生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

文字の大きさ
72 / 183
五章 そしてまったりと

絶望

しおりを挟む
希望を全く失い。望みが絶えること、望むことすら、消えること。


それが、絶望………なん、だけど

近い………。


「…………絶望?」

「………うん」

近いよ……アルさん………!


「なんでだ………? 」

「なんでって言われても………とりあえずアルさん、近い」

その疑問を答える前にアルさんの顔が鼻先一センチの距離って何事、しかもすっごい恐ろしい顔。

隣に座ってたのは許容できるとしても、流石にこれは、アウト。


「ラグーンの言う通りだぞ、離れろ」

「うるせえ」

王様が注意してくれてるけど、機嫌悪く唸ったアルさんには効いていないようで、僕ををひょいと持ち上げると自分の膝に向かい合うように座らせる。


アルさん本人は真面目なつもりだし真面目だろうけど……あの、


「なぁラグ」

「…………へい」

いつになく真剣な顔……、この状況につっこむのは駄目かな。


「ラグーンを膝に乗せてる状況について物申してもいいかアルギス」

アイデンさんやってくれるか。


「お前は黙ってろ」

負けないでアイデンさん。


「羨ましいぞおい」

「黙ってろっつったろ」


………あれぇ


「お前たちは空気を重くしたいのか軽くしたいのかどっちなんだ………」

知らない………。


「俺はいつでも真剣だぜ」


「えぇ………」

真剣………?


「なんだその疑いの目は………、いやそんなことよりラグ、お前が自分の壊した感情が絶望なのは何故だ? 教えろ」

「別に深い意味はないけどアルさんは何でそんな不機嫌なの?」

「不機嫌もなにも、自分の嫁が魔王っつうのは関係ねえからいい、些細な事だ」

「些細な事……? 」

「だが愛する嫁が魔王になる時に壊した?、感情が負の象徴の絶望………なんで絶望なんだ、許さん」

「許さんて………不死人はね、人々の苦しみと絶望の念を糧に蘇ったと言っても過言ではないのね」

「………それで? 」

ここからはゲームを始めた時、この不死人のキャラクター専用のオープニングムービーを見たときの感想だけど。


「僕が蘇った時、まず目に入ったのは今まで仲良くしていた友達が肌を紫色に変色させて絶命している姿」

元々僕、というか、僕が使用しているこのキャラは名も知られていない村の子供だった。

ほのぼのと親キャラが主人公が遊んでる所を笑顔で見送る所から物語がスタートしたからてっきりほのぼの系かなと思ったけれど。

夜になってお貴族様の屋敷に招待されるイベントが起きてから一転

始めは和やかだった筈なのに突然村人の一人が血を吐き出したのを皮切りからどんどん地獄絵図になっていった。


ねぇ、これなんのホラー映画?


運営なにしてんの? と小さく悪態をつきながら親や一緒に遊んだ友達が死んでいくのを眺め、自分も貴族が高笑いをするのを聞きながら画面がブラックアウト。  

それで、話の始めに戻るけど。


「起き上がった時周りは優しかった母親が首をかきむしり口から泡を出して死んでいた、父親は身体中を赤く腫れ上がらせてまるで水死体だった、それでね………皆苦しそうだったよ」

語彙力無くてごめんね。

もっと壮絶な死に方をしていた人が

「………ラグ」

説明下手だからあんまり伝わらないかな。


「僕の住んでた村ってね、皆が皆家族みたいな感じでね、凄い幸せだったと思うよ」

ゲームだから知らんけど。


「その家族が苦しみ、悶えて死んでるなか僕も死んだ筈なのにね」

完全なる傍観体制で見てたからよくわからんけど……もし僕が実際にそんな状況にあったらさ。


「一生に一度あるかないかの大イベントにはしゃいでいたのに、これ美味しいねと料理食べて皆と笑いあっていたのに、実際は皆苦しみ、僕も苦しみ、一緒に死んだ、なのに皆が死んでいる中何故か生き返っちゃった、悲しみにくれるには子供には重すぎる、復讐をしようにもその貴族の方を見れば既に冥王の手によって始末されてやりようがない、だから仇を討とうなんてない………だからと言って同じ種族の人を恨むためには憎しみが足りない」

「ラグ」

「人はどん底に堕ちた時を絶望と言われてるけど、僕に言わせればそれが甘い、どん底に堕ちて、堕ちて堕ちて堕ちて堕ちて、これでもかってほど堕ちて、上がろうだなんて思えない、上がるためのはしごなんて無い、絶つ望みと書いて絶望なんだ、頭を抱えて悲しみ、誰にも言えず悶え苦しんで心に残して、その苦しみを晴らす方法なんて無い、誰かに話した所で薄まる事のない深淵の絶望こそ、真の絶望だと、僕は思うよ」

愛情なんて信じない、すがってるものが地獄の悪魔だって分かってるけどそれにすがるしか道がない、

暗闇の中更に闇の深い道を進んでいて、苦しみにも慣れた痛みにも慣れて来たんだ。


僕が死んだという、ごときで泣いてんじゃないよ僕。


「ラグ! 」

僕が最後まで言い終わると、アルさんがきつく、僕に覆い被さり、優しく抱き締めてくる。


「………すまん」

喉から絞り出すように苦しそうに呟くアルさんに僕は思わず口角をあげる。

なにを言ってるの。


「別に気にする事はないよ? 」

アルさんの事じゃないしひいては僕が体験した事でもないからね……。


「……聞きすぎた」

だからなんで謝る、ん?、抱き締める力がだんだん強くなってない? え、あの、アルギスサン??


えっ、ちょいとアルさん苦しい、背骨ミシミシ言ってる、折れる折れる折れる。


ぐええぇ!!






しおりを挟む
感想 181

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...