アサシンの僕と魔導師のオレが融合した結果〜銀髪美少女の幼馴染と行く異世界漫遊記〜

ティムん

文字の大きさ
40 / 94
第一章 幼少期

第四十話 鉄生成

しおりを挟む
 魔物対策をしに行くというのに緊張感が全然ないね……それに両手を父さんと母さんに繋いでもらっていると、なんだか本当に子供っぽい絵面だな。僕はそんなことを思いながら歩く。

 村の柵に着くと、母さんが僕の方を見る。どうすればいいのか僕の指示を待っているのだろう。

「えーと、母さん。鉄出せる?」
「えぇ、土魔法なら使えるわよ~。他には火と風と水が使えるわ~」

 四属性も使えるのか。全属性使える僕が言うのもなんだけど、母さんって凄いんだな。それにしても土魔法と雷魔法が使えるってのはラッキーだったね。これで僕の考えてた作戦が使えそうだ。

「でも魔法で出した鉄は不純物が多くて使い物にならないわよ~?」
「え、そうなの? どうしよ……」
『不純物を取り除くくらいなら今の魂の状態でも問題なくできるぞ。必要なのは魔法の繊細な制御だけだからな』

 そういえばソルに刀を作ってもらったりもしたね。あの刀は切れ味が悪かったりなんてしなかったし、ソルには不純物のない鉄を出すこともできるんだろう。

(そういえばさ、鉄が出せるなら金も出せたりする?)
『できねぇことはねぇが、割に合わねぇな。オレの全魔力を使ってやっと五グラムできるってレベルだからな。基本的に希少な金属になればなるほど必要な魔力は上がるし、技術も必要になる』

 そこらへんは上手くなってるんだね。魔術師が簡単に金を作れたら貨幣として金属が使われるわけないし……。
 おっとと、余計なことを考えている場合じゃない。母さんの疑問に答えないと。

「ソルが不純物を取り除けるらしいから大丈夫だよ」
「そうなのね~それで、どのくらい出せばいいのかしら~」
「えーっと、針金状にして村一周出来るくらい」
「む、村一周……それはちょっと大変ね~。不純物を取り除いた鉄で村一周ってことでしょ~? 今日一日じゃ無理かも~三日は必要ね~」

 三日か……なんとか間に合うかな? あ、そうだ。

「村のみんなも魔法使えるよね。手伝ってもらったらどのくらいになるかな」

 魔法は習得に時間はかかるが、特別な指導が必要なわけでもなく、やり方さえ知っていれば誰でも習得できる。もちろん複雑な魔法や強力な魔法はちゃんとした修練が必要だが、簡単な魔法なら習得は容易だ。
 だからほとんどの人が魔法を覚えている。その使い道は日常の生活で便利なものとしてだけだが。

「ん~。それは無理ね~鉄を出すのはちょっと難しい魔法なのよ~。だからこの村だと使えるのは母さんだけね~」
「じゃあ仕方ないか……その鉄を針金状にするのは大丈夫?」
「そのくらいなら大丈夫よ~ちょっと歪になっちゃうかもだけど~」
「うん、歪でも全然問題ないよ」
「それじゃあ、お母さん頑張っちゃうわね~」

 そう言って母さんは次々と一辺三十センチくらいの正方形の形の鉄を生み出していく。正方形と言っても形にはこだわっていないのか、かなり歪な正方形だ。

『その鉄にさわれ。そうすりゃ俺が不純物を取り除いてやる』

 ソルの指示通り、鉄に触ると魔力が手に集まるのがわかる。そのまま鉄に触れ続けること十秒。

『もういいぞ』

 そう言われ手を引き上げようとすると、ズシッとした重みが手にかかる。力を入れ、無理やり引き上げると手には石の塊のようなものがひっついていた。とりあえずそれを鉄の横に置くと石の塊はひとりでに手から離れる。

「これが不純物? 元の鉄の半分もあるね……そりゃ使い物にならないわけだ」

 あれ? でも鉄鉱石って高品質でも鉄の含有量って五十パーセントくらいだって学校で聞いたことがあるような……魔法で生み出した鉄って鉄鉱石としては意外と良いものなのかな?

『ほら、さっさと次のもやるぞ』

 そう言われ、次の鉄に触ろうとするが父さんが僕を呼び止めてきた。

「ソーマ、俺にも何か手伝えることはないか?」
「父さんには柵の前に穴を掘ってほしいんだ。村をぐるっと囲むようにできるだけ深い穴を。これも村一周分だから多分父さん一人だと無理だよね……村の男の人にも協力してもらってね」

 そうだな……村の男達に協力してもらっても五日あってできるかどうか……間に合うかどうか不安だね。

「いや? 大丈夫だぞ? 村一周掘るくらいなら俺一人で十分だ」
「え、いや、でも」
「穴を掘るだけか? 何か気をつけることは?」
「えーと、柵を崩さないようにすることと、川の方に行くにつれて深くしてくれると一番いいかな」
「よし、わかった。任せろ!」

 父さんはそう言うと走ってどこかに行ってしまった。多分スコップかなにかを取りに行ったんだと思う。

「父さん一人でって……そんなの無理だよ……」
「ふふふ~お父さんは嘘はつかないわよ~?」
『Aランク冒険者なんだったらそのくらいできるだろ』

 Aランク冒険者ならできる? さすがにそれはないでしょ。村一周だよ? そんなに大きくないとは言っても百人近くが住む村だ。農地もあるし、人一人が一周穴を掘るなんてできる大きさじゃない。

「それじゃあ私たちは鉄を作っていきましょうね~」
「う、うん」

 とりあえず父さんのことは放っておくしかないだろう。もうどこかに行っちゃったし、それなら自分たちが出来ることをやるべきだよね。

『ほら、さっさとしろ』

 ソルに急かされて僕は不純物を取り除く作業に戻った。と言っても僕は鉄に触っては不純物を持ち上げ捨てる。不純物を捨てたら鉄を触るを繰り返すだけだけどね。
 そんな単純作業を僕は日が暮れるまで続けていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...