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六章 変化

いやー

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ミドルな執事さんに笑顔で見送られ僕とアイデンさんは廊下を歩いているわけだけ、ど…………。


またあるくの……この長い廊下を。

顔をげんなりとさせ僕はアイデンさんと手を繋ぐ。


あぁそうだ。

「…………ねーアイデンさん」

忘れていたとアイデンさんの繋いでいる手をくいくいと引っ張ると、ん?とアイデンさんが不思議そうな顔でこっちを向く。

「なんだ? 」

「今日は何処遊びにいくの? 行き先知らないとちょっと不安」

「あぁ言ってなかったな、すまん、今日は城下に降りて色々と楽しもうと思ってな、初めてだろう?町に降りるのは」

ほほう、城下街ね。


「城下ってどんな感じなの? 」

こっちに来てから一度も外にでてないからすんごい気になる。


「ふむ、そうだな……城の近くはあまり面白くない……むしろつまらんがその先は店や屋台が多くて中々見ごたえがあるぞ」

「へえー」

つまり買い食いができると………。


「お祭りみたいだね」

たこ焼き、いか焼き、焼きそば……、おっさんみたいだね。


「いやいや、人は多いのは確かだが祭りはもっと大規模にやるからな、時が来れば連れていってやろう」

「おおー、アルさんとも行きたいな~」

「仕事前倒しにさせてでも無理矢理連れていってやろう……ん?」

目尻に皺を寄せなから笑えアイデンさんだけど、ふいに眉をぴくりと動かすと今歩いている廊下の前方を見た。


「どしたの? 」

僕もつられて視線の先をたどると、廊下の先から文官さんの灰色のスーツみたいな制服を着た誰かがこつこつと歩いてきていた。


……後ろに二人くらい鎧つけた人いる。


でもこの距離じゃ僕の目が悪いから顔までは見えないね……。


「………参ったな」

ん?


「会っちゃまずい相手? 」

前の人をよく見ようと目を凝らしながら聞けばアイデンさんは首をふる。


「いいや、そういう訳ではないが ほら、俺今ラグーンと歩いているが……………護衛連れてないだろ? 」

「…………それがなんかまずいの?」

首を傾げながら聞けばアイデンさんは苦々しげに言った。

「あの方はデュレム殿といって伯爵家の者なのだが、いつも単独で行動している俺たちに護衛の騎士をつけろと耳に樹皮ができるくらい言われる……護衛はむしろ邪魔なんだがな」

苦々しく言ってるけどアイデンさん耳に樹皮ができるってなに、耳にたこができるみたいな感じ?。


「それにしても困ったなあ………ただえさえ遅くなってるというのにこのままお小言を食らってはまずいぞ」 

「遅くなったのはアイデンさんが王様を説教してたからでしょ………」

「必要な事だから仕方ない」

キリッと真面目な顔で言わないでよ……。


「仕方ないって………んー、ならこうするか」

んー、と考えた僕は指をぱちんと鳴らす。


「ん? 」



………………。


…………………………。



ナニモオコラナイ



「………」

「………」

何故指を鳴らしたんだと無言の視線を向けるアイデンさんに僕は居たたまれなくなり、目を閉じる。


「…………今の忘れて」

「え?、いや「忘れて」

かっこつけたかっただけだよこんちくしょい!。


「耳が赤くなって「お黙り」」

アイデンさんが余計な事言ってるけど今は目を瞑って深呼吸。


うん、よし。


キッと目を開き僕は口を開いた。


「アリムさ」

「お呼びでしょうかマスター! 」

「うぉ!? 」


今度はアイデンさんが変な声を上げる。

僕が彼の名前を言ったと同時に誰もいなかった後ろから声が聞こえ、後ろを向いたアイデンさんがビクッと反応した。


後ろをふり向けば延々と続く廊下、その窓から入る光でできた僕の影からぬっと、アリムさんの顔?、である甲冑の頭部分だけが生えたように現れ、僕を見ていた。



普通にこわい……。


「……………アリム殿? 」


「おお! 貴殿はアイデン様ではございませんか!、ご無沙汰しております、これからマスターとお出掛けで? 」

ポツリと呟いたアイデンさんの声を聞き取ったアリムさんがかしゃりと顔をアイデンさんに向け陽気に言う。

再度ビクッと動いたアイデンさんは歯切れ悪く苦笑する。


「いや……まぁ そうだが……」

「? どうかされましたか?」

それを疑問に思ったのかアリムさんは首を傾げる

苦笑よりも、失笑に近いアイデンさんにたまらず僕は、言葉を挟んだ。


「アリムさん……………」

「はい! なんでしょうマスター!」

ぐりんとこっちを向く甲冑に寒気を感じながら、口元がひきつるのをなんとか押さえながら僕は口を開いた。 


「………とりあえず、僕の影から出てきてくれる? 」






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