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一章 森

日常には少しスパイスを

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ここに来て早くも一週間、ここで感想を一言。



めっちゃ楽しい………。





拠点としているだけあって庭には作物を育てるための畑を設置してある。

お陰で色々野菜ができていて後少し待てば楽しい楽しい収穫!。



 一階建てのお家の地下には調合や鍛冶用の部屋を作ってあるからでそこで色々なものを制作した、主に回復薬とか軟膏とか爆弾とか。





そしてデバイスゴーグル越しでは分からなかった感触や匂いを見て感動したりと充実した生活を送れている。

何よりリビングの本棚にぎっしりと詰まった本。

ゲームのお金を使って買ったからかなりの量になる。



何を入れたか全く把握していない本棚は背が低僕では上まで届かない、だから脚立とか椅子とか使ったりして適当に漁っていると、何処か分からない、多分世界地図やこの世界の昔話などの書かれた大きな本を見つけた。





正直、このゲームの世界のことが全然わからなかったから買っておいて良かった。

地図は現代育ちの僕からしたら少し不便だったから、生産職の技能を使って自分の居場所を知れてなおかつ目的地までの到着時間もわかるカーナビみたいな道具に改造。





昔話はペラペラ適当にめくってみたけどちょっと僕には早いかなぁっていうくらいグロ描写やバッドエンドに終わるものが多数存在………。



しかもページ数で言ったらこれ五千ページは軽く超えるほどの超大作、それしかすること無かったとはいえ読むのが大変だった………。









充実、正にそう呼べるような一人暮らしという完璧な暮らしがそこに出来上がっていた。





好きな時に動いて好きな時に寝て気が向いた時間に起きる。

学校も無ければ勉強もない、嫌いなお母さんもいなければうざい弟もいない、そしてあれをやれこれをやれと強制されない。



完璧だ……、こ、これがお一人様ライフ……!





あ、でもでも……不満があるとすれば、うん……人が恋しい。

一人が好きだけど……流石にここまで静かだと寂しくなるな。

誰かと会話したいなぁ。



家の近くを通るのはでけえ猪だったりとモンスターしか話し相手いないもん。



「あっそうだ……」

そうういえば、あれがあった。



思い出した僕はアイテムバッグを膝にのせ中に手を突っ込む。





そしてすぐに見つけ出した僕はバッグの口より大きい物を少し手間取りながらも取り出す。



【透視の水晶】



占いや風水の象徴のような水晶玉を二倍大きくした球体の物。



効果は両手で持ち見たい場所や映像をゲームの時は出てきた選択を、今のこの状況なら見たいと思った場所を頭に思い浮かべれば、その水晶に映せる優れもの。





材料に様々な魔石を数十個使い、ドラゴンの目玉と呼ばれる激レア素材を4個も使用しなければいけないから、かなりの手間と出費が……。





さて、見たい場所……は。



「んじゃあ……森を抜けた所の風景を見して頂戴」



近くを知りたいからまずはそこからだ、と僕が水晶に向けて言いジッと見つめているとだんだん透き通っていた水晶の中の様子が変わってくる。





見渡す限りの……………砂嵐?

あ、人がいた……たくさん。



砂ぼこりが立ち込め、剣と剣がぶつかり、赤だったり青だったり色んな光が色んな所で飛び交いそれを扱う人達の顔は真剣そのもの、音までは拾えないがなんか戦ってる様子、そして何人か倒れて出血大サービス状態になってるし、白目むいてる………生きてるようには、うん見えない。



「もしかして…………何かの戦争? 」



ゲームじゃ無い点が出てきちゃった………………。

このゲームには国が多数存在しているから現実的に考えて戦争が起こってしまうのは仕方ない。

でもNPC同士で何かいざこざが起きるのはゲームストーリーか、特別なイベントくらいしか無かったはず。



つまり、ゲームの世界ならかなりおかしい。



水晶を持ったまま僕は家の外に出て戦いが起こってるであろう方向を見る。



流石にこんな森の奥地には無縁かね?



でもなんか微かに血の匂い的な物が風に乗ってくるような気がするから………うん、大変だね、

(他人事)





流石に、まだここに来た実感はそこまで感じない……



生活する基盤はととのっては言っても、明らかに不思議で、下手すれば恐怖を覚える異質な状況。

でも、変に冷静な僕はただ今を楽しんでいる。





それにこの水晶を見ても、戦闘経験も0モンスターも僕を敵認定してないどころかたまにじゃれてくる始末。

(ここら辺のモンスターはほとんどがBランク以上とゲームで言うと終盤に現れるレベルの強いモンスターばかり、しかも僕よりもでかいし強いからじゃれてるというより、襲われているのに近い)



もう一度水晶を見れば未だに戦いが終わる様子は見えず、しかもそのうちの一人の、大きな斧もった他の黒く立派な鎧の男前さんが高く飛びその斧を大きく上からしたに振り落とした瞬間、そこから巨大な白い衝撃波が巻き起こり、その衝撃波に巻き込まれた人達が撒き上がった砂嵐と吹き飛ばされていった。



そして男前さんは地面に降りると、ニヤリと狩りをしている猛獣のように口元を上げた。









「え?、 なにあれ、強……」

僕だったら秒殺だな。

















☆☆☆







それから2日。



今日も僕は平々凡々かつ穏やかな1日を送る~、のんびりライフを満期してるよ~。

あの戦争みたいなのはいつの間にか終わってた。

観察対象が無いから暇……失礼か。



そしてあの後再び本棚を漁っていると驚いたことがあった。



なんと僕の種族、魔族はどうやらモンスターの上位互換に当たるんだとか、魔物が強くなったり変異を起こすとなるんだとか。



そして他にも人間もごく稀に魔族に進化する、らしい(おそらく僕がそう)



他に種族だったら、力や嗅覚、聴覚が強い獣人や魔法や森での戦闘が得意なエルフ。



鍛冶仕事に特化し山や地下で暮らすドワーフ、なんか色々と規格外な龍人やその他もろもろ存在している。

その中で魔族は魔族で一括りにされているけど、実際はかなりの種類。



僕の種族である不死人や翼をもち、大空を飛び回るハーピィ、鬼と書いてオーガ、生物の精を命の母糧とするサキュバス 、血を糧にする吸血鬼、魔物や人間が魔力が膨れ上がり変質して生まれる魔人、顔が動物、人獣、他にもあらゆる魔族の頂点に立つ魔王も存在してるし数え切れないくらいいる。



そして本の最後のページをめくると。





力を持ちすぎたもの、ハイエルフ、聖獣、神獣、神人、不死人、魔王などの種の頂きについた者は世界の時間という名の枠から外れる、と記されていた、

僕の種族もその中に入っていたので詳しく読み進めてみると。



寿命は自身の種族、保有する魔力によってかなり変わる。

基本的な人だと六十年~百年。

魔力の多い場合は二百年~五百年と樹木みたいなことになる。





そして魔王や不死人は永遠の若さを保ち そして桁違いの量の魔力を保有してるものもほとんど見た目が変わらず寿命と言う存在がなくなるんだとか、



……………………ん、どうりでモンスター達が襲ってこないわけだ、自分よりも格上の人を襲う無鉄砲物なんて早々いない、 でも永遠か……………飽きそうだな。













☆☆☆

それからまた四日……。







あーうー………やりたいことが、無い…………。







なんか面白いこと起こんないかな………、いい加減暇すぎていやになってくる。







ソファーのなかでぐで~っ、としたりベッドの上でトランポリン……一人だからできる特権してるけど……。





でも穏やかな中にたまには何かスパイスが必要、そうしないと人間ダメになってまう。



気だるげに外に出てん~、と腕を上に伸ばすーーそうだ。



「ちょっとそこらへん散歩するかな♪」

畑仕事以外外出たことないし、この周辺は見たこと無い。

モンスターに襲われる心配ないけど、念のためアイテムバッグを持って行こう。



「さあ冒険気分を味わいましょー」

ワクワクとした気持ちで歩き出した。

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