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一章 森

咲き乱れる桜 戯れる僕

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緩やかな風に乗って飛ばされたピンクの花びらが一枚、鼻先につく。



「へっくしょん……! 」

おうふ……僕花粉症でした……。


「おいおい大丈夫か? 」

「大丈夫で、へっくしゅ! 」

「…………ふっ」

アルさんに、笑われてる気がするけど…………

目の前には巨大な桜の大樹、そしてそこから風もあまり吹いていないのに雨のように降り乱れる桜の花びら。



「なんかめっちゃ育ってる気がする……」

ここまで、日本でもお目にかかれないような桜に思わず魅いられる。



「……綺麗なもんだな~」

僕を見ながら絶対そんなこと思ってないような顔でアルさんはポツリと呟く。


「ですね~」

この際アルさんが真後ろにいて、尚且つ腰に手を回してることなんてどうでもよくなっちゃう……ならないわ!!



その回してるさりげなく外そうとするがびくともしない。


じゃあ木の近くに行く感じで離れようとするが 引き寄せられて逆効果。


「いいじゃねえか別にこのぐらい」

おっといけない、文句の声が……。


「僕の心の何かがガリガリ削れるので却下です」

「心の何かって、ほとんど言ってんじゃねえか」

「だって現在進行形でダメージくらいっぱなしですから…………離してくださいな」

「断る」

即答?!


「結婚してなくても恋人同士ならいちゃいちゃすんだろ?だからいいんだよ」

なにその謎理論……………。


「えー……? 」

最終的にごり押して、強引な。


「第一まだそこまで親交を深めてるわけでもないのにスキンシップがいきすぎてないですか?」

「だから今現在親交を深めてるんじゃねえか、ていうかいい加減その敬語外せよ」

まだ人と砕けた感じで話せる程慣れてないから却下。


「嫌です~、ひゃっ! 」

「あぁー?、往生際の悪いやつにゃこうだぜー?」

アルさんは腰に回していた手を脇腹に移動させそこをくすぐり出す。


「ちょっ!、そこよわ、やめ、ひっ! 」

そこやられるとくすぐったいと喉がひきつり、腰が抜けてしまう。


そして不可可抗力的にアルさんの腕の中にすっぽりと入ってしまった、そんな僕にアルさんはにやにやと笑いながら上から顔を覗きこんでくる。


「な?、結構仲良くなれてるだろう? 」

はぁ~?


「これを仲がいいと言えますか……?」

「言える言える」

アルさんはそのごつごつとした手がぐりぐりと僕の頭を撫でる……いてえ。


「もうっ」

「おめえもそんなこと言いながらも抵抗しねえじゃえかよ」

いやまあ悪意自体は感じないし結局流されてる気がする……。

いや………精神的に疲れたしこの人に力で勝てる気が全くしない。

でも一番の理由は、んー。


「別に嫌悪感は全くないんでそこまで拒絶しないだけです!」

嫌悪感がなければ基本ほっとくのが僕の常だからね。


「それ遠回しに俺のこと好きってことに………」

「なりましぇ、あ………」

「ククッ……噛んだな」

笑うの堪えた感じで言わないで貰える?!


「う、うるさいですっ! 」

八つ当たりとしてアルさんの胸を思いっきり叩く、けどかったいこの人!


「そんな風にしてもじゃれてるようにしか見えねえぞ、」

「なんでそうなるの……!?」

思わず素の声になるけどさ……てか逆に僕の手が痛いんだけど!

なんで?! あ、軍人だからか……。


「お、ちょっと敬語が取れたな」

ニヤニヤとアルさんは僕を抱く力を強まる。


「もー!!、アルさんのことなんて嫌いです!もう夕飯の支度してきます!! 」


首を思い切り横に向けて言えばアルさんはあっさりと僕を離してくれた。


……全く、いろんな意味で赤くなった顔を隠すために家へ向かう、あ、でも。


「何食べたいですか?」

聞かないとメニューに困るのだ、とアルさんに聞けばアルさんは顎に手を当てて唸る。


「んー、ステーキ……いや、前作ってくれたカラアゲってやつまた頼む、あれにレモンかけた奴がたまらん」

「……唐揚げも良いですが野菜もちゃんと食べるんですよ?」

じゃないと栄養が偏ってしまう。


するとアルさんはニカッと笑い親指をたてた。


「おうっ、分かったぜ! 」

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