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十章 緩やかに劇的に
★絶望の子★
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「説明など面倒だが、まあいい……、自我を有した死人はとても珍しいが決していない訳ではない、こちらでもサンプルは数件確認出来ている」
一人を除き驚愕する面々の中龍王は語る。
「……サンプル?」
「言葉のあやというものだ、……蛮将は理解できていないようだが話を続けるぞ」
「おいこら」
「頼む」
「おいって」
微妙な顔のアルギスを押し退けテーブルに乗り出すイウァンに驚いたように眉を上げた龍王は腕を組み眉を潜める。
「自我を有した死人、この基準は単純だ、知能があるか、人としての生活が可能か、会話が成立するかの三段階、これらを事前に調べ保護する、主な共通点としては体の損傷が限りなく低い事、そして彼らは総じて、生前の記憶をほとんど有していない事だ、ここまではいいな?」
渋々と説明する龍王の視線にイウァンは頷く。
「……続けてくれ」
「死んだ理由も自らの生い立ちも名前も何もかも、あやつらは覚えてはいない、自我を発現している原因とともにこれらは重要な事柄として我が国で随時研究している」
「初めて聞く……」
「そんな重大な情報、我らであれば既に掴んでいる筈……」
今まで静観を保っていたミネルスが眉を寄せ悩ましげに唸る。
それを龍王は鼻で笑った。
「極秘の研究を早々漏らす訳が無かろう馬鹿め……弟のための研究だぞ」
「っ……」
「すべては不確定要素の多い弟が危機に陥った際に最適に動けるよう、最大限にサポートをするために我個人が独断の元行っている……成果はお世辞にもよいとは言えんがな」
更に狼狽えるミネルスから興味が消えたのか龍王は未だ眠るラグーンを悲しげな目で見つめる。
「1年と4ヶ月前、遂に死の瞬間の記憶を持ちかつ自我を有している女を発見したが……つい先日、発狂を起こし貴重な検体だが意思疏通が不可能になやむなく滅した」
「……なんだと」
「死の記憶、死の痛みに耐えれなかったようだな、仕方のない事だ」
「おい待てよ、んじゃあラグは……」
「゛保持しているな?゛記憶を」
冷たく睨んだ龍王にアルギスは頷き、徐々に表情を険しくする。
「死の瞬間を、死の感情をありありと記憶している、その上客観的に具体的に説明できる域に達していた…だが、その実筆舌に尽くしがたいくだらぬ欲望によってすべてを奪われた、純朴な少年の蒸しきれぬ末路ではないか……!! 考えただけで怒りが沸いてくる……!!」
1000の命を糧に不老不死を得ようとした男の後始末によって生まれた生物でも死体でもない違和感の塊、それが龍王の目に写るラグーンの姿。
「成熟した者でさえ死という概念に容易く狂うがそれをどうだ、すべてを奪われ尊厳すら踏みにじられ……家族や友人を奪われた挙げ句憎悪を向ける相手すらいない弟は……何時壊れてもおかしくない筈だ……」
何かに奪われ、途方も無い怒りと悲しみを持った者は憎悪を向ける事によって、復讐を誓い遂げる事によって理性を保ち、正気を保つ。
「人間そのものを恨んでもいい、男という概念も、貴族の地位も心から恨み、それを晴らすのならば喜んで協力しようではないか、我が弟の過去を体験したならば、人という人を根絶やしにすると断言しよう!! 」
目を見開くイウァンを前に龍王は口を歪め言葉を重ねる。
「記憶を持ちながら、人としての感情を今も尚鮮明に保ちながら弟は何も恨まず、憎まず害を及ぼす狂気に取り付かれずにいる、それはまるで人であるかのように振る舞ってな……これだけ説明すればわかるな?」
「……あぁ」
あらゆる感情が混ざったような顔をする龍王を前に言葉を失う者達。
「んー?」
凍りつく面々の中一人、アルギスだけは怪訝な顔をしていた。
「照らし合わせれば合わせる程矛盾が生じる弟の謎を解明し、愛する弟が傷つかぬようよう動く、研究の最終目標はこれだ」
「……そうか」
「さて……センブレルの王よ」
ぎこちなく頷くイウァンに龍王はニヤリと口角を上げた。
「この龍王が直々に長々と説明してやったのだ、相応に対価を要求するが……いいな?」
「……なに?!」
「無理難題は出さんからそう身構えるな……ククク」
「……迂闊だった」
「なあよぉドラゴン」
「なんだ」
青ざめるイウァンを楽しげに眺めていた龍王にぽりぽりと頬をかいたアルギスは何気ない雑談をするように声をかけた。
「小難しい内容並べてくれたがようするに……俺がラグを目一杯甘やかせばいいんだろ?」
「「黙れ阿呆!」」
「なんでだよ!!」
その場にいた者の考えが一致した数少ない瞬間である。
★★★
十章終わりました(=゚ω゚=)
お読みいただきありがとうございます~
次回、ほったらかしにしてた番外編後半(=゚ω゚=)
一人を除き驚愕する面々の中龍王は語る。
「……サンプル?」
「言葉のあやというものだ、……蛮将は理解できていないようだが話を続けるぞ」
「おいこら」
「頼む」
「おいって」
微妙な顔のアルギスを押し退けテーブルに乗り出すイウァンに驚いたように眉を上げた龍王は腕を組み眉を潜める。
「自我を有した死人、この基準は単純だ、知能があるか、人としての生活が可能か、会話が成立するかの三段階、これらを事前に調べ保護する、主な共通点としては体の損傷が限りなく低い事、そして彼らは総じて、生前の記憶をほとんど有していない事だ、ここまではいいな?」
渋々と説明する龍王の視線にイウァンは頷く。
「……続けてくれ」
「死んだ理由も自らの生い立ちも名前も何もかも、あやつらは覚えてはいない、自我を発現している原因とともにこれらは重要な事柄として我が国で随時研究している」
「初めて聞く……」
「そんな重大な情報、我らであれば既に掴んでいる筈……」
今まで静観を保っていたミネルスが眉を寄せ悩ましげに唸る。
それを龍王は鼻で笑った。
「極秘の研究を早々漏らす訳が無かろう馬鹿め……弟のための研究だぞ」
「っ……」
「すべては不確定要素の多い弟が危機に陥った際に最適に動けるよう、最大限にサポートをするために我個人が独断の元行っている……成果はお世辞にもよいとは言えんがな」
更に狼狽えるミネルスから興味が消えたのか龍王は未だ眠るラグーンを悲しげな目で見つめる。
「1年と4ヶ月前、遂に死の瞬間の記憶を持ちかつ自我を有している女を発見したが……つい先日、発狂を起こし貴重な検体だが意思疏通が不可能になやむなく滅した」
「……なんだと」
「死の記憶、死の痛みに耐えれなかったようだな、仕方のない事だ」
「おい待てよ、んじゃあラグは……」
「゛保持しているな?゛記憶を」
冷たく睨んだ龍王にアルギスは頷き、徐々に表情を険しくする。
「死の瞬間を、死の感情をありありと記憶している、その上客観的に具体的に説明できる域に達していた…だが、その実筆舌に尽くしがたいくだらぬ欲望によってすべてを奪われた、純朴な少年の蒸しきれぬ末路ではないか……!! 考えただけで怒りが沸いてくる……!!」
1000の命を糧に不老不死を得ようとした男の後始末によって生まれた生物でも死体でもない違和感の塊、それが龍王の目に写るラグーンの姿。
「成熟した者でさえ死という概念に容易く狂うがそれをどうだ、すべてを奪われ尊厳すら踏みにじられ……家族や友人を奪われた挙げ句憎悪を向ける相手すらいない弟は……何時壊れてもおかしくない筈だ……」
何かに奪われ、途方も無い怒りと悲しみを持った者は憎悪を向ける事によって、復讐を誓い遂げる事によって理性を保ち、正気を保つ。
「人間そのものを恨んでもいい、男という概念も、貴族の地位も心から恨み、それを晴らすのならば喜んで協力しようではないか、我が弟の過去を体験したならば、人という人を根絶やしにすると断言しよう!! 」
目を見開くイウァンを前に龍王は口を歪め言葉を重ねる。
「記憶を持ちながら、人としての感情を今も尚鮮明に保ちながら弟は何も恨まず、憎まず害を及ぼす狂気に取り付かれずにいる、それはまるで人であるかのように振る舞ってな……これだけ説明すればわかるな?」
「……あぁ」
あらゆる感情が混ざったような顔をする龍王を前に言葉を失う者達。
「んー?」
凍りつく面々の中一人、アルギスだけは怪訝な顔をしていた。
「照らし合わせれば合わせる程矛盾が生じる弟の謎を解明し、愛する弟が傷つかぬようよう動く、研究の最終目標はこれだ」
「……そうか」
「さて……センブレルの王よ」
ぎこちなく頷くイウァンに龍王はニヤリと口角を上げた。
「この龍王が直々に長々と説明してやったのだ、相応に対価を要求するが……いいな?」
「……なに?!」
「無理難題は出さんからそう身構えるな……ククク」
「……迂闊だった」
「なあよぉドラゴン」
「なんだ」
青ざめるイウァンを楽しげに眺めていた龍王にぽりぽりと頬をかいたアルギスは何気ない雑談をするように声をかけた。
「小難しい内容並べてくれたがようするに……俺がラグを目一杯甘やかせばいいんだろ?」
「「黙れ阿呆!」」
「なんでだよ!!」
その場にいた者の考えが一致した数少ない瞬間である。
★★★
十章終わりました(=゚ω゚=)
お読みいただきありがとうございます~
次回、ほったらかしにしてた番外編後半(=゚ω゚=)
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