、今ぐすたふを膝から落として逃げることもできるだろう。

廊下を走って、窓をこじ開けて、息も切れるくらい走って走って、そうすれば絶対逃げれるだろう。


実行に移せるレベルの簡単な逃走劇、頭の中でそれを想像し、にやりと笑う。






「まぁそんなことしないけどね」
だってそれは大前提として、゛僕が゛ぐすたふを嫌っていなければならない。
生理的に嫌悪し、嫌で嫌で堪らないといけない。

発狂して心が病んで逃げることしか考えられなくなる位ぐすたふを嫌ってなければいけない。

あいにく僕はぐすたふを結構気に入っている。

居心地の良い屋敷で優しくされお世話され心配される。
感謝されたりお世話される事は慣れないが嫌いではない。

今後も何か本当に嫌なことが起きなければ僕はぐすたふの側でごろごろしている事だろう。

うん、逃げるとか想像するだけ無駄だね。

けど散歩はしたいから後でぐすたふ起きたら頼んでみよう。









そう、ただ僕は外に行きたいって言っただけなのに。



「駄目だ」
「えぇ……」
寝起きとは思えない恐ろしく不機嫌な声が……膝から聞こえる……やだ、純粋にやだ。



「なんで~……」
日が沈む頃、漸く起きたぐすたふに早速第一声、言ってみた結果がゼロ距離のバリトンボイスに膝とお腹のお肉が震えると言う……なんかこれやだ。


「駄目だ、外に出たいならもう少し待ってろ」
「屋敷の周辺歩くだけだからいいでしょー」
「まだ駄目だ、準備が出来てねえ」
「えぇー……」
なんの準備よー。

「……………中庭なら出ても良い」
「………中庭あるの?」
「おう」
……この屋敷どんだけ広いの。

「……そろそろ、膝から降りて?」
そろそろ足痺れてきた。

「もう少しこのままがいい……」
「…………」
この人のもう少しは結構長い気がするんだよなぁ。



もごもごと目を閉じて言ったぐすたふに僕はため息をついた。









    
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