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昔のはなし2
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ぽよん!ぽよん!
きじこがさるかに合戦の続きを読む様、ディをせかします。
「ああ、どこまで読んだかな?えー、、、カニは喜んでおにぎりと柿の種を交換しました。サルは、しめしめバカな奴だと、交換したおにぎりを食べながら思いました・・・うーん、ちょっといいか?」
またディが話を止めてしまいました。きじこは、もう諦めました。呆れているきじこに代わりゆきぽが聞きます。
「今度はいったい何です?」
「カニはサワガニって事なんだろ?だったら大きなおにぎりなんて、やっぱり持てる訳ねぇじゃないか」
「うーん、たしカニ」
ゆきぽは冗談を言ったつもりでしたが、誰も気づきません。
「プッ!」
いえ、一人吹き出した者がいました。モモです。笑ったはずみで手を滑らせマニキュアが肌に付いてしまいました。慌ててティッシュで拭きとります。今度は握ったティッシュで塗ったばかりのマニキュアが剥げてしまいました。これではまた塗り直しです。
耳のいいイヌは見なくても手に取るように分かりました。
(モモさんの少し抜けている、そういうところ大好きです)
ゆきぽの中で、またモモへの忠誠心が爆上がりました。やっぱり自分が守ってあげないといけないのです。尻尾が嬉しくて揺れます。
モモは一人でバタバタしていて応えられそうもないので、シュタっちが代わりにディの疑問に応えました。
「それは誰の視点に立つかによるのでは?大きなおにぎりというのはサワガニ目線なのですよ」
「なるほど、、、」
これで話の続きが聞ける。きじこはそう思いましたが、ディはまだ考え込んでいるようです。
「、、、だったらせいぜい米粒が数粒でもサワガニにとっては大きなおにぎりになるぞ?けどサルには腹のたしにもならねえ。そんなのわざわざ交換なんてするかよ。アタシならそのサワガニごと食うぜ」
「確かに」
「うん」
と、ゆきぽときじこが同意しました。みな雑食性なのです。野生の生存競争は厳しいのです。
「ちょっと待つし!」
今度はモモが話を止めました。
「カニさん可哀そうだし!食べちゃダメっしょ!」
マニキュアの事はおいておき、3人の方に向き直って言います。モモは平和主義者なのでした。
「まあ、カニを食べちまったら話が続かないからな。そこはいいか、、、」
ディも人間のお約束というものが少し分かってきたようです。やっと続きを語ります。
「カニは早速、柿の種を蒔きました。毎日水を与えながら歌います『早く芽を出せ柿の種、出さぬと種をほじくるぞ♪』ほじくられてはかないません。柿の種はすぐに芽を出しました。またカニが歌います。『早く樹になれ柿の芽よ、でないとその芽をちょん切るぞ♪』芽を切られては大変と、柿の芽はあっという間に樹になりました。カニがまた歌います。『早くならぬか、柿の実よ、ならぬとその樹を切り倒す♪』柿はすぐに実りました」
「⁉」
順調に読み進めていたのに、今度はきじこがタブレットを手のひらで覆い隠し止めてしまいました。
ディは聞きました。
「どうした?」
きじこは首を振ります。その視線はモモの方に向きました。平和主義者のモモに気を使ったのです。カニの行動は暴力をちらつかせた恐喝です。恐喝罪です。幼いきじこにも分かるのでした。平和な世界とは呼べません。
きじこの様子がおかしいのをモモが察して言いました。
「そうだねー、きじこ。悪い事をすると報いを受けるんだよー」
絵本を通じて子供の情操教育はなされるのです。
きじこがさるかに合戦の続きを読む様、ディをせかします。
「ああ、どこまで読んだかな?えー、、、カニは喜んでおにぎりと柿の種を交換しました。サルは、しめしめバカな奴だと、交換したおにぎりを食べながら思いました・・・うーん、ちょっといいか?」
またディが話を止めてしまいました。きじこは、もう諦めました。呆れているきじこに代わりゆきぽが聞きます。
「今度はいったい何です?」
「カニはサワガニって事なんだろ?だったら大きなおにぎりなんて、やっぱり持てる訳ねぇじゃないか」
「うーん、たしカニ」
ゆきぽは冗談を言ったつもりでしたが、誰も気づきません。
「プッ!」
いえ、一人吹き出した者がいました。モモです。笑ったはずみで手を滑らせマニキュアが肌に付いてしまいました。慌ててティッシュで拭きとります。今度は握ったティッシュで塗ったばかりのマニキュアが剥げてしまいました。これではまた塗り直しです。
耳のいいイヌは見なくても手に取るように分かりました。
(モモさんの少し抜けている、そういうところ大好きです)
ゆきぽの中で、またモモへの忠誠心が爆上がりました。やっぱり自分が守ってあげないといけないのです。尻尾が嬉しくて揺れます。
モモは一人でバタバタしていて応えられそうもないので、シュタっちが代わりにディの疑問に応えました。
「それは誰の視点に立つかによるのでは?大きなおにぎりというのはサワガニ目線なのですよ」
「なるほど、、、」
これで話の続きが聞ける。きじこはそう思いましたが、ディはまだ考え込んでいるようです。
「、、、だったらせいぜい米粒が数粒でもサワガニにとっては大きなおにぎりになるぞ?けどサルには腹のたしにもならねえ。そんなのわざわざ交換なんてするかよ。アタシならそのサワガニごと食うぜ」
「確かに」
「うん」
と、ゆきぽときじこが同意しました。みな雑食性なのです。野生の生存競争は厳しいのです。
「ちょっと待つし!」
今度はモモが話を止めました。
「カニさん可哀そうだし!食べちゃダメっしょ!」
マニキュアの事はおいておき、3人の方に向き直って言います。モモは平和主義者なのでした。
「まあ、カニを食べちまったら話が続かないからな。そこはいいか、、、」
ディも人間のお約束というものが少し分かってきたようです。やっと続きを語ります。
「カニは早速、柿の種を蒔きました。毎日水を与えながら歌います『早く芽を出せ柿の種、出さぬと種をほじくるぞ♪』ほじくられてはかないません。柿の種はすぐに芽を出しました。またカニが歌います。『早く樹になれ柿の芽よ、でないとその芽をちょん切るぞ♪』芽を切られては大変と、柿の芽はあっという間に樹になりました。カニがまた歌います。『早くならぬか、柿の実よ、ならぬとその樹を切り倒す♪』柿はすぐに実りました」
「⁉」
順調に読み進めていたのに、今度はきじこがタブレットを手のひらで覆い隠し止めてしまいました。
ディは聞きました。
「どうした?」
きじこは首を振ります。その視線はモモの方に向きました。平和主義者のモモに気を使ったのです。カニの行動は暴力をちらつかせた恐喝です。恐喝罪です。幼いきじこにも分かるのでした。平和な世界とは呼べません。
きじこの様子がおかしいのをモモが察して言いました。
「そうだねー、きじこ。悪い事をすると報いを受けるんだよー」
絵本を通じて子供の情操教育はなされるのです。
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