生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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七章 欠片

図書館どこよ

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この国の破壊神が珍しい客人を持って帰ってきた。



その客人は名をラグーンと言い、何処にでもいる子供……だが醸し出している雰囲気は常にマイペースでアルギスの横暴でガサツなオーラを相殺してとてもありがたい。


あいつはラグーンの雰囲気が好ましいのか、それ以外もあるのか、ここ最近その客人に対して満足そうににこにこと鼻を伸ばしながらベタベタとしている姿はかなり甘ったるいが……まぁ、いいだろう。




仕事の息抜きで噴かす葉巻を手に俺は椅子から立ち上がる。

窓から見える訓練場を覗けば、てくてくと歩いているラグーンの後ろを慌てたような顔でついていくアルギス。


あいつのあんな様子は実に面白いが、気づいているだろうか、周りで訓練をしている騎士たちが皆信じられないような目でお前らを見ているぞ?


「面白いな……くくっ」


ちぐはぐなようで何だかんだと気の合っている二人、羨ましい限りだ……。

俺もあんな風にはしゃげればいいが、あいにく今は目を通さなければいけない書類が盛りだくさんな上にあいつらの障害になっている者共を消さなければならない。



「テルは……まだ寝てるか」

隣の仮眠室に続く扉を眺め俺は一人呟いた。


俺の腰よりも低い身長、真っ黒なつぶらな瞳にピコピコと動く可愛らしい三角の耳、それに会わせてゆらゆらと揺れる頭の葉っぱにふがふがと鳴く愛嬌満点の鼻……。


あいつらが連れ帰ってきた俺の新しいペットのオークは今すやすやと昼寝をしている事だろう……。


仕事の合間に撫でくり回してはいるが、流石に寝ている邪魔をしては嫌われてしまう。

葉巻を灰皿に置き、山のように積まれた書類を片付けるべく、椅子に腰かける。


やれやれとため息をついたところですると熱かった部屋全体に冷たい空気が満ち始めた。




「お仕事中失礼致します」

何処からともなく部屋に響く冷たい声。


前屈みになっていた体勢をピタリと止め、俺は恐る恐る顔を上げれば、部屋の中央、先程まで誰もいなかった筈のその場所にはゆったりとした黒い服に身を包み、面妖な笑みを浮かべているラグーンの部下の、クロユリが静かにに佇んでいた。


「なんだ、クロユリ殿か…………」

俺がゆっくりと息を吐き自分に言い聞かせるように声を出せば、クロユリ殿は申し訳なさそうに笑い、頭を下げた。


「申し訳御座いませんイウァン様、一々扉から入るのは面倒だと思い……」

「できればめんどくさがらずに入ってきて欲しいものだな……」

「善処致します」

「いや善処て……んっんん!、なんでもない、……用件は? 」


流石ラグーンの部下だけあるなと苦笑を漏らし言えば、ゆっくりと頭を上げたクロユリ殿は自らの懐に手を入れると、一枚の羊皮紙を取り出した。



「こちらの書類をイウァン様に目を通して頂きたいのですが、お時間よろしいですか? 」

「あぁ、構わん」

彼女、クロユリ殿は週に一度のペースで、影の神殿に関する事柄が分かりやすく記されま書類を手に現れる。

この一枚の羊皮紙のお陰で神殿に余計な手を回す必要が無くなったためかなり助かっている。


今週も予想通り、少し驚いてしまったが差し出されたその書類を受けとると、触れた箇所から順にひんやりとした冷気が肌に当たり思わず腕全体に鳥肌がたった……。



「相変わらず……クロユリ殿は冷たいな……主に物理的に」

「まあ……ふふ、私、死霊族の者ですから、イウァン様が苦い顔されるのも無理ないですよ……ですが、この暑い季節にはもってこいでしょう? 」

「別の意味で寒くなるがな……ははっ」

クロユリ殿の貴婦人のような笑顔に空笑いを浮かべながら羊皮紙に書かれている事柄にさっと目を通す。



「ふむ……神官達とのごたごたは大丈夫なようだな……」

「えぇ、初めはかなり嫌悪されておりましたが、いかにマスターであるラグーン様が偉大で素晴らしい方かを熱く、熱く語った所、彼らに理解していただき、より良い返事を頂けるようになりましたの」

ニコリと笑みを浮かべる彼女、事が上手く行ったのは

大変素晴らしい事だが。


「何か……変な事はしてはいないだろうな?」

あまりにも事が上手く進みすぎている節がが拭えない。


神官達とのいざこざが目立ち始めたのが二週間前、主にラグーンが生活に慣れ始めた頃。

それを彼女はラグーンに勘づかせる事なく、解決まで運んだと言う。



「まさか、そんな事はしませんわ………ふふふ」

「貴女ならやりかねないなと思うのだがな……なんせ魔族だ、どんな力を持ってるのか分かった物ではない」

口元に手を当て微笑む彼女を見て俺は半目になる。


一見ラグーンと同じく人の姿をした彼女も常に冷気を発していて尚且つ良く見れば、僅かに床から浮いている。


「まぁっ、用心深い方は嫌いでは御座いませんわ、おほほ~」

「貴方に好かれたいとは思わん」

好かれるなら可愛いテルや猫のポンキチの方が有意義だ。


「おや手厳しい……ですが、我々はただマスターの偉大さを語っただけです」

「……あぁ、今は信じよう」

「ふふ……全く……マスターとの態度の差が酷いですわねぇ……」

「気の良い友人の部下といえど得体の知れない者だったら当たり前だろう、それに俺はどちらかと言えばアリム殿の方が好感が持てる」

「あの鎧だけの男ですか? ……全く、嫌われ役は大変ですねえ……」

肩を竦め苦笑を浮かべた彼女はふいに手を出し指を鳴らすと、氷のように体が煌めき透き通る。

太陽の光に反射して輝くクロユリ殿の笑顔の向こうには部屋の扉が透けて見え、中々……。



「不気味なものだな……」

軽くオブラートに包んだが率直に言って気持ちが悪い……。


「ふふ、では、これからもマスターとよりよい関係を築く事を我ら一同、心より願っております」

心底引いている俺をにこりと見ながら彼女はペコリと頭を下げると、その場で空気に溶けるように消えた。


その様子を見届け俺は椅子に背中を預ける。


「言われなくてもするさ……、折角できた友を失うなんてたまったもんじゃない」

火の消えかかっている葉巻を見ながら俺はポツリと呟いた……。



さて、あいつらは今何をしているかな………。








※※※





「ねーアルさんアルさん」

「んー? 」

「図書館はいったいどこにあるのよ」

「しらんなぁ……」

「足疲れたんだけど……」

「よし、肩車してやろう! 」

「この年で肩車とか嫌だわぁ……」 

「さあこい! 」

「話聞いてや(´・ω・`)」




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