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二部前編 臆病者は恐れ 強者達は焦る
殻に籠る人 2
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僕をおいてけぼりにして僕の事で慌ててる人達をチラチラと観察してなんとなく分かったことは、どうやら二日後に僕はどっかに行く事になっているらしい、僕全然わかんないんですけどそれ。
その事で王様が顔真っ青にしておろおろして机に突っ伏してる、なにあれ。
アイデンさんとアルさんもおろおろしたりイライラしたりして壁を、こら、殴らないの。
ミネルスさんも何か悩んでるしオークちゃんはソファーでぐっすり寝てる。
ふう。
………まだちょっと頭がいたい。
「だりぃな今日は、疲れたなラグ……ラグ?」
「ねえアルさん」
「おうよ」
「ちょっと一人にして欲しいなぁ」
派手に龍王様が帰って行ってざわざわとしだす空気にいち早く反応したアルさんによって元の部屋に運び出された僕は早速アルさんに声をかけた。
「……なんでだ?」
ふわふわな布団に沈む僕と、その隣で更に深く沈むアルさんがムクリと起き上がり、訝しげに眉を潜める。
「ちょっと一人になりたいな、て」
「理由を聞かせろや」
不満げなアルさんに詰め寄られ僕は困った顔をする。
「ええと、気分が優れないから?」
理由は特に思い付かない……ちょっと、いやちょっとどころじゃないけど、とても疲れたから、休みたいだけです、はい。
「何があった?」
「別に、何もないよ」
「そうか」
ちょっと落胆したみたいな静かな目はとっても気まずいけど……理由をあげるとすれば、僕は今とてもじめじめとしている。
何故こうなっているか。
まぁ単純に疲れてるだけなんだけど、わざわざ言葉にだす必要のない些細な小さな事。
そんな事でアルさんに 心配かけたくないし、多分放置して部屋の隅にでも置いとけば収まる事だと思う、多分。
「なぁラグ」
「なんでしょう」
そんなこんなでいそいそと部屋の隅に移動しようと動く僕の手をアルさんは取った、
「……アルさん?」
ゆっくりと振り返ったアルさんは何故か、今にも泣きそうな、くしゃっと顔を歪めていた。
「……信じられねえか?」
「へ?」
「そんなにも信用できねえくそったれな男か? 俺は」
「……どうしたの?」
「それはこっちが言いてえ」
「なあラグ、もう一度聞くぜ」
驚いて固まる僕をゆっくりと引き寄せ、アルさんは真っ直ぐと僕の目を覗き低い声で言った。
「何が、あった?」
「……別になにも」
「あるんだろ? お前を傷つかせる何かが」
「そ、そんなのあるわけ」
「あるんだろ?」
「無いったら」
「ある」
「無いよ」
「あるったらある」
「な「ある!」……なんで責められてる感じになってるの?」
「責めてるからな」
ただえさえ近いアルさんとの距離がずりずりと詰めて来るアルさんによっって顔がぶつかりそうな勢いで……訂正。
「えぇ……」
ぶつかってるちかいちかいちかい。
「だってよぉ」
僕が後ろに下がることで少し間を空けたタイミングでアルさんは口を尖らせた。
「ラグが距離取ろうとしやがるから……」
「とってないよ?」
「会話にちょいちょい敬語混じってるだろ」
「……そういう気分としか」
「きぶんだぁ? ほぉお?」
え、なにその顔、眉あげてどうしたの。
「無意識だし」
「ほぉ、つまり無意識に距離を取ってると、そういうことだな?」
「いやいやいや、なんでそうなるの」
目が怖くなって来たアルさんから更に距離を取ろうとすればすかさずアルさんは僕の腕を掴み動けないようにしてしまった。
「俺等の分からねえ事ですげえ苦しそうに堪えてんの見て、俺等がそのままにしとくと思うか?」
「いや、苦しそうにはふが」
口を大きな手で塞がれてこれでは最後まで言えない。
「上手く隠そうとしてるみてぇだがぜんぜんだな」
「ぜんぜん……?」
「おうとも、堪えるだけ堪えてだんまりときた、俺に一言でも声をかけて、頼ってくれさえすれば幾らでも相談なり助力なりあらゆる手を尽くして、全力で憂いを晴らすのによぉ」
「ほが?」
瞬きを繰り返す僕の目の前で言葉を切ったアルさんはぐいっと顔を寄せると剣呑な、怒った顔で僕の頬を片手で挟んだ。
「ラグは自分一人で終わらせようとしやがる」
「ほ、ほが」
「うるせえ愛でるぞ」
そんな理不尽な。
「いいかラグ、もう一度、もう一度だけ聞くからいいな? 答えろよ?」
「ふあ?」
「返事は"はい"だ」
「……ふぁい」
なんか教師と教え子を舞台にした恋愛……なんでもない今の考えなし、取り消し。
「他の事考えんじゃねえ、俺をみろ……いいか、俺をだ、そうだいい子だ」
「ふぇ……」
なんかアルさんがいつも以上に真剣で怖い……、蛇に睨まれた蛙の気分とはこのこ。
「おい」
あ、はい余分なことじゃないです睨まないでぇ。
「いいか、ぜっったいに答えるんだぞ、ぜったいにだ」
「ふぁ、ふぁい?」
「いいな?」
「ふぁい」
真剣な顔、真剣な目、真剣な声で言われれば頷くしかない、両頬を挟まれてるから変な声しか出ないけど、しっかりと頷き返す。
そして少し困ったように笑ったアルさんは言った。
「苦しそうに悩んで、堪えて、無理矢理押し込めようとしているお前は見ていて悲しいんだ……頼むから打ち明けてくれ ……ラグは今、何に怯えているんだ?」
怯え? ……怯えてる? おびえ、てるのかな、これって。
「……ふえ」
……どう説明したものかな。
それと、ちょっとだけ、頑張ってみよう、かな。
★★★
一週間以内に投稿できたです、いえい(*´-`)
その事で王様が顔真っ青にしておろおろして机に突っ伏してる、なにあれ。
アイデンさんとアルさんもおろおろしたりイライラしたりして壁を、こら、殴らないの。
ミネルスさんも何か悩んでるしオークちゃんはソファーでぐっすり寝てる。
ふう。
………まだちょっと頭がいたい。
「だりぃな今日は、疲れたなラグ……ラグ?」
「ねえアルさん」
「おうよ」
「ちょっと一人にして欲しいなぁ」
派手に龍王様が帰って行ってざわざわとしだす空気にいち早く反応したアルさんによって元の部屋に運び出された僕は早速アルさんに声をかけた。
「……なんでだ?」
ふわふわな布団に沈む僕と、その隣で更に深く沈むアルさんがムクリと起き上がり、訝しげに眉を潜める。
「ちょっと一人になりたいな、て」
「理由を聞かせろや」
不満げなアルさんに詰め寄られ僕は困った顔をする。
「ええと、気分が優れないから?」
理由は特に思い付かない……ちょっと、いやちょっとどころじゃないけど、とても疲れたから、休みたいだけです、はい。
「何があった?」
「別に、何もないよ」
「そうか」
ちょっと落胆したみたいな静かな目はとっても気まずいけど……理由をあげるとすれば、僕は今とてもじめじめとしている。
何故こうなっているか。
まぁ単純に疲れてるだけなんだけど、わざわざ言葉にだす必要のない些細な小さな事。
そんな事でアルさんに 心配かけたくないし、多分放置して部屋の隅にでも置いとけば収まる事だと思う、多分。
「なぁラグ」
「なんでしょう」
そんなこんなでいそいそと部屋の隅に移動しようと動く僕の手をアルさんは取った、
「……アルさん?」
ゆっくりと振り返ったアルさんは何故か、今にも泣きそうな、くしゃっと顔を歪めていた。
「……信じられねえか?」
「へ?」
「そんなにも信用できねえくそったれな男か? 俺は」
「……どうしたの?」
「それはこっちが言いてえ」
「なあラグ、もう一度聞くぜ」
驚いて固まる僕をゆっくりと引き寄せ、アルさんは真っ直ぐと僕の目を覗き低い声で言った。
「何が、あった?」
「……別になにも」
「あるんだろ? お前を傷つかせる何かが」
「そ、そんなのあるわけ」
「あるんだろ?」
「無いったら」
「ある」
「無いよ」
「あるったらある」
「な「ある!」……なんで責められてる感じになってるの?」
「責めてるからな」
ただえさえ近いアルさんとの距離がずりずりと詰めて来るアルさんによっって顔がぶつかりそうな勢いで……訂正。
「えぇ……」
ぶつかってるちかいちかいちかい。
「だってよぉ」
僕が後ろに下がることで少し間を空けたタイミングでアルさんは口を尖らせた。
「ラグが距離取ろうとしやがるから……」
「とってないよ?」
「会話にちょいちょい敬語混じってるだろ」
「……そういう気分としか」
「きぶんだぁ? ほぉお?」
え、なにその顔、眉あげてどうしたの。
「無意識だし」
「ほぉ、つまり無意識に距離を取ってると、そういうことだな?」
「いやいやいや、なんでそうなるの」
目が怖くなって来たアルさんから更に距離を取ろうとすればすかさずアルさんは僕の腕を掴み動けないようにしてしまった。
「俺等の分からねえ事ですげえ苦しそうに堪えてんの見て、俺等がそのままにしとくと思うか?」
「いや、苦しそうにはふが」
口を大きな手で塞がれてこれでは最後まで言えない。
「上手く隠そうとしてるみてぇだがぜんぜんだな」
「ぜんぜん……?」
「おうとも、堪えるだけ堪えてだんまりときた、俺に一言でも声をかけて、頼ってくれさえすれば幾らでも相談なり助力なりあらゆる手を尽くして、全力で憂いを晴らすのによぉ」
「ほが?」
瞬きを繰り返す僕の目の前で言葉を切ったアルさんはぐいっと顔を寄せると剣呑な、怒った顔で僕の頬を片手で挟んだ。
「ラグは自分一人で終わらせようとしやがる」
「ほ、ほが」
「うるせえ愛でるぞ」
そんな理不尽な。
「いいかラグ、もう一度、もう一度だけ聞くからいいな? 答えろよ?」
「ふあ?」
「返事は"はい"だ」
「……ふぁい」
なんか教師と教え子を舞台にした恋愛……なんでもない今の考えなし、取り消し。
「他の事考えんじゃねえ、俺をみろ……いいか、俺をだ、そうだいい子だ」
「ふぇ……」
なんかアルさんがいつも以上に真剣で怖い……、蛇に睨まれた蛙の気分とはこのこ。
「おい」
あ、はい余分なことじゃないです睨まないでぇ。
「いいか、ぜっったいに答えるんだぞ、ぜったいにだ」
「ふぁ、ふぁい?」
「いいな?」
「ふぁい」
真剣な顔、真剣な目、真剣な声で言われれば頷くしかない、両頬を挟まれてるから変な声しか出ないけど、しっかりと頷き返す。
そして少し困ったように笑ったアルさんは言った。
「苦しそうに悩んで、堪えて、無理矢理押し込めようとしているお前は見ていて悲しいんだ……頼むから打ち明けてくれ ……ラグは今、何に怯えているんだ?」
怯え? ……怯えてる? おびえ、てるのかな、これって。
「……ふえ」
……どう説明したものかな。
それと、ちょっとだけ、頑張ってみよう、かな。
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