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第3話 拳ッ!!

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「北館憲法第一条ぉ~」


韻 拍闘が拳に力を加える。特殊能力特有の青白い光が、拳を覆ってゆく


「気をつけろ仁霧ッ!その人の特殊能力は【インパクトボンバー】!拳が触れた瞬間、衝撃が何倍にも膨れ上がるッ!殴られたらただじゃ済まないぞッ!」

「へぇ。そいつは楽しみだなぁ!」


仁霧は、椅子に腰掛けながら韻 拍闘を見上げると、不敵な笑みを浮かべながらこう言った


「殴れよ。俺はやられた分だけしかやり返さないっつー理念があるからさ」


ブチィ!


クラス中の人が、血管の切れる音を聞いた


「反逆者は許さないッ!!くらえやぁ!!」


なにか、硬いものが破裂したような。お腹に衝撃の来る音が響いた。その時の様子をクラスメイトは語る


「いやぁ。びっくりなんてもんじゃ無いですよ。だって相手は韻 拍闘ですよ?攻撃力だけ見れば、北館トップクラスの人ですよ?その攻撃をコブシは・・・」


ふっ、と笑みを浮かべて


「頭で受け止めたんですから」


大きく伸びをしながら


「僕だって焦りましたよ。現にコブシの座ってた椅子は粉砕コナゴナ。コブシに至っては頭まで教室の地面に埋まってましたからねぇ。あ、死んだなって。」


「でも、コブシは死んじゃあーいなかったんですよ」


・・・


「に、仁霧ッ!」

「ハッハハ!殴れと言ったから殴ったまでやでぇ?おーい仁霧コブシちゃん。埋まってないで出てこんかーい」


パラ・・・もぞもぞ・・・


「なんだよ、そんなもんかよ。お前の拳はぁ!」

「嘘だろ・・・俺のパンチをモロに喰らって立ち上がるだとッ?!」


韻 拍闘、驚愕ッ!!


仁霧コブシは拳を握り込む。青白い光はでない、なぜなら仁霧コブシは特殊能力を女々しいものと認識しているからだッ!


「覚悟しろよインパクト野郎。俺の拳はちっとばかし違うぜ」

「ひっ!」


素早い動きで韻 拍闘の懐に潜り込むッ!その動きを目で完璧に追えた者はいなかったと言う。


「お前のリーダーに言っておけッ!仁霧コブシはお前の保護は受けないってなッ!」

「グホォ!」


強烈な、顎にモロの、アッパーァ!打ち上げられた韻 拍闘はそのまま天井を突き破り、一つ上の二年の教室さえも通り越し。

二年の教室の天井も突き破り、三年。最上級生のクラスの天井に突き刺さってようやく止まったのであった


パラ・・・パラ・・・


「おい、韻 拍闘。一年の集金はどうした」

「す、すんません。ちっとばかり邪魔者がいまして・・・仁霧コブシと言う男で・・・」

「そうか」


パチンっ!謎の男が指を鳴らす。瞬間、韻 拍闘は弾け飛んだ。


「仁霧コブシ・・・面白い男だ。フフフ・・・フハハハハッ!」


少しの間笑ったあと、謎の男は我に返った


「・・・穴空いた所、直そ・・・」

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