燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

文字の大きさ
75 / 138
本編

六十一話 照らす者を求める者 と ニッキー

しおりを挟む
見た瞬間に理解したのです、分かったのです、オモイダシタノデス、多分。

だって頭の中に、やらねばならないことがでてきたから、きっとこれはオモイダシタに違いないのです。

光がいた、美しい人がいた。

金の髪、立派な体、煌びやかな気配、高貴な服、唯一の、光。

光は、美しいのです、輝く光は絶対なのです、この光を、永遠に、永遠に……だからこの身を捧げて、奪って……何を? 

ああわからない、わからないけれど……助けなければ。

願いを叶えなければ、なにを?

報いを受けなければ、なにをしたの? 

謝罪をしたい、贖いたい、恩を返したい。

ありがとうディフラカン、ごめんなさいディフラカン。

どうかどうかどうか、この身体を捧げさせて、懺悔を、憤慨を、己の半端な気持ちに呪いを。



と、"わたし"は言っている。


"僕"はよくわからない。



これは僕のものじゃない。

これというのはあれだ、感情というか記憶というか、感覚全てのことを指している。


綺麗な部屋、まさしく"王様"が寛ぐようなそんなお部屋と、こっちに怒った顔で近づいてくる部屋の主。

それを見て感じるこの焦がれるような気持ちは知らない誰かのもの、だと思う。

「あーやっべ……さては獅子とびらを弄ったなぁ……? 」

例えるなら、隣の部屋から聞こえるくぐもった声のような。

教室の隣のクラスから聞こえる悲鳴のような、隣の席ですすりなく声を聞いているような。


記憶がないときにこれを見せられたら、感じたら自分のものかと思うかもしれない、でもこれは違うと確実にいえる。

こう、はっきりとは表せないけれど、水と油を無理矢理混ぜようとしてる感じで、気持ちが悪い。

そう、うん、気持ちが悪いの。
うえってなりそうで、でも理解ができそうでしてはいけなくて……己を呪いたくなって捧げたくなってそれが正解ではないのが分かるから。

本当に気持ちが悪い。



そんなわたしの、いや僕の気持ちを頭に持ちつつも、感情が溢れてくるのは……変な感じ。



「やいクアルフ、なんだその姿は、ああ? なんて顔してやがる」
「あう……」
「いや今はどうでもいい、会いたかった、もう一度会いたいと何度思ったか、ん? そいつは……ニッキー君か!?  おいクアルフ、一体全体なんだそれは、どういうことか説明しろ」
深みいる声がする、尊き方の声が、姿が、おじさんに向けて声を向けている……あれ? 後ろのトカゲやっべとか言ってなかった?

「あ、うんその……どうしよっかなあ」
おじさんは慌てている、ディフラカンは怒っている、低く怒れる獅子のように声を荒げている。

僕は両手で本を持ってるし、頭の整理とかでなにもできない。

でも考えることはできる、怖い顔の人はいやだけど、目を背けたい気持ちをグッと堪えて、頭のノイズを冷静に抑えて考えようまずここはどこか、廊下は何処に?

「いやまずは話をだな、おいこらクアルフ、何故後ずさっているこっちこい」
「お、お邪魔しましたー! 」
「おい! 」
「あ」
とか悠長に考え始めた途端に無情に扉はトカゲの手で閉められた。

ディフラカンの驚いた顔が見えた、あのままにして良かったのでしょうか、よくわからない。



「ふう……あぶないあぶない」
「ふうじゃないのですけども」
「え? 」
くるっと後ろに振り返って、額の汗をぬぐう動作をしているおじさんをひと睨み。

「いまの……」
「いまの? 」
「いまのやつ説明して貰いたいんですけども」
「……なにもわからないって言ったら」
「怒りますね」
「そっかー…………ごめんね」
「あーん?  ちょっと説明不足とか諸々に関して文句言ってから帰りたいのでそこになおってください、怒ります」
「え、いやでも」
「あん? 」
「なんでもないですう……」
冷静に考えようとか、もっと真面目に考えようとか、たぶん僕にはあんまりあってないと思う、考えてもよくわかんないし。


尊きディフラカンを尊び、あの声に耳を貸して、自分を大事にして、お父様たちに恩を返して……やること多いな、めんどくさくなってきた。

とりあえず考えたことをするとして、ニッキー、おこです。



しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

処理中です...