とある少女の異世界奮闘記+α

輝国 飛鷹

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試練・精霊契約編

第17話《真っ赤なハンカチ》

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      5


  俺、福本真地しんじ改め、福本アヤノンは途方にくれている。
  空を見上げれば、とっくに朱色が広がっている。中には飛行機雲もあり、その先を目で追ったりしたが、もう一度言おう。

  俺、福本アヤノンは途方にくれている。

  ことは、数時間前にさかのぼる――――。

  俺たちはあの後しばらくまで、他愛のない話で盛り上がり、その調子でマリナーラがドリンクバーを勝手に使用。その上未成年でありながら酒に手をだし、酔っ払ったあげく、店の中で大暴れ。
  俺たちも彼女を止めようとしたが、あっけなくやられてしまったのだ。
  ジェンダーくんの話しによれば、これは結構よくあることで、町のなかではマリナーラは問題児扱いされてるらしい。よく退学処分にならないものだと思う。
  その後、店の人から厳しく制裁を受けていた。もちろん、彼女だけである。俺たちはそのまま彼女を放置して帰ったのだった。

  俺は朝にもらった地図を頼りに丘の上にたどり着いた。
  そして気づいたのだ。

  ―――俺、

  そして現在絶賛頭を抱え中である。
「あぁぁぁぁ! どうすりゃあいぃんだぁぁぁ!?」
  俺は無人の丘で叫んだ。誰かに返答してほしかったのだ。
  地図で、とりあえず俺の出現したところにはやって来た。そこは森を分け入った中にある、樹木の並んだところだった。
  おそらく、ここで今朝がた、何かしらの時空の歪みで穴みたいなのが生じ、そこから俺が飛び出してきたのだろう。

  

「ない………やっぱない! タイムホールみたいな穴はない!」
  では、俺はどうやって帰宅すればよいのだ?  
  こんなことに、この世界の現代人はそうそう焦らないだろう。
おそらくあの魔法書の魔法を使って、どうにか解決するだろうから。
  しかし今の俺はまだ魔法も使えない幼稚園児―――悔しいことだけど―――みたいなものである。
  俺は近くの岩場に腰掛け、奈落の底で絶望した。
 
  それが継続して、約一時間半。

  未だに継続したこの状況から、俺は脱することができずにいた。
「はぁ………今日は帰れねぇのかな?」
  そういう頃にである。
  俺は背後から声をかけられた。
「あなた、どうかしたの?」
「え?」
  振り返ると、買い物カバンを引っ提げた女性が訝しそうに立っていた。
  女性は連続して言う。
「ここら辺に住んでるのなんて、私ぐらいしかいないから。つい声をかけちゃったのよ。あなた、なんでこんなところにいるの?」
「そ、それが…………」
  俺はわらにもすがる気持ちで、事情をなるべくかいつまんで説明した。
  女性はなるほど、と手をポンとならした。
「それなら私に任せて。きっとその“歪み”っていうのはまだあるわ。でも時間が経って小さくなりすぎて、見えなくなっているだけよ」
  買い物カバンを一旦下ろし、俺の出現場所に足を踏み入れた。
「ここら辺なの?」
「はい、多分ですけど………」
  自信はなかったが、ある程度は正解だと思った。
  女性は両手を掲げ、
「『わが親愛なる神よ。その神秘なる力を我にお貸し下さい。』………ナンバー828、『ディメンションアクセス』!」
  掲げた両手が振り落とされた。
  するとどうだろう。何もなかったはずの空間から突如、激しい電流が発生し、分散した。
  突然のことに、この目を疑ったものだ。電流が消滅したころには、再び巨大な穴が誕生していたのだ。
「…………、すげぇ」
「ま、ざっとこんなものかしら?」
  虹色に輝く穴の先は、俺の世界へと繋がっているのか。未だに信じがたいような話だが、もう慣れている自分がいた。
「あの、ありがとうございます! 助かりました」
「いいのいいの。さあ! 早く行きなさいな」
「はい! ホントにありがとうございます!」
  催促に乗って、俺は穴の中へ飛び込んだ。


      *


  巨大な虹色の穴は、シュッと姿を消した。
  女性はカバンを肩に引っ提げると、小さく呟いた。
「あの子………マリナーラのお友達かしら?」
  とある少女の母親は、夕焼け空を眺めていた。

  今日はなんだか娘の帰りが遅い気がした。


      *


「………それで、出た先は俺ん家の前か………」
  朝に行った時はオフィスビルの屋上から。そして帰るとすぐに自宅前ときた。
  精神が削られる代わりに、大変便利なシステムだな、と思った。
  近代化されたモール都市の町並みは消えて、俺の慣れ親しんだ風景が復活した。
  俺はもとの世界に帰ってきたようだ。
  こっちの世界も、時は夕焼け空である。あっちの世界とリンクしているのか。
  日本刀を腰から下げた変な少女、福本アヤノンはようやく帰省した。
  いつもの慣れた自宅の前に立ち、ドアを引いた。
「ただいまー……………」
「お帰りなさーーーーい!」
  母さんが飛び出してきた。そして突然のハグ。
「え、なにやってんの母さん!?」
「なにって…………」
  ボケッとした顔で言った。
「お帰りのハグに決まってるじゃない」
「いやいや! 今までそんな事しなかったでしょ!?」
「それはあなたが“福本真地”の姿だったからよ。でも今のあなたは“福本アヤノン” だからよ!」
「意味わかんねーよ! あと、帰ってくる方法なんで教えてくれなかったんだよ!?」
「あら、そうだったかしら?」
「おかげで結構大変だったんだぞ!」
「それはごめんなさいね~。お詫びにもっとハグしてあげる!」
「それはお詫びじゃない、お詫びという名の拷問だ! あ、父さん! 助けてくれぇ!」
  ちょうど父さんが帰って来た。会社服の父さんは神妙な出で立ちだ。
  父さんはそれこそ驚いていたが、急にカメラを引っ提げて、
「母さん! そのまま保てよ! 今からこのベストショットをカメラに焼き付けるから!」
「写真撮んな! あと放せえぇぇぇ!」
  俺の叫びは虚しくも、カシャカシャと鳴る高速シャッターの音にかき消されたのだった。


      6


「………精霊契約、か………」
  夕食中に、俺は父さんに今の現状を伝えた。父さんの箸が止まる。
「まさかお前には魔法力が殆どないなんてな………」
「クラスのやつは、『リード力』が足りないんだろうって言ってたけど?」
「ああ、おそらくそうだろうな。だが『リード力』は『個性』みたいなものだ。努力でカバーできる代物じゃない」
「じゃあ、やっぱり精霊を探さないといけないのか………」
「けど、精霊なんて未だに発見されてない存在だ。見つかるとも思えんのだがなぁ………」
  父さんは再び箸を動かした。しかしその動きはいつもより鈍い。
  父さんは続けて言う。
「精霊はあっちの世界の“浦島太郎”みたいなものだ。太古よりその存在を噂されてはいたが、それに反して、『作り話』という説もある。そもそもいる方がおかしいからな」
「たしか意思を持った魔法の集合体………なんだろ?」
「そう。精霊は魔法力の結晶みたいなものだ。それ以外は人間と何ら変わりはないらしい。結婚しようと思えば可能らしいぞ?」
「それ誰が確認したんだよ? 単なる推測だろ?」
  俺は夕飯の塩サバを頬張る。
「当たり前だ。発見されてない存在に面白おかしく設定が与えられただけだ。けどラサールの校長もぶっ飛んだ試練を与えたもんだ。まさに『試練・精霊契約!』って感じだな」
「ゲームのクエストかよ。笑い事じゃないんだから」
  やはり相変わらず父さんは呑気である。
  すると夕飯の支度が済んだ母さんも参戦してきた。
「なになに、精霊ってなんの話?」
「実はな………」
  父さんから、簡単に概要が伝えられる。母さんは驚愕した。
「それって結構マズイわね………あ、そうだ、“あれ”で質問してみようかしら!」
「「“あれ”?」」
  母さんはスマホを取りだし、速い手つきで画面をスクロールしたりする。
「母さん。“あれ”ってなんなの?」
  俺の質問に、母さんはスマホを見せつけた。
「これよっ!『ママ友知恵袋ちえぶくろ』~!」
「ま、ママ友知恵袋?」
「そっ! あっちの世界で今流行ってるアプリなんだって!」
「なんでそんな事知ってんの?」
「あっちの友達と、今でも連絡取り合ってるのよ。ちょっと改造して、あっちにも電話とかメールとかが届くようにしてるからね」
「へぇー………で、それがどうしたわけ?」
  母さんはフフン、と鼻を自慢気に鳴らした。こういう時は機嫌がいい証拠だ。
「聞いて驚かないでね! なんとこれに質問を書くだけで、あっちの世界のママ友全員にそれが行き届いて、質問することができるのよ! ヤバイでしょ? スゴいでしょ?」
「似たようなやつ普通にあるけどね。ねぇ母さん、まさかそこに『精霊がどこにいるか知りませんかぁ~』とか書くつもり?」
「そうよ! 当たり前じゃない!」
  この人正気なのか? 確かに今投稿しようとしているみたいだけど…………。

  そんなので簡単に見つかるわけがない。

  と、そう言っても分かろうとしないだろうから、俺はそっとしておいた。
  食事は終わった。食器を片付けて、風呂に入る準備をする。俺は食事後にすぐ入るのが基本である。
  バスタオルを持ち、俺と一緒に入ろうとする父さんの目玉にドロップキックを炸裂させ「あぁぁぁ!? 目が、目が焼けるように痛いよおぉ!」と泣き叫ぶのを無視して、そこへ直行した。

  脱衣場に着いた。服を脱ぎ、下着一枚になる。姿見鏡で、その体を見つめた。
  やはり未だに信じられない思いだった。この滑らかな腰の曲線。胸に生まれた二つのきれいな丘。茶髪のさらっとした感触。
  ホントに、以前の俺とは思えない変化であった。

  今日は………ホントに色々あった。

  オフィスビルからのバンジージャンプ登校。

  変なモンスターとの戦闘。

  新たな学校にクラスメイト。

  魔法の存在と精霊契約の試練。

  ここまで濃密な1日を、俺は以前まで過ごしたことはなかった。
  明日になれば、俺は再びあの世界に行くことになる。そこで精霊は見つかるのか?
  それはまだ分からないが、とにかくやれるだけやってみるしかない。
  俺はそう心をひきしめた。
「あ………そういえばあの“ハンカチ”…………」
  何故今さら思い出したのかは分からない。
  モール都市でぶつかった、あの青髪の少女のハンカチ………。
  近くに通学カバンを置いてたので、脱衣場を出て、なかを探った。
  あった。俺は脱衣場に戻り、それを見据える。
  真っ赤なハンカチだった。名前は書いてなかった。何度も使用された形跡はある。
「………せっかくだし、洗っとくか………」
  そう思い、ハンカチを洗濯機に放り込もうとした。

  その時、気づいたのだ。

  ―――

  鼻を刺激する、この異臭はやはり血である。いったいどこから………?
  そこで、ふと、あるいやしい考えが頭をよぎった。
  俺の手に握られた、このハンカチ。
  それは、なぜこんなにもなのだろうか。
  おそるおそる鼻を近づけ、小さく嗅いでみた。俺の背筋が凍る。顔が真っ青になる。

  真っ赤なハンカチの正体は、異常に吸った血液により変色したそれだったのである。




  

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