生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

文字の大きさ
19 / 183
一章 森

満ちた生活

しおりを挟む
怒ったような顔と声で家に戻っていく子供、ラグーン。


だが歩いていくその背中には怒気など欠片も見当たらない。


「ククッ……可愛いなぁ」

思わず口角が上がるのは仕方ねえ事だろう。



あいつが見た目は人間にしか見えねえが魔族ということらしいのは未だ半信半疑だが、この森で暮らして傷ひとつ無いようだからそうとしか思えないだろう。

魔王という点に関しては……まあ保留にしておこう。



俺にとって何より大事なのはラグーンが不老であることだ。


俺の見た目が変わらなくなって数百年、親や共に育った奴等、剣の師匠や尊敬する先輩たちははとっくの昔に死んだ。


今は幼馴染みの五人で国を回しているが、例え周りに親しい奴が出来たとしてもてもそいつらは家庭を作り、子供を作り、孫を作り老いて逝ってしまう。

強い力が欲しいと願い鍛練してきたが……。


俺らはこの姿のまま、例え結婚したとしても相手が一般人であれば最後に行き着くのは孤独だ。


部下や市民たちから尊敬はされる、だが昔のように肩をたたきあって笑うような友人関係を築いてる奴は片手で数える程しかいねえ。

人らしい人生はもう諦めた、だが、できることなら愛するものと幸せに寄り添って暮らしたい。



……ラグーンさえ入れば、不老であるこいつさえ入れば俺は孤独なんてものとは無縁な生活を送れる。


1ヶ月、共にに過ごしたが、一緒に森を歩いたり、湖で泳いだり、畑で野菜の収穫、森に行ってでけえモンスターを狩ってくれば驚いた顔をされて、特に何かを見つけたり、美味しいものを食べた時のあいつの目を輝かせて笑う時の顔はもう……襲いたくなる。



「…………早く俺に惚れてくれねえかなぁ」

流され安い、強引に持っていけば仕方がないと苦笑する。

力量差から見て俺の方が圧倒的に強い 見た目からしてそうだが。


無理やり………という手はあいつを手に入れてもあいつの心は取れねえ。

そうなると俺の夢見た幸せな結婚とは遠くかけ離れてしまう。


結婚まで無理やり持ってってるのとあいつが少しずつだが俺のことを好きになってきてる(とおもいたい)のがせめてもの救いだ。



「にしても……」

綺麗なサクラだなあ……。


滅多にお目にかかれないピンク色の花を咲かせる巨大な木、ここまで咲き乱れていればそのうち枯れそうだと思うが、ラグーンの反応をみるにかなり昔から咲いているようだ。





さて、俺も家に入ろうか、鳥を熱した油に入れて作られたカラアゲは絶品だったからな、楽しみだぜ。

あのときの味を思いだし口角が上が上がった所で、辺りの風景が一瞬揺らぐ


「……あ? 」

「こんなところにいたんですか、アルギス」

「チっ…………」

落ち着いたようで冷たいこの声……には聞き覚えが…………どころかほぼ毎日聞いていた、……あいつだ。


「よくここの場所がわかったな……ミネルス」

反射的に舌打ちを打ちたくなるような笑顔を顔に張り付けるこいつ、ミネルス・ルオン・リオ・レリル・ゼンブレル


俺の国じゃ権力や地位が上がるほどファミリーネームの数が増えていく。


一般兵は無し、隊長以上は一つ、副官以上は二つ 将軍は三つ、そして俺らのような大将軍は4つの長ったらしいものが出来上がる。


そしてミネルスは600年前まで宰相の地位におり、今はこの国の参謀兼暗部の頂点に君臨している裏の実力者、俺と同じく空間魔法を使えるものの一人、ーーそしてかなり厳しい、おそらく俺が無断で休暇と称してサボってることに見かねて連れ戻しに来たのだろう。

たくっ、頑固メガネめ、ラグーンとは大違いだ。


「あなた失礼な事考えてません?」

眼鏡のフレームを上げ俺の心を見透かしたような事を言うミネルス。


「は? なわけねえだろ」

そして勘も鋭く軍師しての才も個人的な実力もあるときた。


正直苦手だがな……。


「はぁ………まぁいいでしょう、そんなことよりも、アルギス・ルオン・ルズ ・バアル・ゼンブレル、貴方はこんな時に何故こんな場所で油を売っているのでしょう? 通常なら戦後の処理と手続きを終え王城に戻り祝宴パーティーに出席して頂く予定だったんですが? 」

「フルネームで呼ぶなっつーの、休暇を取ってたんだ、別に十分働いたんだからいいだろ」

腕を組んで言えばするとミネルスはまた深いため息をつき。


「貴方の事だから、いつもなら目を瞑りました、ですが今回は異例の緊急事態が起こっているのです、すぐに戻ってきえください」

は? 緊急事態?


「お前ら4人が揃いも揃って片付けられねえのか?、て言うか緊急事態って何があったんだ?」

俺ほどじゃねえけど4人ともかなりの実力を持ってるはずだが。


「片付けられないから貴方を連れ戻しにきたのでしょうあの役立たずの大司教がいる神殿の地下にダンジョンが出現しました」

ん? 神殿?

どっかでその話聞いたな……。


「………ダンジョンによる被害は?」

「機械型モンスターが多数出現、並びにそのモンスターたちを統括する幹部格らしき魔族が2体確認されてます、ですが死傷者もとい、怪我人は今の所0です、 まぁでも神殿の真っ白い豚共は青ざめてガタガタ震えてますがね、神官達だけが使える聖魔法を使っても歯が立たないらしいですし……ふふっ、いい気味ですよ」

……神殿ならラグーンの言っていた影の神殿とか言うやつか?



「だったらほっとくかダンジョンマスターと話をすればいいだろうよ」

せっかく見つけた嫁を殺すなんてことさせるわけにゃいかねえ、わりいが、害意はねえようだから俺は協力しねえぞ。



難しい顔をしているミネルスを見ながら俺は今家の中にいるであろラグーンの事について考え始めた。










しおりを挟む
感想 181

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...