1 / 2
儚くも強かな貴公子ウィルテイル
しおりを挟む
なんで、どうしてだなんてもう考えないようにしている。
こちらから戦争を仕掛け、国が負け、家を失った、ただそれだけだ。
少し、隣の国の鉱山に目が眩んだ王様が、少し、手を出して、手痛いしっぺ返しを受けただけ。
それだけなら賠償を払いなんとか穏便に済んだだろう。
だが王様は尚も少し欲をだし鉱山を手に入れようと手を伸ばした。
あっという間に隣国の逆鱗に触れ、戦火は広がり大々的な戦争が幕をあけ半年。
伯爵家の人間とはいえ次男の僕は戦地に召集され、戦う術を持たないがゆえ簡易療養所で日々数百人と増える怪我人の手当てに努め、時にはその最後を見送った。
朝から晩までの地獄を、悪夢のような半年を終え、遂にこちらの敗北と共に終戦の鐘が戦場に響いた。
国王は討たれ、王子と王女は幽閉そして、ほとんどの貴族はその位を剥奪され皆庶民に、悪事に手を染めた者は等しく奴隷に落とされた。
重要な交易を担う大貴族とは縁遠い我が家もその例に漏れず家は取り潰され、家族はどうなったか戦場にいた僕は分からない。
「おはようございます」
貴族ではなくなった僕を快く歓迎してくれた教会に身を寄せ、慎ましく暮らしている。
朝早く目を開け、自分一人で身支度を終えた僕は口角をあげて笑顔を作る。
「おはようございますウィル様! 」
「おはようございますウィル様! 良く眠れましたか?」
「ええとっても、一人部屋なんて貰って申し訳ないです」
早朝、水を汲むために外に出た僕を畑を耕している教会の人々が笑顔で挨拶してくれる。
「いえいえ!! ウィル様には教会一同、感謝してもしきれない恩が御座いますので!」
「……そう?」
「そうですとも! ささっ、朝食の用意を致しますので、ウィル様はどうぞお休みください」
伯爵家としての力を使ってここ一帯を治療をするための地域にして、争いをさせないように頑張ったけど、結局、何回か血生臭い事件が起きてしまったのだからお礼を言われる理由は皆無だ。
「そういう訳には行きません、お世話になるのならそれなりの働きをするのが一般的な常識でしょう」
むしろ迷惑ばかりで大変申し訳ないが、生きるためには精一杯頑張らねば。
粗食と、少しの楽しみを、朝と晩に神に祈りを捧げ出来る限りの働きと出来る限りの娯楽に努め1日を過ごす。
ペンを持ち勉学を嗜んでいた僕の手は今はもうあかぎれが目立ち、とても固くなっているが、神の信徒となり教会で暮らす人々の暮らしはとても穏やかで、とても暖かかった。
家族ともう会えないと思うととてもとても……とても悲しいがこれもまた運命と受け入れるしかないと決めた。
それに楽しそうに廊下を走る子供や、子供達を叱るシスター、その様子を窓の外から楽しそうに笑う農家のおじさん達を眺めていれぱ少しは……安らぐから。
ずっとこんな暮らしが続くと思っていた僕のささやかな夢は一月後、突然の来客の知らせによって覆された。
「こんにちは、ウィルテイル殿」
息を切らせて走ってきたシスターに引っ張られ、礼拝堂に入った僕を待っていたのはとても大きな人だった。
「こ、こんにちは」
くすんだ赤髪の大きな男性、記憶を辿って見るが、ここまで大きく、狼のように目付きの鋭い男性に覚えはない。
「あの……今日はどのような御用件で……? 」
恐る恐る彼の顔色を伺うと、仏頂面だった男性の片方の眉が上がると、何故か残念そうに眉を下げた。
「あの……?」
「ウィルテイル殿」
「は、はい!」
名前を呼ばれ即座に返事をした瞬間、ツカツカとブーツを鳴らし彼がすぐ側に来ると、なんと膝をつき下から僕をまっすぐと見た。
「ウィルテイル殿」
「な、なんでしょうか……」
僕の名前だけを呼ぶこの男性の意図が全く読めない、どうしようか。
それに彼の顔が間近に見えるからわかるが、頬や首、タンクトップから見える肩に鋭い切り傷が痛々しく主張している……痛くはないのだろうか。
「俺は貴方に返しきれない恩がある、だからどうか」
俺と来てくれ。
「え……」
低く耳に届いた言葉理解し、反応を返すのに数秒をようしたのは仕方のない事だと思う。
彫りの深く深みのある顔立ちの彼はランドルフと名乗り、傭兵として各地を転々としている……らしい。
あのまま呆ける僕の前で渋々と自己紹介をした彼は何を思ったのかシスターが止めるのを意に介さず僕を腰抱きに持ち上げると、無言で外に連れ出された。
「へ? あのちょっと……!」
「馬車を用意してある」
「そういうわけでなく!」
「最上級の物を用意した、貴族の柔な体でも快適に過ごせるだろう」
「ち、違います! 」
「……ではなんだ?」
教会の門前、確かに白馬の馬車がおり、ずんずんと確かな足取りで進むランドルフにたまらず身をよじる。
「僕は今この教会の世話になっているので」
「今後は俺の家で世話をする」
「い、いえいえいえ!! その必要は!」
「貴方に恩を返したいんだ」
「それも別に大丈夫ですので、ね?」
「…………」
開いた馬車の扉の前でで立ち止まる彼に無理矢理笑みを作り上目使いで笑いかけると、茶色の目が僕を写し、途端に不機嫌に眉間に皺が寄る。
「……ね? 」
つ、通じた?
「……ウィルテイル殿」
「は、はい」
「屋敷ほど広くはないが家を用意してある」
「へ?」
いえ?
「場所は港町の高台だ、見張らしも良い」
「え、あの、わっ!」
「さて、クッションを敷き詰めてあるが座り心地は如何かな?」
理解が追い付く前に丁寧な手つきで強引に僕を馬車の中に押し込んだ彼が後ろ手にドアを閉め微笑む。
「あ、柔らかい……です」
「そうか良かった……出せ」
「ハッ!」
「え!? うわ!」
「おっと危ない」
反射的に質問に答えるが後の祭り、慌てて立ち上がるが出発と共に揺れた馬車に躓き、図らずもランドルフの腕に支えられ、端から見ると抱かれる図面が出来てしまう。
「怪我でもしたらどうするんだ、まったく」
「いえあの……そもそも無理矢理貴方が連れ出すからで……その、引き返すことは」
「承認できんな」
ため息をつく彼は首を振る。
「荷物とか……そもそも僕はあそこで生を終える心づもりで」
「なら尚更……帰せんな」
「…!」
「貴方はこれから、俺の屋敷で自由に暮らして頂く、いいな?」
言い方丁寧だがその命令口調と鋭い眼差しに反論をする気が失せていく。
良くも悪くもおっとりとした性格の僕では見るからに危険なこの人に真っ向から何かを言うことは出来ない。
力でも、水汲みや畑仕事をしていたとはいえ本業の彼に敵う可能性も見つけられず、不機嫌な彼にたまらず目を逸らす。
「……でも、シスターや神父が心配、いえそもそもいきなり連れ出すなんて非常識な……帰りたいです、帰してください」
「申し訳ないが……それはできない」
「……どうしてですか」
「貴方に恩があるからだ」
「ならその恩を……教会に帰すと言う事でお願いします」
「その程度で返せるものではない」
「……僕は貴方に何をしましたか」
さっきからずっと言う゛恩を返したい゛
残念ながら僕にはその記憶が無い、こんな筋骨粒々で存在感のある人なら覚えている筈だけど……。
「貴方は覚えていないようだが俺は貴方に命を助けられた」
「……覚えがないです」
「だとしても、俺は貴方に恩を返す義務がある」
「……いらないで」
「貴方にはその恩を受ける義務がある」
「……意味が分からない」
「さぁこの話はおしまいだ、町まで時間がかかる故、ゆっくりと休むといい」
「……はい」
「今後は俺の事をドルフと呼んでくれ」
「……はい」
話が全く進まず、微笑んで言った彼に最早反論する気力も沸かず返事を返し、目を閉じた。
「眠るのか、……夕方一度起こす」
「はい……」
「よい夢を」
クッションの山に沈む僕の頭を一撫でした彼の優しい言葉が耳に染みる。
…………深く考えないようにしよう、そうしよう。
おやすみなさい。
「やっと……手に入れたんだ、逃がしてたまるかよ」
微睡む僕の耳に最後に入った言葉の意味を理解したのはそれから数ヵ月後の話。
思ったほど悪くない待遇にすっぽりと収まるまで数週間後。
ついでに、ランドルフは見た目が凶悪だけど優しかった。
こちらから戦争を仕掛け、国が負け、家を失った、ただそれだけだ。
少し、隣の国の鉱山に目が眩んだ王様が、少し、手を出して、手痛いしっぺ返しを受けただけ。
それだけなら賠償を払いなんとか穏便に済んだだろう。
だが王様は尚も少し欲をだし鉱山を手に入れようと手を伸ばした。
あっという間に隣国の逆鱗に触れ、戦火は広がり大々的な戦争が幕をあけ半年。
伯爵家の人間とはいえ次男の僕は戦地に召集され、戦う術を持たないがゆえ簡易療養所で日々数百人と増える怪我人の手当てに努め、時にはその最後を見送った。
朝から晩までの地獄を、悪夢のような半年を終え、遂にこちらの敗北と共に終戦の鐘が戦場に響いた。
国王は討たれ、王子と王女は幽閉そして、ほとんどの貴族はその位を剥奪され皆庶民に、悪事に手を染めた者は等しく奴隷に落とされた。
重要な交易を担う大貴族とは縁遠い我が家もその例に漏れず家は取り潰され、家族はどうなったか戦場にいた僕は分からない。
「おはようございます」
貴族ではなくなった僕を快く歓迎してくれた教会に身を寄せ、慎ましく暮らしている。
朝早く目を開け、自分一人で身支度を終えた僕は口角をあげて笑顔を作る。
「おはようございますウィル様! 」
「おはようございますウィル様! 良く眠れましたか?」
「ええとっても、一人部屋なんて貰って申し訳ないです」
早朝、水を汲むために外に出た僕を畑を耕している教会の人々が笑顔で挨拶してくれる。
「いえいえ!! ウィル様には教会一同、感謝してもしきれない恩が御座いますので!」
「……そう?」
「そうですとも! ささっ、朝食の用意を致しますので、ウィル様はどうぞお休みください」
伯爵家としての力を使ってここ一帯を治療をするための地域にして、争いをさせないように頑張ったけど、結局、何回か血生臭い事件が起きてしまったのだからお礼を言われる理由は皆無だ。
「そういう訳には行きません、お世話になるのならそれなりの働きをするのが一般的な常識でしょう」
むしろ迷惑ばかりで大変申し訳ないが、生きるためには精一杯頑張らねば。
粗食と、少しの楽しみを、朝と晩に神に祈りを捧げ出来る限りの働きと出来る限りの娯楽に努め1日を過ごす。
ペンを持ち勉学を嗜んでいた僕の手は今はもうあかぎれが目立ち、とても固くなっているが、神の信徒となり教会で暮らす人々の暮らしはとても穏やかで、とても暖かかった。
家族ともう会えないと思うととてもとても……とても悲しいがこれもまた運命と受け入れるしかないと決めた。
それに楽しそうに廊下を走る子供や、子供達を叱るシスター、その様子を窓の外から楽しそうに笑う農家のおじさん達を眺めていれぱ少しは……安らぐから。
ずっとこんな暮らしが続くと思っていた僕のささやかな夢は一月後、突然の来客の知らせによって覆された。
「こんにちは、ウィルテイル殿」
息を切らせて走ってきたシスターに引っ張られ、礼拝堂に入った僕を待っていたのはとても大きな人だった。
「こ、こんにちは」
くすんだ赤髪の大きな男性、記憶を辿って見るが、ここまで大きく、狼のように目付きの鋭い男性に覚えはない。
「あの……今日はどのような御用件で……? 」
恐る恐る彼の顔色を伺うと、仏頂面だった男性の片方の眉が上がると、何故か残念そうに眉を下げた。
「あの……?」
「ウィルテイル殿」
「は、はい!」
名前を呼ばれ即座に返事をした瞬間、ツカツカとブーツを鳴らし彼がすぐ側に来ると、なんと膝をつき下から僕をまっすぐと見た。
「ウィルテイル殿」
「な、なんでしょうか……」
僕の名前だけを呼ぶこの男性の意図が全く読めない、どうしようか。
それに彼の顔が間近に見えるからわかるが、頬や首、タンクトップから見える肩に鋭い切り傷が痛々しく主張している……痛くはないのだろうか。
「俺は貴方に返しきれない恩がある、だからどうか」
俺と来てくれ。
「え……」
低く耳に届いた言葉理解し、反応を返すのに数秒をようしたのは仕方のない事だと思う。
彫りの深く深みのある顔立ちの彼はランドルフと名乗り、傭兵として各地を転々としている……らしい。
あのまま呆ける僕の前で渋々と自己紹介をした彼は何を思ったのかシスターが止めるのを意に介さず僕を腰抱きに持ち上げると、無言で外に連れ出された。
「へ? あのちょっと……!」
「馬車を用意してある」
「そういうわけでなく!」
「最上級の物を用意した、貴族の柔な体でも快適に過ごせるだろう」
「ち、違います! 」
「……ではなんだ?」
教会の門前、確かに白馬の馬車がおり、ずんずんと確かな足取りで進むランドルフにたまらず身をよじる。
「僕は今この教会の世話になっているので」
「今後は俺の家で世話をする」
「い、いえいえいえ!! その必要は!」
「貴方に恩を返したいんだ」
「それも別に大丈夫ですので、ね?」
「…………」
開いた馬車の扉の前でで立ち止まる彼に無理矢理笑みを作り上目使いで笑いかけると、茶色の目が僕を写し、途端に不機嫌に眉間に皺が寄る。
「……ね? 」
つ、通じた?
「……ウィルテイル殿」
「は、はい」
「屋敷ほど広くはないが家を用意してある」
「へ?」
いえ?
「場所は港町の高台だ、見張らしも良い」
「え、あの、わっ!」
「さて、クッションを敷き詰めてあるが座り心地は如何かな?」
理解が追い付く前に丁寧な手つきで強引に僕を馬車の中に押し込んだ彼が後ろ手にドアを閉め微笑む。
「あ、柔らかい……です」
「そうか良かった……出せ」
「ハッ!」
「え!? うわ!」
「おっと危ない」
反射的に質問に答えるが後の祭り、慌てて立ち上がるが出発と共に揺れた馬車に躓き、図らずもランドルフの腕に支えられ、端から見ると抱かれる図面が出来てしまう。
「怪我でもしたらどうするんだ、まったく」
「いえあの……そもそも無理矢理貴方が連れ出すからで……その、引き返すことは」
「承認できんな」
ため息をつく彼は首を振る。
「荷物とか……そもそも僕はあそこで生を終える心づもりで」
「なら尚更……帰せんな」
「…!」
「貴方はこれから、俺の屋敷で自由に暮らして頂く、いいな?」
言い方丁寧だがその命令口調と鋭い眼差しに反論をする気が失せていく。
良くも悪くもおっとりとした性格の僕では見るからに危険なこの人に真っ向から何かを言うことは出来ない。
力でも、水汲みや畑仕事をしていたとはいえ本業の彼に敵う可能性も見つけられず、不機嫌な彼にたまらず目を逸らす。
「……でも、シスターや神父が心配、いえそもそもいきなり連れ出すなんて非常識な……帰りたいです、帰してください」
「申し訳ないが……それはできない」
「……どうしてですか」
「貴方に恩があるからだ」
「ならその恩を……教会に帰すと言う事でお願いします」
「その程度で返せるものではない」
「……僕は貴方に何をしましたか」
さっきからずっと言う゛恩を返したい゛
残念ながら僕にはその記憶が無い、こんな筋骨粒々で存在感のある人なら覚えている筈だけど……。
「貴方は覚えていないようだが俺は貴方に命を助けられた」
「……覚えがないです」
「だとしても、俺は貴方に恩を返す義務がある」
「……いらないで」
「貴方にはその恩を受ける義務がある」
「……意味が分からない」
「さぁこの話はおしまいだ、町まで時間がかかる故、ゆっくりと休むといい」
「……はい」
「今後は俺の事をドルフと呼んでくれ」
「……はい」
話が全く進まず、微笑んで言った彼に最早反論する気力も沸かず返事を返し、目を閉じた。
「眠るのか、……夕方一度起こす」
「はい……」
「よい夢を」
クッションの山に沈む僕の頭を一撫でした彼の優しい言葉が耳に染みる。
…………深く考えないようにしよう、そうしよう。
おやすみなさい。
「やっと……手に入れたんだ、逃がしてたまるかよ」
微睡む僕の耳に最後に入った言葉の意味を理解したのはそれから数ヵ月後の話。
思ったほど悪くない待遇にすっぽりと収まるまで数週間後。
ついでに、ランドルフは見た目が凶悪だけど優しかった。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる