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ホームシックINギフニール
しおりを挟む時折聞こえる鳥の鳴き声。
生暖かい風が枝を揺らし隙間から漏れる日の光が土を七色に照らす。
眼前は昼間にも関わらず薄暗く、地面にはぼこぼこと木の根が突出して歩きにくい。
何処までも続く木々と湿った草と土の香りに僕はゆっくりと頬を綻ばせた。
その日の僕はかなり微妙な気分だった。
どのくらい微妙かというと普通の機嫌が不機嫌にぎりぎり変わるか変わらないかの瀬戸際のような、雨の降る直前の湿った感じのもやもやと気持ち悪い感じ。
「………森に帰りたいだと」
「うん」
いつもと変わらない部屋、いつもと変わらない毎日を過ごしていたある日。
ソファーに座りクッションを抱えていた僕は少しばかりストレスが溜まっていた。
代わり映えのないと言う事には賛成する、平々凡々大好き。
だけどそれにしたってさぁ……暇が続くのは流石に。
平凡と何もないのは別よ、別。
「何故」
「帰りたいと思ったからだよ」
それら諸々も含めて僕は近くのカーペットで腕立てをしていたぐすたふに言った。
「駄目だ」
腕立てを止めその場に胡座をかいたぐすたふをじっと僕を見ると険しいかおをする。
「じゃあ外を探検したい」
「…………まだ無理だな」
「何で」
「きちんと準備してからだ」
「準備ってなに」
そっぽを向きくぐすたふに僕は更にむかむかとクッションを抱き締める。
「僕すっごい暇、ちょー暇なの」
ぐすたふとお屋敷探検はそれなりに楽しいけど一日の変化って……それしかない。
世間知らずのお姫様なら満足しただろうけど……生憎野良猫みたいにきまぐれでね僕は。
「……足りないのか」
「は?」
「お菓子や紅茶だけじゃ満足できないか……」
一瞬理解できなかったぐすたふの台詞にぷちんと何か我慢していた物が弾ける。
「足りる足りない以前の問題でしょうがそ れ は! 僕はのびのび! 遊びたい! の!!」
何故この人は僕を餌付けさせる方向に持っていってるわけ?別に食べることは嫌いじゃないけどそれも過ぎれば普通に太るわ!
「…………おう」
おうじゃねえよ。
完全に頭に来た僕は、勢いよくソファーから立ち上がった。
「僕は本気だよ?! 」
「おうよ」
呑気に僕を真顔で見ているぐすたふに詰めより言葉を重ねるが、ぐすたふは全く動じてない。
「僕は花畑でごろごろしたいの~! 木登り! 登山! やりたい!! おーけー?!」
「わかったわかった……そう怒るな」
なんで笑ってる??
…………疲れた。
「………帰る」
「……は? 」
「だから、さっきも言ったじゃん、森に帰る」
僕がそっぽを向き言えば声を落としたぐすたふが立ち上がる。
「駄目だ許さん、帰るなんてそんなこと……!!」
「やだ」
頭二つか三つ分背の高いぐすたふが目の前に立てば凄い威圧を放ってるけど。
凄い睨んでいる……けどしらん…、怒った僕は頑固だよ。
「俺の何が不満だ」
「…………ん?」
「何が嫌なんだ、言ってくれ」
嫌もなにもそもそもぐすたふには……いや、わざわざ言う事もめんどくさい
「全部」
「…………ぜんぶ、だと」
あんぐりと口を開けて固まったぐすたふには申し訳ないけど……ぶっちゃけお屋敷生活、飽きた。
※※※
で、冒頭に戻るんだけども。
ギャーギャー文句言うのも性に合わないから僕は単純に眠らせている間に逃げるよとぐすたふを脅して凄まれても睨まれてもひっつかれても怒って言って漸く折れてくれたというわけだ
そして現在、僕は三年間暮らしていた愛しの森の中、意気揚々と歩いていた。
「熊達は元気かなー」
「……こんなとこに住むなんて……有り得ん」
「………」
なんか変な環境音するねー。
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